2014年12月12日

ニキビ・ざ瘡・尋常性痤瘡・膿疱性痤瘡・ニキビ跡(ニキビ痕)

ニキビとは、毛穴に皮脂が詰まり細菌(アクネ桿菌)が繁殖し炎症が起きた状態で、医学的には面皰、尋常性痤瘡、または痤瘡と呼ばれる皮膚の炎症性疾患です。
4つの種類(段階)があり、毛穴に白濁色の皮脂の塊が詰まっている状態を白ニキビ(コメド・閉鎖面皰)、毛穴に詰まった皮脂の表側が紫外線や酸素の影響で酸化し黒くなった状態を黒ニキビ(ブラックコメド・開放面皰)、毛穴に炎症を起こし赤く腫れ痛みを伴う状態を赤ニキビ(紅色丘疹)、さらに炎症が進み化膿し黄色い膿を持った状態を黄ニキビ(膿疱)と言います。

肌表面の角質が正常に排泄されず毛穴を塞いだり、皮脂が過剰に出ることで、皮脂が毛穴にたまります。この状態が白ニキビや黒ニキビです。この詰まった皮脂を餌とし、嫌気性(酸素が苦手)の皮膚常在菌であるアクネ菌が増殖します。アクネ菌が皮脂を過酸化脂質に変化させ、遊走した好中球が活性酸素を放出する事で炎症が起こり、赤く腫れ痛みを伴う赤ニキビが出来ます。さらに炎症が進むと、白血球の死がいが黄色い膿となった黄ニキビ(膿疱)へと悪化します。

思春期に発生するニキビは、第二次性徴による男性ホルモンの影響で皮脂分泌が過剰になり出来るため、多くは20代前半頃までに改善、もしくは軽快します。昨今では化粧品によって毛穴が詰まったり、ストレスや睡眠不足、偏食などの不摂生によりホルモンバランスが乱れ、皮脂分泌が多くなる事でニキビが多発している、青年期以降のニキビ(思春期後ざ瘡)が増えています。

炎症がひどい状態のニキビを放っておいたり繰り返すことで、毛穴だけでなく肌組織自体を傷つけ破壊してしまい、クレーターと言われる、陥没や凹凸したニキビ跡(ニキビ痕)が残ってしまう事もあります。

当院のニキビ治療は、それぞれの患者様の状態に合わせた効果的な外用と内服の処方や、ケミカルピーリングやフォトセラピー、ジェントルレーズ、ジェネシスなどのレーザー・光治療を行っています。

フォトセラピーで照射する医療用パルスライトは、ニキビの原因菌であるアクネ桿菌の生成するポリフィリンに作用し殺菌するため、ニキビを減らし出来にくくする効果があります。また、黒色だけでなく茶色や赤色にも作用するため、ニキビやニキビ跡(ニキビ痕)の赤みを薄くすることもできます。ジェントルレーズは産毛を減らし毛穴を引き締める事で皮脂分泌を抑制しニキビを出来にくくさせます。フォトセラピーやジェントルレーズのプレ処置にグリコール酸によるケミカルピーリングがサービスでついています。このグリコール酸の作用でターンオーバーを促進させニキビが出来にくい肌質へ導くとともに、レーザーや光治療のお肌への透過を良くし、治療効果を高めます。
また、クレーターと言われる陥没したニキビ跡(ニキビ痕)の治療には、肌をドット状に入れ替え、コラーゲン線維の生成を促進させるCO2フラクショナルレーザーやダーマローラー、肌理を整え全体的にふっくらさせる水光プラスが効果的です。

20代女性 膿疱性ざ瘡(ニキビ)へのケナコルト注射

部位:右頬、右顎

ニキビ炎症は出来る限り早急に鎮静化しないと、酷いニキビ跡になってしまいます。小さなニキビはフォトフェイシャルM22のアクネフィルターで高出力部分照射すれば改善しますが、深く大きくしこっている場合は、ケナコルトの局所注射を行います。こちらの患者様には、フォトフェイシャルM22のオプションとして、大きなニキビにのみ、ケナコルトの注射を行ったところ、2日後には炎症がおさまり紅斑を伴う結節が平らになりました。できるだけ早期に治療し炎症をおさえることで、線維組織の過剰な増殖や萎縮を抑制し、クレーター状のニキビ跡やしこり、炎症後の赤みを早く消し、色素沈着を予防する効果があります。ケナコルトは脂肪組織に拡散すると凹みを生じるリスクがあるので、小豆大以上の大きなしこりや嚢腫にだけ、正確に注射する必要があります。

kenakoruto_001.jpg

トラネキサム酸

人工的に合成されたアミノ酸製剤で、医療的にはマイルドな止血薬、抗炎症薬として古くから用いられています。さらに美白効果があり、皮膚科では肝斑やしみ、炎症後色素沈着の治療に欠かすことのできない薬です。また、歯ぐきの出血予防として、歯磨き剤などにも添加されています。トラネキサム酸は、「プラスミン」というフィブリンを分解して血餅や血栓を溶かす物質の働きを抑えることで、止血作用を発揮します。このことから「抗プラスミン」薬と呼ばれ、安全性も高いことから各種の出血治療に広く用いられています。

また「プラスミン」はアレルギーや炎症を引き起こす働きも持っており、「抗プラスミン作用」を期待して、湿疹・蕁麻疹(じんましん)・のどの赤みや腫れ・口内炎などにも処方されます。しみの治療としては、特に肝斑に有効で、ほかに日光性色素斑(老人性色素斑)・炎症後色素沈着にも有効性が確認されています。肝斑は東洋人の女性に多い難治性のしみで、妊娠や出産で悪化することから女性ホルモンが影響してできると推測されています。治療薬としてトラネキサム酸の内服効果が高く、広く利用されています。しみは紫外線や物理的・精神的ストレスによる刺激が活性酸素を発生させ、メラノサイト活性因子を産生し、そのシグナルがメラノサイトに伝えられて、メラニンが過剰に作られることで生じると言われています。

