【皮膚科専門医が警鐘】流行の眉毛脱色(ブリーチ)の危険性を解説!眉を明るくしたい時の代替案を紹介

【皮膚科専門医が警鐘】流行の眉毛脱色(ブリーチ)の危険性を解説!眉を明るくしたい時の代替案を紹介

最近、SNSを中心に「眉毛を脱色して垢抜けたい」「自宅で簡単にできる」といった情報を目にする機会が増えています。確かに、眉毛を明るくするだけで一気に雰囲気が変わるため、魅力的な手段に思われるかもしれませんが、実は"眉毛脱色(眉ブリーチ)"は、大きな危険をはらんでいます。そこで、今回は、眉ブリーチのデメリットやリスクについて解説します。

    目次
  1. 1.眉毛ブリーチは、なぜ危険なの?
  2. 2.眉毛ブリーチの主なリスク
  3. 3.炎症を繰り返すと「肌老化」が進む!
  4. 4.それでも眉を明るくしたい時は...?

1.眉毛ブリーチは、なぜ危険なの?

「髪色に合わせて眉を明るくしたい」「抜け感を出したい」と考える方は少なくありません。しかし、眉毛用の脱色剤は、市販のヘアブリーチ剤を代用するケースが多く、それは本来「顔に使うことを前提としていない化学薬品」です。そのため、市販のヘアブリーチ剤を眉毛に使う行為は医学的に非常に危険です。

皮膚は頭皮よりも格段にデリケート。特に目元周りの皮膚は非常に薄くデリケートなため、頭皮用や髪用に作られた強い薬剤をのせると、炎症やアレルギー反応を引き起こすだけでなく、目に入った場合には深刻な障害を招く恐れがあります。たとえ眉毛用と表記されたブリーチ剤を使ったとしても、リスクがないわけではありません。

体毛の脱色は、数十年前からオキシドール(過酸化水素)などを使って行われてきましたが、当時からかぶれを起こす人は少なくありませんでした。そもそも毛の色素(メラニン)を壊すための化学薬剤は、決して皮膚にやさしいものではありません。そのため、一度の使用であっても刺激性の皮膚炎を引き起こすリスクがあるのです。実際にトラブルが多いことから、令和3年に厚生労働省より注意喚起も出ています。つけ加えると、まつげのエクステンションもリスクがあります。グルー(のり)で皮膚がかぶれたり、抜け毛や眼瞼下垂が進行しやすくなったりします。また、洗いにくいのでニキビダニが増えやすくなることもあります。

このように、美しさを求めたはずの行為が、結果として、取り返しのつかない痕を残してしまうこともあります。誰にでも起こり得るリスクであることを理解し、安易な使用は避けるべきと言えます。

2.眉毛ブリーチの主なリスク

セルフでもサロンでも眉ブリーチはNGです。実際、眉毛の脱色で起こり得る主なリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。

肌への強い刺激とアレルギー反応

眉毛の脱色に用いられる薬剤は強いアルカリ性を持つことが多く、薄くデリケートな目元の皮膚には大きな負担となるため、赤みやかゆみ、炎症などのトラブルを引き起こすことがあります。特に敏感肌やアレルギー体質の方は、発疹、腫れといったアレルギー反応を引き起こしやすく、ひどい場合は皮膚がただれた状態になることもあります。また、炎症を繰り返すことで色素沈着を起こしたり、皮膚が感作(ある抗原に対して抗体を作ること)されて起こる「接触性皮膚炎」のかぶれにまで悪化するケースもあります。

眉毛へのダメージ

眉毛の脱色は、髪と同じようにキューティクルを開いてメラニン色素を分解するため、大きな負担を与えます。その過程で水分や油分が失われ、乾燥やゴワつき、チリチリになるなど、眉毛が傷んで質感が変化してしまうことがあります。さらに、繰り返し行うことで薬剤の負担に耐えられなくなり、眉毛が細く弱くなり、切れ毛やまばらな状態に進行する恐れもあります。

目元への使用の危険性

眉用ではない染毛剤や脱色剤が目に入ると、角膜炎や視力障害を引き起こすなど、数分で深刻なダメージが生じる恐れがあり、使用禁止の明記が義務付けられています。実際、韓国では「眉毛染め」「まつ毛ブリーチ」などをうたった違法広告が摘発され、問題になりました。日本でも厚労省がヘアカラー剤やブリーチ剤などの製品に対して「眉毛・まつ毛には使用しないこと」と、注意喚起を行っています。

