QOL低下の原因となる赤ら顔・酒さに対する最新治療

人は誰しも、一時的な恥ずかしさや緊張、運動後の血流増加などで顔が赤くなることがあります。しかし「赤ら顔」とは、このような一過性の変化ではなく、皮膚の浅層にある毛細血管が拡張し、血液が滞留して皮膚表面から透けて見えることによって、持続的に赤みが現れている状態を指します。

赤ら顔の原因となる代表的な疾患には「毛細血管拡張症」と「酒さ」があります。毛細血管拡張症は、顔面の細い血管が拡張して網目状に見える状態であり、生まれつきの体質に加えて紫外線、外的刺激、さらには女性ホルモンや加齢による皮膚の変化などが関与すると考えられています。一方、酒さは慢性炎症性皮膚疾患の一つであり、顔の中心部、特に両頬や鼻、額に赤みやほてりが出現します。さらにニキビに似た丘疹や膿疱、毛細血管の拡張を伴うことも多く、症状は悪化と改善を繰り返す傾向があります。その見た目の変化は、患者様の精神的な負担につながることも少なくありません。毛細血管拡張症と酒さはいずれも「赤ら顔」と呼ばれる症状を呈しますが、病態や原因、治療法は異なります。そのため、正確な診断を受けたうえで、それぞれの疾患に応じた適切な治療を行うことが重要です。

毛細血管拡張症

毛細血管とは、全身に網目状に存在する非常に細い血管で、動脈と静脈をつないでいます。酸素や栄養素を全身の細胞に届けると同時に、二酸化炭素や老廃物を回収する役割を担っています。顔にも多く分布しており、皮膚の浅い部分にあるため、その状態が肌の見た目に大きく影響します。毛細血管拡張症とは、毛細血管が何らかの理由で拡張したまま元に戻らず、皮膚表面から透けて見えるようになった状態を指します。代表的な症状は、頬や鼻の赤み、血管が網目状に透けて見えることで、時には額や耳の近くにまで広がることがあります。広がった毛細血管には血流が集まりやすいため、肌全体が赤く見えるのも特徴です。初期症状としては、頬や鼻に持続的な赤みが現れ、ときに炎症やほてり感を伴うことがあります。この赤みは一過性のものとは異なり、気温の変化、刺激物の摂取、運動、紫外線などによって悪化する場合があります。例えば、辛い食べ物を摂った後や入浴後に赤みが強まる場合、毛細血管拡張症の兆候である可能性があります。

簡単セルフチェック

  • 毛細血管が持続して拡張している
  • 赤みが自然に消えない
  • 炎症を伴わない

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毛細血管拡張症の原因

体質・遺伝

生まれつき皮膚が薄い方は、毛細血管が透けて見えやすく、赤みが目立ちやすい傾向があります。また、家族に同じ症状を持つ方がいる場合、遺伝的要因が関係していることがあります。


加齢

加齢により皮膚のコラーゲンや弾性線維は減少し、皮膚が薄くなることで血管が透けて見えやすくなります。その結果、毛細血管拡張症の症状が目立つようになることがあります。


寒暖差

毛細血管には、寒暖差に応じて拡張や収縮を繰り返し、体温を一定に保つ働きがあります。しかし、急激な温度差にさらされ続けると、血管が拡張したまま戻らなくなることがあります。寒冷地に住む方や、サウナを頻繁に利用する方に多く見られる傾向があります。


女性ホルモンの影響

ホルモンバランスの乱れも毛細血管拡張症の発症や悪化に関与すると考えられています。女性は妊娠・出産・更年期といったライフステージの変化に伴いホルモン分泌が変動するため、その時期に症状が出現したり強くなったりすることがあります。


飲酒や香辛料の摂取

生活習慣も大きく関わっています。アルコールや香辛料などの刺激物を摂取すると交感神経が刺激され、血流が増加して毛細血管が拡張しやすくなります。特に毎日のように飲酒をする方や香辛料を多く摂取する方は注意が必要です。


