2019年9月 6日

雑誌『美的』2019年10月号 (8月22日発売 掲載ページP182~183)

特集「美的読者273名の『困った!』に皮膚科ドクターが答えます!この時期の肌疲れ、不調肌、どうしたらいい?正しいケア方法を知っておこう。夏→秋の『肌バテゆらぎ』にご注意を!」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

『美的』の読者組織・美的クラブ273名に行った、初秋の肌についてのアンケート調査で、美容通でもある美的読者の方々は、夏の間きちんと紫外線対策を行っていても、約8割の方が、夏の終わり~秋にかけて肌の調子の悪さや老け感を実感されています。
それは、夏に受けるダメージが、紫外線だけではないからです。室内での冷房による乾燥、そして室内外の温度差も自律神経を乱し、様々な不調をもたらす原因になります。さらに睡眠の質も低下しやすいので、体にストレスがかかります。自律神経が乱れ、血行不良などの影響が現れると、肌に十分な栄養が届きにくくなり、ターンオーバーの乱れから、バリア機能が低下します。そして、結果的に肌がゆらぎやすくなるのです。
さらに、女性は、暑い季節は食欲が落ちて、冷たい飲み物や甘いものでとりあえずカロリーを補うという、偏った食事になりがちです。肌の材料となるタンパク質や鉄分などのミネラル、良質な脂質が不足し、ますます肌の夏バテを加速させてしまうのです。
まずは、夏の室内ではカラダを冷やしすぎないよう、ストールなどで体温調節しましょう。また、バリア機能の鍵を握る、肌の一番表面にある「角層」を整えることが重要です。「角層」には肌の保湿を担う3大要素が存在し、中でも、水分を抱え込み、肌を健やかに美しく保つ「角質細胞間脂質(セラミド)」は必要不可欠です。これらは、約2週で生まれ変わるので、夏の不摂生のツケは、2週間遅れで肌に現れてしまいます。実際に角質細胞間脂質の量や質が低下すると、バリア機能が乱れ、少しの刺激で炎症を起こしやすくなります。ゆらぎ肌=炎症起こした肌です。肌内部でこうした微弱炎症が続くと細胞や組織にダメージを与え、シミやちりめんジワなどの肌の老化につながることがわかってきています。

では、バリア機能を高めるにはどうしたら良いのでしょうか?
バリア物質は、ターンオーバーの過程で自ら作り出していくものです。「スキンケアの三本柱」と呼ばれる洗浄、保湿、紫外線対策が重要です。優しく洗い、十分に潤し、光対策を怠らないというシンプルなケアが必要です。
特に大人の肌には、十分な量の保湿剤を使用することに加え、その潤いをキープできるように、肌の基礎力を育てるアプローチなどが重要です。乾きを感じながらも、ただ漠然とお手入れを続けているだけでは、肌のエイジングが進行していきます。さらに、肌の夏バテを防ぐには、インナーケア、つまり、食事、睡眠、腸内環境(排泄)、ストレスコントロール、運動などの生活習慣の見直しも大切になります。特に日々の食事は、肌の乾燥対策に大きな関わりがあります。

【初秋ゆらぎのスキンケアポイント】
●ポイント1:摩擦は禁物!手のひらで優しくたっぷりと保湿しましょう!
弱ってバリア機能が低下している肌に、摩擦は禁物です。肌の調子が悪いときは、ガサガサとした手触りになりがちですが、それは角層を厚くして守ろうとする自然な働きです。無理に剥がすのではなく、たっぷりと保湿しましょう。
※当院オリジナルの『セラミドバリアクリーム』https://www.ks-skin.com/35a05/ は、天然セラミドが主成分で、水分保持力・抗炎症作用が高く、季節の変わり目のゆらぎやすいお肌や、敏感に傾きやすいお肌をやさしく守ります。角層のバリア機能が整うため、使い続けることで、キメと透明感が高まります。

