【いま注目されているエイジングケア成分】選び方や使いこなしのポイントを解説!

年齢とともに気になるハリの低下やシミ、乾燥。これまでの"守り"のケアでは満足できず、結果を出す"攻め"のケアを求める人が増えています。そこで注目されているのが、肌の再生力に働きかける「"攻め"のエイジングケア成分」です。技術進化で高機能成分を配合した化粧品が増え、SNSやCICAブームの影響から"成分買い"もトレンドに。そこで今回は、美容クリニックの視点から、いま話題のエイジングケア成分をピックアップ。その効果的な選び方や使いこなしのポイント、大嘘がまかり通る化粧品の闇までわかりやすく解説します。
1.いま注目されている「"攻め"のエイジングケア成分」
エイジングサインの原因は、加齢によるターンオーバーの乱れ、コラーゲンやエラスチンの減少、酸化ストレスなどさまざまです。それぞれの悩みに合わせて成分を選ぶことで、確実に肌の変化を実感しやすくなります。"攻め"のエイジングケアにおすすめの注目成分を紹介していきます。
ハリ・弾力、シワ改善には「レチノール・ナイアシンアミド・ペプチド」
加齢とともに気になり始める、ハリの低下やシワ。その主な原因は、真皮内のコラーゲンやエラスチンの減少、ターンオーバーの乱れによる肌構造の変化です。こうした年齢サインにアプローチするには、肌の再生力を高め、内側から弾力を取り戻す"機能性成分"を取り入れることが重要です。そんなエイジングサインに多角的にアプローチできるのが、レチノール・ナイアシンアミド・ペプチド。異なる作用機序で肌の弾力維持やシワ改善に働きかけることから、医療・スキンケア両面で注目されています。
■ レチノール
ビタミンAの一種で、肌のターンオーバーやコラーゲン生成を促す代表的なエイジングケア成分です。表皮では古い角質を排出して新しい細胞の生成を促し、真皮では線維芽細胞に働きかけてコラーゲン・ヒアルロン酸の産生を促進。肌のハリ・弾力を高め、シワやたるみの改善、毛穴の引き締めにも効果が期待できます。また、厚生労働省認可のシワ改善有効成分として、有効性は科学的にも裏付けられています。ただし、反応性が高い成分のため、使用初期に赤みや乾燥など刺激を感じる場合があります。保湿剤と直前に混ぜて低濃度から段階的に使用し、夜のみのケアから始めると、A反応(赤みやカサカサ)が出にくくおすすめです。
【ポイント】
・初心者は、低濃度または誘導体(パルミチン酸レチノールなど)配合のやさしい処方を。
・しっかり効果を狙うなら「純粋レチノール」「シワ改善有効成分」表示があるものを選ぶ。
・紫外線で分解されやすいため、朝使用する場合は日焼け止めを必ず併用する。
■ ナイアシンアミド
ビタミンB₃の一種で、レチノールと並ぶ注目のエイジングケア成分。シワ改善・美白・肌あれ防止の3つの効果が厚生労働省に認可されている有効成分です。真皮でのコラーゲン生成を促進するほか、肌のバリア機能を高め、乾燥や炎症を防ぐ働きもあります。また、メラニンの生成を抑制することで、シミ・そばかす予防にも効果が期待できます。レチノールに比べて刺激が少なく、敏感肌や乾燥肌でも取り入れやすいのが特徴です。ハリ・弾力の改善とともに、透明感のある健やかな肌をサポートします。
【ポイント】
・「ナイアシンアミド」または「ニコチン酸アミド」が有効成分として配合された医薬部外品を選ぶ。
・乾燥が気になる方は、保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸)配合の製品と併用するのがおすすめ。
・マイルドな処方のため、レチノールとの併用ケアにも適している。
■ ペプチド