赤ら顔(毛細血管拡張症)に効果的な治療法

酒さ

酒さは、30~50歳代の女性に多くみられる慢性炎症性皮膚疾患です。初期には頬、鼻先、眉間、顎など顔の中心部に赤みが現れ、進行すると毛細血管の拡張が目立ち、赤ら顔が持続します。赤みや毛細血管拡張が目のまわりを避けて現れるのが特徴です。食事や入浴、寒暖差をきっかけに30分以上続くほてりを伴うことがあり、特に寒暖差や飲酒は症状を悪化させる要因となります。加えて、かゆみやほてり、さらには軽い刺激にも敏感に反応するなど、皮膚の過敏性が高まる場合があります。慢性化すると、赤みに加えてニキビに似た丘疹や膿疱が出現し、皮脂分泌の増加によって症状が顔全体に広がることもあります。

簡単セルフチェック

  • 顔の中心部が赤くなる
  • 赤みのあるブツブツや膿を持ったブツブツができる
  • 顔の皮膚がヒリヒリする、熱感がある
  • 鼻が赤く腫れ上がっている

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酒さの4つの分類

酒さは症状により以下の4つに分類され、複数の型が混在する場合もあります。
第一度:紅斑毛細血管拡張型

鼻や頬、眉間、顎など顔の中心部に赤みが生じ、毛細血管の拡張が目立つ状態です。かゆみやほてり、ヒリヒリ感を伴うことがあり、寒暖差や飲酒で症状が悪化することがあります。

第二度:丘疹膿疱型

持続する赤みに加えて、ニキビに似た丘疹や膿疱が出現します。皮脂分泌が増加し、顔全体に広がることもあります。見た目はニキビに似ていますが、治療法は異なります。

第三度:鼻瘤腫型 丘疹が密集・融合して腫瘤状となり、特に鼻が赤紫色に隆起して凹凸が目立ちます。毛穴が拡大し、「ミカンの皮」のような外観を呈するのが特徴です。
第四度:眼型

まぶたの腫れや眼の充血がみられ、結膜炎や角膜炎を合併することがあります。皮膚症状に先行して現れることもあり、日本人では比較的まれです。


酒さの原因

酒さの明確な原因はまだ解明されていませんが、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。

遺伝

家族に酒さの人がみられることから、遺伝的な影響も考えられています。遺伝的な要素以外にも、体質や肌質など、生まれつきの要素が影響している可能性もあります。


皮膚の常在菌

ニキビダニ(デモデックス)というダニは、健康な人の皮膚にも普通に存在しています。しかし、酒さの患者さんでは、このニキビダニが過剰に増殖している場合があり、これが酒さの症状を悪化させている可能性が示唆されています。


血管の異常

顔面の血管が拡張しやすくなっていることが原因の一つと考えられており、気温の変化や紫外線などの外的刺激によって赤みが出やすくなります。例えば、熱いお風呂に入ったり、寒い外気に触れたりした時、血管は拡張したり収縮したりを繰り返しています。酒さの患者さんでは、この血管の反応が過敏になっている可能性があります。


免疫異常

特に細菌や紫外線を感知する自然免疫が過剰に反応することで慢性的な炎症や血管の拡張を引き起こすとされています。酒さになる人は、一般的な人に比べて皮膚の自然免疫系が正常に働かずに、炎症が過剰に起きやすいことがわかっています。外敵から身を守る仕組みが過剰に働くことで炎症が起こると考えられています。


悪化因子

発症や症状の悪化には、辛い食べ物やアルコール摂取、寒暖差の激しい環境、紫外線、精神的ストレスなども関与します。


酒さに効果的な治療法

酒さの治療は症状の程度やタイプに応じて行います。保険診療では以下の薬剤が用いられています。ただし、これらの治療薬は「症状を抑える」ことを目的としており、すべての患者に十分な効果が得られるとは限りません。そのため、症状や生活背景に応じて、レーザー治療や生活習慣の改善を組み合わせることもあります。


  • テトラサイクリン系抗生物質(内服)
  • メトロニダゾール外用(ロゼックスゲル®)
  • イベルメクチン外用
  • アゼライン酸外用