●ポイント2:調子の悪いときは「常備コスメ」に切り替えましょう!
肌が弱っているときは、あれもこれもと重ねずに、1品で潤いを補うシンプルなケアに切り替えましょう。デリケートなときでも対応できて、あれた肌を鎮める成分入りのものがおすすめです。アイテムも減らす分、たっぷりっと使いましょう。
水分を塗るのは保水であって保湿ではありません。ゆらぎ肌初期には、真の保湿剤(物質そのものが水を抱えられる保湿成分が配合)うをたっぷり塗るのがお勧めです。セラミドやヒアルロン酸、コラーゲン、アミノ酸といった保湿成分を含むモイスチャライザー使ったお手入れは、確かな保湿効果をもたらします。
ただし、肌が荒れている時や、美容治療後で肌が敏感になっている時は、化粧水がしみる可能性もあります。異変を感じたら皮膚科へ行くのがベストですが、セルフケアなら撥水・角層軟化機能に優れたバームやオイル状のアイテムで、刺激が中に入るのを防いでください。肌に浸透せず、表面でピッタリと膜を作って保護してくれます。
こういう時は新しいコスメは試したりせず、シンプル処方で保湿力重視の、安心して使える「お守りコスメ」を普段から用意しておくのがおすすめです。

●ポイント3:体を温めて、深く眠るために、秋の夜長は湯舟でゆったり過ごしましょう!
肌の調子を上げるために一番欠かせないのは、「良質な睡眠をとる」ことです。そのために寝る前に、ぬるめの湯舟に浸かって体を温めましょう。足先まで温まり、額からじんわり汗が出るくらいまで浸かるのが理想です。リラックス効果で自立神経がより整いやすくなるメリットもあります。

9月は、大気の湿度が低下してくるのでさらに乾きやすくなります。夏のダメージがトラブルとなって表面化する時期です。正しいスキンケア、栄養バランスの取れた食事、こまめな運動、質のいい睡眠を心がけて"夏バテ肌" をケアしましょう。

是非、ご一読ください。


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2019年9月 5日

雑誌『女性セブン』2019年9月5日号(8月22日発売 掲載ページP40~43)

特集「やってはいけない美容法」に慶田院長の監修記事と書籍紹介が掲載されました。

朝のランニングにオレンジジュース、メイクブラシに毎日のローラーもすべていらない習慣だったのです。

「美は一日にしてならず」と言わんばかりに、日々スキンケアやダイエットに勤しむ女性たちですが、しかし、そんな毎日の積み重ねが、むしろあなたの肌を傷つけ、悩みの種を増やしている可能性があります。世にはびこる「間違いだらけの美容法」を、見直しましょう。

若い頃からそれなりにスキンケアや食べ物にも気を使ってきたつもりで、それなのに、いつの間にか頬にできた大きなシミ! 何がいけなかったのか‥‥?
最近はSNSが発達し、巷には自己流の美容法があふれています。そして、美意識の高い人ほど、芸能人やブロガーの『個人の体験談』に踊らされ、間違った美容法を信じてしまいがちです。流行の美容法ほど、間違いが多いことがあります。「無駄な努力」を重ねないために、陥りがちな、間違った美容習慣を正しましょう。

●〝朝のジョギング〟は顔も体も老けさせる
いかにも美容と健康に良さそうな朝のジョギングだが、実は〝老化への最短コース〟なのです。ジョギングはバストの下垂や顔のたるみを引き起こしているのです。バストを支えている『クーパー靭帯』は、振動によって伸び、一度伸びると戻りません。あまり知られていませんが、靭帯は顔にもあり、これも振動に弱く、ジョギングの振動は、靭帯を伸ばして、バストを垂れさせるばかりか、顔のたるみも加速させるのです。
しかも、朝は紫外線量が多く、朝のジョギングは、シミ、くすみ、たるみ、バストの下垂の4つを同時に引き起こすのです。運動するなら、室内でのストレッチやヨガがおすすめです。走ることが好きという方は、せめて日が沈んでからにしましょう。