ペプチドはアミノ酸が複数結合した化合物で、肌の生理活性を高める"信号伝達成分"として注目されています。様々な種類があり、一部の機能性ペプチドはコラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌のハリや弾力を維持する作用があるほか、表情ジワへのアプローチや肌荒れ防止にも効果的なペプチドもあります。アミノ酸と異なり、分子が大きいので、角層から表皮浅層までの浸透にとどまります。代表的なものに、「アセチルヘキサペプチド-8」(表情ジワに作用)、「トリペプチド-1銅」「パルミトイルテトラペプチド-7」(コラーゲン生成をサポート)などがあり、近年では複数のペプチドを組み合わせた高機能処方も増えています。
【ポイント】
・ハリ・弾力重視ならコラーゲン生成系を選ぶ。
・表情ジワ対策には「アセチルヘキサペプチド-8」配合をチェック。
・保湿美容液や導入美容液と併用すると、浸透性が高まりやすい。
レチノールは「再生を促す」、ナイアシンアミドは「バリアと透明感を支える」、ペプチドは「構造を補強する」。それぞれ異なる角度からアプローチするこれら3成分を組み合わせることで、肌の表層から深層までトータルにケアし、年齢を感じさせないハリと弾力を取り戻すことができます。
乾燥・うるおい不足には「ヒアルロン酸・セラミド・エクトイン」
季節や環境の変化、加齢、紫外線など、肌の乾燥を引き起こす要因はさまざまです。乾燥が進行するとキメの乱れやつっぱり感だけでなく、バリア機能低下による肌荒れや、シワ・たるみなど老化の進行を招きます。うるおいを守るには、外からの保湿だけでなく、肌本来の保湿機能をサポートする成分を補うケアが重要です。とくに注目すべきは、ヒアルロン酸・セラミド・エクトインの3成分です。それぞれが異なるメカニズムで肌のうるおいを守り、乾燥ダメージに負けない健やかな肌を育みます。
■ ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、1gで約6リットルもの水分を保持できるといわれる高い保水力を持つ成分です。肌の角層~表皮で水分を抱え込み、うるおいを長時間キープします。真皮にも存在する天然の保湿因子で、肌のクッション性を高め、ふっくらとしたハリと弾力を与えます。最近では、分子を小さくした「加水分解ヒアルロン酸」や「ヒアルロン酸Na」など、角層の奥まで届きやすい形状のものも登場。分子量の違いによって働きが異なり、高分子ヒアルロン酸は肌表面にうるおい膜をつくり、低分子ヒアルロン酸は角層のすみずみまで浸透して内側からしっとり感を与えます。
【ポイント】
・乾燥やつっぱりが気になるときは「高分子+低分子」両方を配合した美容液を選ぶ。
・化粧水で水分を与えたあとに、ヒアルロン酸配合の美容液を重ねると保湿効果が高まる。
・加齢によって減少するため、日常的な補給がエイジングケアにもつながる。
■ セラミド
角層細胞のすき間を埋める「細胞間脂質」の主成分であり、うるおいを逃がさない"バリア機能"の要。肌の水分蒸発を防ぎながら、紫外線・乾燥・花粉など、外的刺激から肌を守ります。そのため、セラミドが不足すると、肌は外的刺激に敏感になり、カサつきやかゆみ、肌荒れが起こりやすくなります。化粧品に配合されるセラミドも同様の効果を持つ成分です。さまざまな種類があり、とくに人の細胞間脂質の比率に合わせて作られた「ヒト型セラミド(セラミドNP・NG・APなど)」は肌なじみが良く、バリア機能の回復効果が高いとされ、クリニックでも乾燥肌・敏感肌のケアに推奨されることが多い成分です。
【ポイント】
・「ヒト型セラミド」または「ナノ化セラミド」配合の製品を選ぶと、浸透力・保湿力がより高い。
・化粧水後の美容液やクリームでの"密閉ケア"が効果的。
・ターンオーバーを整えるケアで、肌が自らセラミドを作り出せる環境を整えることも大切。
■ エクトイン
