溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)注入剤の安全性が問題になっている昨今ですが、「エンドプラスト」や「アクアミド」のように生体内で吸収されずに永久的に残る製剤が未だに使用されています。これらは異物反応を起こしやすく、不自然なしこり出来てしまった場合、除去する方法は手術しかありません。また、「レディエッセ」や「エランセ」のように数年で吸収される製剤でも、溶解剤が存在しない製剤は、オーバーボリュームになったり、固くしこってしまったりした場合の対処ができず、悲しい思いをしている方もいらっしゃいます。
どちらのタイプも、血管内塞栓や血流障害を生じた場合に、ヒアルロン酸のようにすぐにヒアルロニダーゼで溶解することができないので、重大な事故につながることもあります。
基本的には吸収される製剤は完全吸収されるまで待つ、非吸収性のものの場合手術で除去する、といったことが必要になりますが、当クリニックでは、それ以外の対症療法で、少しでも改善の一助ができればと考えます。
年代 | 50代 |
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性別 | 女性 |
お悩み(大) | 顔 |
お悩み(小) | 他院修正 |
50代女性 他院修正【ヒアルロン酸注入後の遅延型異物肉芽腫の修正事例】
●お悩み・症状:額の凸凹、眉間のしこり
●施術・価格
他院でのヒアルロン酸注入の溶解注射・遅延型異物肉芽腫のしこり修正注射
1ブロック \60,000(3か月以内のリタッチ1回分含む)×7ブロック
内服(抗アレルギー剤、抗生剤、ステロイド、抗ケロイド薬)処方
●施術部位:額~眉間
●リスク・副作用:紅斑・むくみ・アレルギー反応など
3か月前に他院で眉間と額にヒアルロン酸(アラガン社、ジュビダームビスタボリューマXC)を5.0ml注入。直後から仕上がりの凸凹が気になっていましたが、馴染むので様子を見るように指示されました。凸凹が改善しない上に、1か月前から硬いしこりとなってきたためり当院を受診されました。施術技術が未熟なために生じた凸凹と、ジュビタームビスタ製剤に好発する遅延型異物肉芽腫の併発と診断しました。まず、額~眉間にかけて大量のヒアルロニダーゼで溶解注射を行い、カニューレの針穴から用手的に残存したヒアルロン酸製剤を押し出しました。ヒアルロン酸溶解注射は計4回行い、しこり部分には適切に希釈したケナコルト注射を2回併用しました。遅延型異物肉芽腫はステロイド内服が必須なので、プレドニン内服を20㎎から開始し、1か月半かけて漸減したところ症状は全て消褪しました。ジュビダームビスタボリューマ、ボルベラ、ボリフトは他社の製品の40~数百倍以上の高頻度で遅延型異物肉芽腫を生じます。当院ではその事実を確認してから製剤を全て破棄し、以後使用していません。全世界で7割のシェアを誇る製剤ですが、副作用報告の開示および医師への注意喚起が一切なく、企業姿勢に大いに問題があると思います。当院には他院でのヒアルロン酸注入後の副反応や事故のご相談があります。今回の事例は、注入技術の未熟さと、製剤選択の見誤りによる異物肉芽腫の併発でした。信頼できる医師と安全な製剤を選択する賢い目が欠かせません。