●「水洗顔」と「メイクブラシ」は肌荒れのもと
過去には、「朝はメイクをしていないので、皮脂を落としすぎないように水だけで洗顔する」と、10年ほど前から、〝洗わない美容法〟が流行り、いまだにその習慣が浸透している人も多くいます。皮脂を落としすぎるのは、確かに肌には良くないのですが、水洗顔だけでいいのは、本当に皮脂の分泌量が少ない、ごく一部の『超乾燥肌』の人のみです。大多数の人は、朝も洗顔料を使うべきです。なぜなら、寝ている間に分泌された皮脂は、朝にはもう酸化して、『過酸化脂質』になっているからです。洗顔料を使ってきちんと洗い落とさないと、角層を厚くしたり、毛穴を詰まらせたり、キメを乱れさせる原因になります。
また、ファンデーションやチークを塗る際に使うメイクブラシも肌にとっては強い刺激になります。化粧品売り場の販売員の方の肌をよく見ると、ニキビの原因になる毛穴の詰まりのコメドがたくさんできてしまっていることがあります。これは間違いなく、メイクブラシのせいでしょう。ブラシを肌の上でクルクルするのは、肌への摩擦が強すぎます。ブラシで肌を擦ることで、刺激から守ろうと肌の角層が厚くなって、毛穴が詰まりやすく、肌荒れもしやすくなるのです。肌が荒れれば、それを隠すため、更にブラシで化粧品を肌に擦り付けてしまい悪循環です。肌荒れの悪循環を断ち切るには、できるだけすべての化粧品を指でつけましょう。どんな化粧品も、指でつけるのが、いちばん刺激が少なく済みます。キレイに洗った指で、擦らずぽんぽんと『置くように』つけてください。アイシャドウやチークも、クリームタイプのものを指でつけるのがおすすめです。パウダーファンデーションやお粉は、肌当たりの良いパフやスポンジを使って優しく載せましょう。どうしてもブラシを使いたい時は、気になるところにだけ、擦らないように気をつけながら使いましょう。
また、道具選びにも気を配りましょう。ナイロンのブラシは肌を痛めやすいので、熊野筆などの上質なものを揃えましょう。スポンジ、パフなどはすべて、最低でも3日に1回は洗ってください。台所用の中性洗剤を使うと、面白いほどキレイになります。百円ショップのもので充分なので、洗い替え用をいくつか用意しておくのもいいでしょう。

●朝の野菜・果物は◎、ただし選び方に注意
「朝の果物は金」といいますが、朝に向いていない果物があります。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類、セロリやキウイ、きゅうりなどには、シミをできやすくする『ソラレン』が多く含まれます。紫外線の害を増幅してしまうので、食べるなら日没後がおすすめです。生で食べる場合も、ジュースで摂る場合も、朝はソラレンを含まず、ビタミンやポリフェノールが豊富なトマトやスイカ、パプリカなどを摂るようにしましょう。
肌に意外な悪さをする果物がある一方で、女性が避けがちなある食べ物が、美容のためには必須というものがあります。肌のうるおいを保つ『セラミド』は、脂質から作られます。太りたくないからといって極端なオイルカットをしていると、乾燥肌が悪化したり、便秘になって肌荒れしたりと、いいことは一つもありません。油は適度に摂るようにしましょう。特に、オメガ3系の良質な油は、肌荒れを防ぐ効果が高いのでおすすめです。えごま油、アマニ油のほか、青魚にも含まれています。加熱に弱いのでサラダやおひたしにかけて摂るようしましょう。

●まつげエクステよりも、自まつげのケアを
まつげエクステ(以下マツエク)は、忙しい女性の味方ですが、これが眼瞼下垂のリスクを大幅に高めています。マツエクの重みは、思っている以上にまぶたにとって大きな負担になります。マツエクのせいでまぶたが垂れ下がる眼瞼下垂が起き、視界が悪くなると、目を見開こうとして、額にしわが寄ります。つまり、マツエクは、老け顔を進行させているのです。目元をパッチリさせたいなら、美容皮膚科で処方されるまつげ専用の育毛剤を使うのがおすすめです。医療用のまつげ育毛剤は、市販のものと違い、臨床試験によるエビデンスがあるので、効果を実感しや水です。医療用グレードのまつげ育毛剤を販売しているサロンもありますが、本来は違法で、品質に問題がある恐れがあるため、美容皮膚科で購入してください。