塩湖や砂漠など、過酷な環境を生き抜く微生物が生み出すアミノ酸由来の保護・保湿成分です。自身の数倍もの水を保持できる高い保水力を持ち、乾燥や紫外線、大気汚染などの外的ストレスから肌を守ります。細胞内の水分バランスを安定させることで、肌の自己修復力をサポートし、うるおいとハリのある肌へ導きます。近年はヨーロッパを中心に"環境ストレスから肌を守る次世代保湿成分"として注目され、外的刺激(紫外線・大気汚染・ブルーライトなど)から肌を保護する効果も報告されています。ヒアルロン酸やセラミドとの併用で、よりうるおいの持続力が高まります。敏感肌や乾燥肌も安心して使えるマイルドな処方が多い点も魅力です。
【ポイント】
・乾燥だけでなく、マスク摩擦や季節の変わり目のゆらぎ肌対策にも◎。
・美容液やクリームに配合されたものを選ぶと、角層内での水分保持効果が長く続く。
・ヒアルロン酸・セラミドとの併用で、"守りと攻め"のW保湿ケアが可能に。
「うるおいを抱え込む」ヒアルロン酸、「バリアを立て直す」セラミド、「環境ストレスから守る」エクトイン。この3つの保湿成分を組み合わせることで、肌内部の水分を逃さず、乾燥や刺激にゆらがない、しっとりとした健やかな肌を維持することができます。
シミ・くすみには「トラネキサム酸・ビタミンC・グルタチオン」
加齢や紫外線、炎症などによりメラニンが過剰に生成されると、シミやくすみとして肌表面に現れます。透明感のある肌を維持するには、メラニン生成の抑制と抗酸化ケアの両面からのアプローチが重要です。そんな年齢サインに多角的にアプローチできるのが、トラネキサム酸・ビタミンC・グルタチオンです。異なる作用機序で肌を守り、透明感を高める"攻めの美白成分"として注目されています。
■ トラネキサム酸
トラネキサム酸は、炎症を抑えてメラニン生成をブロックする医薬部外品の有効成分です。もともとは肌荒れに改善効果がある成分として承認されましたが、紫外線や炎症によって誘発されるメラニン生成を抑える作用が明らかになり、シミ・そばかす予防の美白有効成分として広く用いられています。肝斑や色ムラの改善にも有効で、炎症を抑えながら肌荒れも防ぎ、結果として透明感のある肌をサポートします。「m-トラネキサム酸」という名前で呼ばれることもあり、化粧水や美容液などのスキンケアをはじめ、ファンデーションやパウダーなど、幅広いアイテムに配合されています。
【ポイント】
・「医薬部外品」の表記と濃度(0.5%~3%程度が効果的とされる)もチェックする
・化粧品からサプリメントまでさまざまなタイプがあるので、肌質や使用感で選ぶ
・肌荒れを防ぐ効果もあるので、赤みやくすみが出やすい季節の予防ケアにおすすめ
■ ビタミンC(アスコルビン酸・ビタミンC誘導体)
ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素による酸化ストレスを抑制。メラニンの還元やコラーゲン生成促進、毛穴の引き締めなど、肌悩みに幅広く働きかけるマルチプレイヤーです。化粧品ではピュアビタミンCと呼ばれる「アスコルビン酸」や、浸透性や安定性を高めた「ビタミンC誘導体(例:APPS、VCIP)」がよく用いられます。医薬部外品としては美白効果ですが、シミ・くすみ改善だけでなくエイジングケアにも効果的。また過剰な皮脂を抑制し、毛穴やニキビにも働きかけます。メラニン生成の抑制に加え、酸化による肌ダメージを防ぎ、毛穴やキメの整った健やかな肌へ導きます。
【ポイント】
・「医薬部外品」表示の有無で種類と効果を確認する
・光や熱に弱く、刺激を感じる場合があるので、朝の使用は日焼け止めと併用する
・トラネキサム酸やグルタチオンと組み合わせると相乗効果が期待できる
■ グルタチオン
グルタチオンは体内に存在する強力な抗酸化物質で、アミノ酸のペプチドのひとつ。酸化ストレスによるメラニン生成を抑え、肌の透明感を高めます。加齢や紫外線によって減少しやすいため、スキンケアやサプリメントでの補給が推奨されます。美容施術の「白玉点滴」が有名ですが、点滴やサプリメントだけでなく、化粧品の成分としても人気が高まっています。抗酸化作用によって酸化したビタミンCを還元し、その力を再活用するため、他の美白成分と組み合わせることでより高い効果が期待できます。シミやくすみを防ぎ、肌トーンを均一に整える働きがあります。