仕上がりが不自然になる可能性

眉毛をセルフで脱色すると、薬剤の量や時間の加減が難しく、色ムラや想定外の明るさになるなど、仕上がりが不自然な印象になってしまうことがあります。また、一度脱色すると修正が困難。失敗してもすぐにやり直すことはできず、無理に繰り返すと肌や毛への負担が増大します。眉毛は顔全体の印象を左右するため、失敗してしまうと後悔することも少なくありません。

頻繁なメンテナンスが欠かせない

眉毛を脱色すると、当然ながら、新しく生えてくる毛は元の黒色のため、時間が経つと根元部分との色の差が目立ち始めます。そのため、美しい状態を保つには月1程度の定期的なリタッチが必要です。しかし、頻繁な脱色は肌や眉毛への負担を繰り返すことになり、炎症やダメージのリスクも高まります。おしゃれに見せるどころか、長期的には逆効果になる可能性があるのです。

3.炎症を繰り返すと「肌老化」が進む!

「少しヒリつくけど我慢できる程度だから大丈夫」などと思っていると、それは危険信号を見逃している証拠です。たとえ軽度でも、炎症を繰り返すと皮膚バリアが壊され、慢性的な敏感肌や色素沈着を引き起こす可能性があります。さらに、薬剤による刺激で炎症を繰り返すことでダメージが蓄積し、シワやたるみなど肌老化を加速させる要因になります。「微小炎症」と呼ばれる、目に見えてトラブルを起こしていないレベルの炎症でも内部を蝕み、老化を進行させることがわかっています。「ちょっと赤くなっただけ」と軽視せず、刺激そのものを避けることが大切です。

4.それでも眉を明るくしたい時は...?

眉毛を脱色しなくても、印象を軽やかに変える方法はあります。

眉マスカラで手軽にカラー調整

眉マスカラは、毛流れを整えながら自然にトーンを変えられる便利なアイテムです。ブラシでとかすだけで簡単に使えて、髪色やメイクに合わせてカラーを選べるのも魅力です。肌や眉毛への負担が少ないため、日常使いも安心です。眉をワントーン明るくするだけで目元が柔らかい印象になり、アカ抜けた雰囲気を演出できます。脱色で失敗したときのカバーにも有効で、自然な仕上がりを求める人におすすめです。

アイブロウパウダーで自然にトーンアップ

アイブロウパウダーは、眉毛の隙間を自然に埋めながら、ふんわり柔らかい印象を与えることができるアイテムです。明るめのブラウン系を使えば、脱色したような軽やかな仕上がりに。パウダーは色の濃淡を調整しやすいため、自分の理想の眉色をつくりやすいのも魅力です。眉毛がもともと薄い方におすすめです。

眉ティントで長持ちカラーを実現

眉ティントは、角質層に色素を定着させることで、理想の形の眉毛をつくるアイテムです。水や汗に強く、数日間、自然なカラーをキープすることができます。まるで自眉が明るくなったかのような仕上がりで、すっぴんでもナチュラルな印象に。毎日のメイクがグッと時短になるため、忙しい方にもおすすめです。ただし、肌に合わない場合もあるため、使用前にパッチテストを行うようにしましょう。

レーザー脱毛

剃りあとが青々して気になる太眉タイプなら、医療レーザー脱毛がおすすめです。将来的にも不必要な部分だけを医師が照射して脱毛するので、眉メイクが断然楽になります。

医療アートメイク

アートメイクは医療行為で、皮膚の浅い層(コピー用紙1枚くらいの深さ)に、専用の針を用いて色素を入れて定着させ眉毛やアイライン、リップのベースを作る美容技術です。そのため、医師の管理下で看護師が施術しています。汗や水、洗顔では落ちない持続性のあるメイクなので、プールやスパ、スポーツの最中など、どんな時でもメイクをしている時のような美しい状態を保つことができます。半永久的な入れ墨とは異なり、皮膚の浅い部分の染色になるので新陳代謝で徐々に薄くなっていきますが、平均2~3年程度持続(年齢、肌質、ライフスタイルによって個人差あり)します。最近は毛並みを描くように薄眉に仕上げるのでとても自然です。

眉毛脱色は、一見手軽な美容法のように思われがちですが、実際にはさまざまなリスクを伴う行為です。特に目元の皮膚はデリケートなため、脱色剤による炎症やアレルギー反応、ダメージが起こりやすい部位です。美容目的での脱色が、将来的に肌老化や健康被害につながる可能性もあります。トレンド眉を楽しみたい方は、まずは安全性の高いコスメを活用し、必要に応じて医療アートメイクなど、プロ施術を取り入れるのが賢明な選択と言えます。