●スキンケアは夜こそ「手抜き」すべし
美意識の高い女性たちが毎晩気合いを入れて臨む、寝る前のお手入れですが、夜のスキンケアは簡単でもいい!ただでさえ忙しくてストレスの溜まっている人が、スキンケアに時間を費やして睡眠時間を減らすのは本末転倒です。肌や体の組織は、寝ている間に修復・再生されます。睡眠時間が少ないと肌のターンオーバーがうまくいかなくなり、ホルモンバランスや自律神経の乱れによる肌不調にも繋がります。スキンケアの工程をいくつも重ねたり、長時間半身浴したりするのは、余裕がある時だけにしましょう。きっぱり止めてもそれほど変わらないはずです。パックも、パッティングも、マッサージも、無理に毎日行う必要はありません。しかも、スペシャルケアのつもりのパックが悪影響になることもあります。お得な大容量のシートパックは、手でじかに触っても細菌が繁殖しないよう、防腐剤やその代替成分がたっぷり使われています。パックの美容成分の効果よりも、そうした刺激物を肌に〝湿布〟する害が心配です。パックは個包装のものを、ここぞという時だけ使うようにするのが正解です。
そもそも、化粧品の水分や美容成分は、肌のごく表面にしか浸透しません。どんなに化粧水でパッティングしても、コットンの繊維が肌への刺激になるだけで、〝肌の奥まで化粧水が入る〟ということはありません。極論を言えば、化粧水自体、使わなくてもいいもの。肌表面だけをうるおす化粧水よりも、肌が元来持っているうるおいを閉じ込めるクリームの方が、ずっと保湿効果が高いといえます。とはいえ、化粧水で表面をうるおすことでその後のお手入れをしやすくしたり、香りや感触で心地良さが得られるといったメリットもあるので、化粧水自体は悪いものではありません。つける時は、手のひらで優しく包み込むようにしましょう。
たるみ予防・改善のためのマッサージも、毎日行う必要はありません。小顔ローラーなどを使ったマッサージを毎日行うのもNGです。肌のハリ感を保つ真皮層や皮下組織は、引っ張る力に弱いものです。強い力で肌をつかんでぐりぐりと持ち上げる小顔ローラーは、皮下組織のコラーゲン線維を伸ばしたり、ひどい時はちぎってしまうこともあります。朝、むくみが気になる時に軽い力でコロコロすればむくみが取れるので良いですが、毎晩一生懸命ぐりぐりするのはやめ、多くても週2回程度にとどめましょう。
クレンジングしながらのマッサージも、毎日行うと皮下組織を痛める恐れがあります。メイク汚れや皮脂、クレンジング剤の界面活性剤を長時間肌に擦り付けることにもなるので、擦らず短時間で済ませてください。

ケアを頑張れば頑張るほど、かえって肌にとってはよくないこともあるというのが、医学的な見方です。間違った先入観と『やらなければ』という考えを捨てて、ゆるく美容を楽しむことが、美容にも心にもいいのです。美容知識を正しくアップデートすれば、もっと早く、そして簡単に美しくなれるはずです。


≪これが正解!美人を作る肌育習慣おさらい≫
【洗顔料は朝も使うべし】
朝の洗顔は、一部の「超乾燥肌」の人以外は、洗顔料を使うべきです。酵素系洗顔料などの皮脂を落とせる洗顔料をよく泡立て、顔全体を優しく撫でるように10秒ほど洗ってそっとすすぎます。夜の洗顔も同様に優しく行い、角栓が気になる人は洗顔ブラシなどの刺激の強いものは避け、酵素系洗顔料やクレンジングオイルで優しく洗うのが良いです。

【スキンケアは手のひらで。化粧水は省略OK】
基本的に、スキンケアは「手でつける」が正解です。キレイに洗った手に取って、顔を優しく包み込み、押し込むようなイメージでつけます。「手のひらが化粧水を吸う」はウソです。肌にとって本当に必要なのは「水分を与える」ことよりも「肌が持っている水分を逃がさないようにする」ことなので、化粧水よりもクリームのほうに重点をおきましょう。