【ポイント】
・ビタミンCと併用すると抗酸化力が、相乗効果が期待できる
・内服・点滴・外用の特徴を理解して選ぶ高まり
・加齢や紫外線で減少しやすい成分のため、積極的な補給が重要
「炎症を抑える」トラネキサム酸、「抗酸化力でメラニンを還元する」ビタミンC、「細胞保護作用を持つ」グルタチオン。それぞれ異なる角度からアプローチすることで、シミやくすみの目立たない透明感あふれる肌を実現します。
抗酸化ケアには「アスタキサンチン・フラーレン」
酸化は、肌老化を早める最大の要因のひとつです。紫外線やストレス、睡眠不足などで増える活性酸素が、細胞やコラーゲン線維を傷つけ、シミ・シワ・たるみといったトラブルを引き起こします。こうした酸化ダメージを防ぐには、抗酸化ケアによる「攻めのエイジング対策」が欠かせません。なかでも、強力な抗酸化力をもつ「アスタキサンチン」と「フラーレン」は、近年の美容医療や高機能スキンケアでも注目されている成分です。ポリフェノールやコエンザイムQ10なども知られていますが、抗酸化力や安定性、エビデンスの確かさの点で、アスタキサンチンとフラーレンは一歩先を行く存在といえます。
■ アスタキサンチン
アスタキサンチンは、サケやエビなどに含まれる赤い天然色素(カロテノイド)の一種で、ビタミンCの約6000倍、ビタミンEの約550倍ともいわれる強力な抗酸化力を持ちます。紫外線や環境ストレスによる活性酸素を消去し、コラーゲン分解を抑制。肌のハリや弾力を守りながらシミやくすみを防ぐ効果が期待できます。さらに、酸化ストレスによる炎症を抑える働きもあり、エイジングの初期サインに多角的にアプローチします。肌はもちろん、体や目の疲労感の軽減や抗紫外線効果、認知機能改善なども認められています。
【ポイント】
・動物はアスタキサンチンを体内で作れないため、食物から摂取する必要がある。
・紫外線ダメージが気になる季節のケアにおすすめ。
・内外ケアの両面(スキンケア+サプリ)で取り入れると効果的。
■ フラーレン
フラーレンは、ノーベル賞も受賞した炭素による抗酸化成分です。炭素原子がサッカーボール状に結合した分子構造を持つ成分で、ビタミンCの約170倍の抗酸化力を安定的に発揮します。紫外線に強く、長時間にわたって活性酸素を除去できるため、シミ・くすみ予防に加え、肌荒れや炎症の抑制にも有効です。また、バリア機能の回復や毛穴の引き締めにも寄与し、レチノールやビタミンCとの併用で相乗効果が期待されます。化粧品で謳われる効果には、シミやシワの予防、肌のハリ保持、ニキビ予防などがあります。
【ポイント】
・気にすべきは濃度よりも品質。「フラーレンマーク」付き製品を目印に
・朝のスキンケアに取り入れると、紫外線による酸化ダメージ対策に有効
・ビタミンA・C系成分との併用でより高いエイジングケア効果を発揮
アスタキサンチンは"酸化の発生を防ぐ"、フラーレンは"発生した活性酸素を安定的に除去する"という異なる作用で、酸化ストレスから肌を多層的に守ります。強い抗酸化作用と高い安全性を兼ね備えた2成分は、シミ・シワ・たるみといった老化サインの根本にアプローチする「次世代の抗酸化ケア」として、エイジングの兆しを感じ始めた肌には、日常的に取り入れたい成分です。
抗炎症・ニキビケアには「CICA・グリチルリチン酸」
肌の炎症は、一時的な赤みやニキビだけでなく、慢性化するとバリア機能の低下や色素沈着、さらにはシワやくすみなどエイジングの進行にもつながります。炎症を早期に鎮め、肌の回復力を高めることが、美しい肌を維持するための基本です。そんな"肌トラブルの火種"にアプローチできるのが、「CICA(ツボクサエキス)」と「グリチルリチン酸」です。どちらも抗炎症作用と肌修復作用に優れ、敏感肌やゆらぎ肌のケアにも適しています。