【ブラシは絶対NG!指を使って優しく】
メイクも手で行うのがベストです。パウダーファンデーションやお粉をつける時は、スポンジやパフを「ぽんぽん」と優しく肌に置くようなイメージです。肌の上をすべらせるようにつけるのは、刺激になるのでNGです。アイシャドウやチークは、クリームタイプを指でつけるか、発色の良いものを清潔なブラシで「ふわっと」ひとはけだけ載せるくらいが良いです。アイシャドウについているチップはブラシよりも刺激が強いので使わないのがベター。
道具は必ずこまめに洗い、痛んだら交換できるようにスペアを用意しておくとよいでしょう。

【クレンジングも入浴も時短がベスト】
「クレンジングしながらマッサージ」は実は厳禁です。肌を擦らないようごく弱い力で行い、クレンジング剤を肌に乗せたら1分以内にすすいでください。入浴時の半身浴やマッサージは不要です。「汗や皮脂を落とせれば充分」くらいの気持ちで、汚れを落とすこととリラックスすることを重視しましょう。

【パックは"ハレの日"だけ、小顔ローラーは週2まで】
「1か月分」「毎日使える」などと書いてある大容量のパックは強力な防腐剤が刺激になります。使うなら1枚入りのものを、大切な日の朝だけに使用しましょう。肌表面がうるおって化粧ノリが良くなります。マッサージはできるだけ弱い力で行うことと、小顔ローラーは手よりも強力なので、週2程度までに抑えるようにしましょう。

【朝のジュースはオレンジよりトマト】
朝は紫外線対策としてビタミンとポリフェノールが豊富なトマト、スイカ、パプリカなどを積極的に摂り、光毒性のあるソラレンを含む柑橘類、キウイ、セロリ、きゅうりなどは避けるようにしましょう。脂質を抑えすぎると乾燥肌や便秘が悪化えごま油、アマニ油、青魚などで、オメガ3を摂取もおすすめです。朝のランニングは老化のもと、ヨガやストレッチなら、振動や紫外線による害の心配がないのでおすすめです。


是非、ご参考にご一読ください。


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2019年9月 4日

雑誌『クロワッサン/croissant』No.1004 2019年9月10日号(8月24日発売 掲載ページP84~85)

特集「こんにゃくセラミドを取り入れて、肌のバリア機能を高めよう」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

季節の変わり目に肌の不調を感じるのは、"セラミド不足"が一因かもしれません。

【美肌を保つためには、"肌のバリア機能"を高めることが大切です。】
夏の間、強い紫外線や冷房などにさらされてダメージを受けた肌は、今の時季すっかりお疲れモードに...
いつもと同じスキンケアをしているのにも関わらず、吹き出物、赤み、かゆみなどを引き起こしたり、肌の不調を訴える人が増えます。また、以前はそうでもなかったのに、季節の変わり目になると、肌が過敏で不安定な状態に陥りやすいのは、加齢も一因です。こうした不調を感じやすくなるのは、表皮のいちばん外側で外界と接している角層の「バリア機能」が弱っている可能性が考えられます。
肌の潤いは、角層の表面を天然のクリームのように覆う「皮脂膜」と、角質細胞内でスポンジのように水を抱える「NMF(天然保湿因子)」、角質細胞間同士のすき間を埋めるように存在する「角質細胞間脂質(セラミド、コレステロール)」の3つの保湿因子で保たれています。
その中でも、特に細胞間脂質の主成分、セラミド(脂質の一つ)の働きは重要です。角質細胞間脂質の40~60%を占めるのがセラミドで、細胞同士をつなぎとめながら、その間に水分を挟み込むことでサンドイッチ状の層(ラメラ構造)を作り、バリア機能を支えています。セラミドは、角層の中でレンガのように並ぶ角質細胞同士を接着する、いわばセメントのような役割を担っています。このセラミドの水分を抱え込む力が強いと、肌内部の水分の蒸発が抑えられ潤いが維持でき、さらには外からの刺激物を中に侵入させないようはじきとばしてくれるのです。これが、肌に本来備わっているバリア機能です。

【夏の終わりに肌ダメージが顕在化する理由】
しかし、夏は紫外線やエアコンなどの、外部からのダメージが蓄積しやすい季節です。セラミドの量や質が低下することで、バリア機能が乱れ、少しの刺激で炎症などのトラブルを起こしやすくなりますまた、残念ながら表皮細胞の中で合成されるセラミドは、年齢とともに肌や体内から減少していきます。バリア機能の低下による微弱炎症は、敏感肌とは異なり一時的なものですが、そのまま放置して乾燥が悪化したり、間違ったケアで炎症を長引かせてしまうと、エイジングの引き金になり、シワやくすみにつながるので、「なんとなく不調な肌」を侮ってはいけません。

【セラミドはどうやって増やすのか?】
バリア機能の中心を担うセラミドや天然保湿因子などのバリア物質は、ターンオーバーの過程で自ら作り出していくものです。今まではそれらを補うのは化粧品という考え方が、基本でしたが、最近はカラダにいい食事やサプリメントなどからも補い、「自活力」を引き出すことが注目されています。ここ10年ほどの研究で、セラミドを経口摂取すると、角層の水分量などの改善効果あり、肌のバリア機能が高まることがわかってきました。年齢とともにセラミドが多い食品を意識的に摂って補うことが、肌を健やかに整え、美しく保つ上で有効です。
セラミドは、あらゆる生物に存在します。動物由来と植物由来があり、経口摂取でその量を増やすことが確認されているのは、植物由来のほうです。全身の肌のバリア機能を強化する働きが期待されます。植物由来のセラミドが豊富に含まれていて近年注目されているのが"こんにゃく芋"です。ただし、市販のこんにゃくは製造過程で含有部分が捨てられてしまうので「生芋こんにゃく」を選びましょう。

【セラミドの可能性】
セラミドを摂ると小腸から吸収・代謝されてスフィンゴイドという脂質の一種に変化します。それが皮膚に到達することで新たなセラミドを作り出しますが、食べたものがそのまま肌のセラミドになるわけではありません。体内でセラミドの合成に関係した酵素が活性化することが分かっています。要は、経口摂取すると、体の中にもともとあるセラミドを作る機能のスイッチを押されるということです。
皮膚の機能改善効果や保水性についてはここ10数年で研究が進み、がんの抑制、アルツハイマーの予防などセラミドが生体にもたらすさまざまな可能性に注目が集まっています。生芋こんにゃくを食べている日本一のこんにゃく生産県、群馬の女性は美肌だった!と、本誌には、群馬県で行ったある調査結果が掲載されています。
こんにゃく農家の女性のほうが、肌の水分を保持する力が高く、シワが少ない傾向にあり、こんにゃくセラミドが多い食品を日常的に摂ると、確かに美肌に効果があるということなのです。
手軽に補うなら、機能性食品としてセラミドを配合したドリンクやサプリメントなども発売されているので活用すると良いでしょう。ただし、セラミドだけを摂取すれば良いわけではありません。セラミド合成のスイッチを入れても他の材料が揃っていなければ、セラミドは生産できません。ターンオーバーにはビタミンB群やCも必要です。
【継続摂取のすすめ】
体内に必要な成分がいつもある状態をキープするためには、継続摂取が大切です。「美は一日にして成らず」今日摂ったのが明日すぐに反映されるわけではなく、数週間から1ヶ月後に結果が現れます。それも劇的ではなく、少しずつです。続けることで確実にいい状態が続くようになります。
とはいえ、ご自身で普段の生活習慣を整えないと、有効成分は効率よく働いてくれません。
基本は、質の良い睡眠を十分にとり、適度な運動で代謝アップを心がけ、バランスの良い食事ですが、サプリメントなどの健康食品も上手に利用して、外からと内からの美容習慣を始めましょう。