■ CICA(ツボクサエキス)
ツボクサエキスは、セリ科植物ツボクサの葉や茎から抽出される天然成分で、「シカ(CICA)」の名で知られています。抗炎症作用・肌修復作用・抗酸化作用を併せ持ち、ダメージを受けた肌の回復をサポート。外的刺激や紫外線による炎症を鎮めながら、コラーゲン生成を促進して、健やかな肌へと導きます。さらに、炎症後の色素沈着、いわゆるニキビ跡の抑制にも効果的です。敏感肌でも使いやすく、季節の変わり目や肌荒れ対策にもおすすめです。
【ポイント】
・保湿成分(ヒアルロン酸・セラミドなど)と併用すると、バリア機能をより強化
・敏感肌や赤み肌の鎮静目的で、毎日のスキンケアに取り入れやすい
・低刺激処方を選ぶと、肌がゆらぎやすい時にも安心
■ グリチルリチン酸(グリチルリチン酸2K/グリチルレチン酸ステアリル)
甘草(カンゾウ)の根から抽出されるグリチルリチン酸は、医薬部外品の抗炎症有効成分として古くから使用されています。炎症を引き起こすサイトカインの働きを抑えることで、ニキビや肌荒れ、あせも、赤みなどの炎症を穏やかに鎮静。さらに、バリア機能を守りながら肌を健やかに保つ作用もあり、敏感肌向けスキンケアの定番成分です。ニキビケア化粧品ではサリチル酸などに比べて低刺激で、幅広い肌質に対応できる点も魅力です。
【ポイント】
・「医薬部外品」表示の有無をチェック
・炎症やニキビが出やすい時期の"予防ケア"としても有効
・長期的に使える穏やかな抗炎症成分として、敏感肌にも◎
肌トラブルの根本にある「炎症」を抑えることは、ニキビや肌荒れの改善だけでなく、将来的なエイジングケアにもつながります。CICAは炎症を鎮めながら肌の再生を促し、グリチルリチン酸は肌を守り整える――。自分の肌状態に合わせて選ぶことで、ゆらぎに負けない健やかな肌を育むことができます。
2.次に来ると話題の「次世代エイジングケア成分」は?
スキンケアは今、"再生"や"細胞エネルギー"に着目した新世代成分が台頭していますが、詐欺まがいの商品も多くご注意ください。特に、幹細胞系、エクソソーム、サーモンDNAなどは、成分の安定性などから考えて効果は期待できません。
■ バクチオール
オランダビユ由来の植物成分で、"次世代レチノール"として注目。コラーゲン生成を促し、ハリや弾力を高めながら、シワ・シミ・ニキビにもアプローチします。レチノール同様の効果を持ちながら刺激が少なく、朝も使えるのが特長。敏感肌やレチノール初心者にもおすすめの低刺激エイジングケア成分です。
■ アゼライン酸
穀物由来の天然成分で、欧米では皮膚科処方の定番。皮脂抑制、抗菌・抗炎症、美白作用を持ち、ニキビ・赤み・くすみなどに多角的にアプローチします。近年は刺激を抑えた高濃度美容液も登場し、脂性肌から敏感肌まで使いやすい設計に。美白と毛穴ケアを両立する万能成分です。
■ エクソソーム
細胞間の情報伝達を担う微小なカプセル構造体。ここ数年美容医療業界では、肌の再生・修復を促す次世代再生成分として注目されています。しかし、このエクソソームには、再生シグナルだけでなく、癌細胞を増やすシグナル物質も含まれ、まさにブラックボックスです。美容医療では注射で皮膚に浸透させるのである程度の効果は期待できますが、最近ではスキンケアへと広がり、"再生系コスメ"として話題となっていますす。ただし、立ち止まってよく考えてください。エクソソーム製材はマイナス40℃で保存すべき成分であり、常温では直ぐに機能を失ってしまうため 、化粧品に含まれるエクソソームは全く意味がありません。臨床試験も行われておらず、一部の人に効いたという実感は、含有される他の成分によるものである場合が多く、ほぼプラシボ効果(気のせい)です。
■ PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)
サーモン由来のDNA断片から得られる再生成分で、肌の修復・弾力アップをサポート。美容医療では"サーモン注射"として知られています。ハリ・弾力を高めながら、若々しいツヤ肌へ導くリジュビネーション成分として注目されていますが、注射で真皮内に入れてこそ効果を発揮できる成分であり、化粧品に含める意味は非常に低いと言わざるを得ません。
■ NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
体内でNAD+に変換され、エネルギー代謝やDNA修復をサポートする"若さスイッチ"成分です。サーチュイン遺伝子を活性化し、肌の活力やハリ・ツヤを高めます。サプリだけでなくスキンケア応用も進み、細胞レベルでエイジングにアプローチする新世代の美容素材と期待されていますが、外用で内服ほどの効果が得られるのかは不明です。
■ ヒト幹細胞培養液
幹細胞を培養する過程で分泌される成長因子を含み、肌の再生や代謝を促進。ターンオーバーを整え、ハリ・弾力・透明感をサポートします。幹細胞そのものではなく、その「培養液」を用いるため安全性が高く、再生医療発のエイジングケア成分として人気です。エクソソーム製材と同様に安定性が悪く 、化粧品に含まれる幹細胞培養液の成分が本当に効果を発揮するのかを明確に示す臨床試験はありません。
■ EGF(上皮成長因子)
肌の表皮細胞の再生を促す成長因子の一種。ターンオーバーを整え、キメや弾力を高めます。2005年に厚生労働省が化粧品成分として承認し、医療・美容双方で注目されています。ツバメの巣など天然素材にも含まれ、エイジングケアの基本成分として定着しています。高分子のため、外用して浸透するのかは不明です。
■ PHA・LHA
刺激を抑えた穏やかなピーリング成分です。PHAは保湿しながら角質をケアでき、敏感肌にも使いやすいのが特徴。LHAはBHA誘導体で毛穴詰まりやくすみにアプローチします。角層ケアと肌再生を両立し、韓国や欧米で人気の"マイルドピーリング"成分です。
3.美容成分を選ぶ際のポイント
賢く組み合わせて、肌悩みに合わせた戦略ケアをするのがおすすめです。
1. 肌悩みの「優先順位」を決める
シワ・たるみ・くすみなど、まずは一番気になる悩みを明確に。目的を絞ることで成分の効果を実感しやすく、刺激やトラブルも防げます。欲張らず、少しずつ組み合わせていくのが理想です。
2. 「攻め」と「守り」をバランスよく
肌への刺激を考慮してバランスを取ることが大切です。レチノールやビタミンCなど"攻め"の成分は、使い方を誤ると乾燥や赤みを招くことも。保湿成分(セラミド・ヒアルロン酸など)で肌を守りながら使うと、効果を感じやすくなります。朝はビタミンC、夜はレチノールなど、時間分けケアもおすすめです。
3. 医師・専門家のアドバイスをとり入れる
美容クリニックでは、肌診断や医師のカウンセリングをもとに、最適な成分・濃度・頻度を提案してもらえます。セルフケアで限界を感じたら、ホームケアと美容医療の併用で効率的にアプローチしましょう。
「攻めのエイジングケア成分」は、年齢サインを"隠すケア"から"変えるケア"へ導くカギです。自分の肌悩みや目的に合った成分を選び、正しく使いこなすことで、内側からハリ・ツヤ・透明感に満ちた肌を育むことができます。ただし、魅力的な文言をすべて信用すると、お金をどぶに捨てることにもなりかねません。エクソソーム、幹細胞培養液、サーモン注射、成長因子、これらの成分は安定的に化粧品に含有することが難しく、外用しても吸収しません。
銀座ケイスキンクリニックでは、医師の診断をもとに、肌状態やライフスタイルに合わせたホームケアや施術をご提案しています。攻めと守りをバランスよく取り入れて、年齢を感じさせない輝く肌を目指しましょう。