是非、ご一読ください。

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2019年9月 2日

出演予定:9月3日(火)22時00~22時54分放送 フジテレビ『レディース有吉』

フジテレビ『レディース有吉』は、有吉弘行さん、吉田朋世さんがMCを務めるバラエティー番組です。明日9月3日の放送は、女性に100万円を渡して「10日間でどれだけキレイになれるのか」を検証します。今回、そんな美しくなりたい女性を番組が一般募集したところ、応募者が殺到。そして、美のカリスマ・IKKOさんとRIKACOさんによるオーディションで選ばれた女性2人が、実際に10日間の100万円美容生活を開始します。韓国弾丸美容ツアーやエステなど、それぞれが自分のやりたかった美容法に挑戦するのです。

その中のお一人が、当院のある美容施術を体験したいとのことで来院されました。施術を受けている様子が放送されます。また、慶田も皮膚科専門医として施術の詳細を解説しておりますので、お時間があれば、ご覧いただけますと嬉しいです。

女性2人のビフォー&アフターは、OAをお楽しみに。

2019年9月 1日

メディア向け講演『ミノン アミノモイスト10th Birthday Party』(2019年9月1日)

先月、行われた「ミノン アミノモイスト10th Birthday Party」で、メディアの方向けに‟敏感肌の現状や正しいケア"について慶田院長が講演を行いました。

【「敏感肌」を自覚している方が7割!「敏感肌」ってどんな肌?】
医療の世界では「敏感肌」という言葉は使いません。明確な定義はなく、皮膚疾患があるほどではないけれど、「なんとなく不調を感じる」と実感する方が、「自分は敏感肌なのでは」と当院にもご相談にいらっしゃいます。

【「なんとなく不調肌」チェックリスト】
☑普段通りのスキンケアをしているのに、調子が良くない日がある
☑肌が乾燥して、化粧品を使うときに刺激を感じる
☑肌にかゆみや赤みが生じることがある
☑季節の変わり目に、肌が荒れやすい

【「なんとなく不調肌」の要因とは?】
「なんとなく不調肌」は大きく生活習慣、環境要因、スキンケア、物理的刺激、生体要因などによります。中でも、生活習慣の見直しは大変重要になります。

・生活習慣:刺激のある食品、アルコール、長風呂、睡眠不足、栄養不足、ストレス、運動不足など
・環境要因:寒気、乾燥、風、暑さ、紫外線、公害など
・スキンケアアイテム:エタノール、有機溶剤、界面活性剤、スクラブ、ピーリングなど
・物理的刺激:顔そり、あかすり、衣服、手の刺激など
・生体要因:遺伝的な体質、アトピー素因、加齢など

【生活習慣の見直しが重要】
生活習慣の5本柱は、「食事・睡眠・排泄・運動・ストレス」です。基本的な生活習慣を整えると、それだけで後天的な「なんとなく不調肌」は改善します。先天的な「なんとなく不調肌」の方にとっても、圧倒的に変化が見られます。若い女性にみられる栄養不足は、肌の部品の欠陥を招き、睡眠が不足すると肌は修復できません。アトピー肌の方が、仕事が忙しく睡眠時間が減ると著しく症状が悪化してしまいます。
また、生活習慣の5本柱が揺らぐとスキンケアの効果も期待できません。

【普段のスキンケアで出来ること】
スキンケアは「洗浄・保湿・紫外線対策」の3本柱です。基本に立ち返り、優しく洗う、十分に潤す、完璧に光対策をすることを意識しましょう。

【頑張るすべての女性へ】
私たちの肌は、その日によってコンディションがさまざまです。誤ったスキンケアの情報を信じてしまい、肌の状況を悪化させてしまうケースもあります。そこでまず皮膚の仕組みや、今の自分の肌状態を知り、生活習慣、スキンケアの方法を見直すなど、あふれる情報の中から正しい情報を選び取る目を養うことが大切です。
肌の悩みは尽きないかと思いますが、あきらめずに向き合うことで必ずよくなります。
やさしく肌を労わりながらも、積極的に肌の悩みを改善できるスキンケアアイテムを使って、美肌を目指してくださいね。

講演会では、慶田院長の書籍『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)も紹介されました。

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