トラネキサム酸は初期の段階でメラノサイト活性因子の一つであるプラスミンを阻害し、メラニンを作らせる情報伝達をブロックします。錠剤の内服または点滴で投与します。ほとんど副作用はありませんが、血栓を溶かす作用を抑制し、もともとあった血栓を安定化させてしまう可能性があります。そのため脳梗塞・心筋梗塞・血栓性静脈炎などの血栓ができやすい既往歴がある方には、慎重に投与する必要があります。

銀座ケイスキンクリニックでは、内服はもちろんトラネキサム酸を高濃度ビタミンC点滴、ダーマローラー、スカーレットRF(スカーレットS)、CO2フラクショナルレーザー施術後の浸透型メソセラピーとして肌に導入しています。極水光プラスの美肌カクテルにも含まれ、多角的な美白プログラムをご提案しています。

関連治療

院内処方外用薬・内服薬

ヒアルロン酸注入、ヒアルロン酸注射 

ヒアルロン酸(hyaluronic acid)はグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種で、牛の硝子体(hyaloid)から見つけられ、学術的にはヒアルロナンと呼ばれます。また、ヒアルロン酸はその科学的な結合構造の特徴から、ヒアルロニダーゼによって加水分解されます。粘液性の液体で保水性が高く、生体内では皮膚、関節、硝子体、脳などに多くみられます。人体の水分維持を担い、もともとは人の身体の中に多く含まれている物質ですが、幼少期をピークに段々と失われていきます。そのため美容や健康増進の目的として、経口からサプリメントとして摂取したり、皮膚・関節への注入、化粧品保湿剤として補充されますが、真皮には届きません。

「ヒアルロン酸注入」は、美容目的の皮膚への注入療法と、関節痛の改善目的で直接関節内に注射する方法があります。美容分野における注入療法は、肌のしわや凹み、ボリュームが不足している部分に注入することで、ふくらみを持たせ、若返りをはかります。ほうれい線、ゴルゴライン、頬のこけ、目周りや口周りなどのしわ、凹みや影を改善させるほか、顎や鼻隆などの形成も可能で、その手軽さから「プチ整形」と呼ばれることもあります。またバストアップ・ヒップアップ目的でボディへ注入されることもあります。針を使った治療のため、痛みや内出血のリスクを伴いますが、痛みに関しては注入前の高機能麻酔クリームの外用や、キシロカイン液による局所・ブロック麻酔注射を施すことでかなり軽減できます。内出血に関しては、赤外線と可視光線により血管の走行が目視できる機器「スタットベイン StatVein」を用いたり、あらかじめ止血目的の内服、点滴の併用でリスクを最小限にすることが可能です。

また、特殊なロングカニューラ針(先端がとがっていない針、鈍針)を用いることで血管や神経を傷付けず、皮膚組織の損傷を最小限にし、内出血のリスクも軽減されます。ロングカニューラ針の使用は、頻度は低いものの生じた場合、組織の壊死という重篤な問題となるヒアルロン酸の血管塞栓(つまること)の予防にもなり、安全性に役立ちます。さらにヒアルロン酸注入後の持続期間は、分子量により異なりますが、通常半年~1年、長いもので2年程度で吸収され、その間にヒアルロン酸を核として周囲に自己のコラーゲン線維の新生が行われます。注入したヒアルロン酸そのものは体内に残存しないため安全性が認められており、若返り効果が高い「切らないハッピーリバースエイジング(銀座ケイスキンクリニック商標登録済み)」治療の一つと言えます。 

関連治療

・ヒアルロン酸注入(美人顔デザイン注入)

ボトックス、A型ボツリヌス製剤、ボトックス注射

ボツリヌス菌の有害毒素成分を失活化させたA型ボツリヌス製剤がボトックス注用という製剤で、美容目的で行う注射を「ボトックス注射」と呼びます。一般的にボトックス製剤といわれている商品にはいくつか種類がありますが、「ボトックス」はアラガン社が商標登録をしており、日本の厚生労働省の承認が下りているのはアラガン社の「ボトックスビスタ®」のみです。最近では化粧品として「塗るボトックス」がありますが、しわに効果があるとされるアルジルリンを使用しており、ボトックスは含まれていません。

ボトックス製剤は、もともと神経麻痺などに伴う痙攣の治療薬として古くから使用されていましたが、近年では美容目的としても皮膚に注射されるようになりました。筋弛緩作用を応用し、筋肉の収縮によってできる表情じわ(額の横じわ、眉間の縦じわ、目尻のしわ、スモーカーズライン)を伸ばす効果があります。また、笑った時に歯ぐきが見えるガミースマイルを改善するハッピースマイルボトックスや、小顔や歯ぎしりの改善目的にエラの発達した筋肉(咬筋)を小さくする、小顔ボトックス治療もあります。さらに、毛穴を引き締める作用があるため、肌のきめ・はりを整えます。注入方法によってリフトアップ効果も得られるので、ボトックスリフト治療も人気です。神経伝達物質の放出を抑制することで発汗を抑えるため、脇や手掌(てのひら)・足底などの多汗症の治療としても用いられています。また、皮膚への注射以外に鼻に点鼻することで、花粉症による鼻汁や目のかゆみに対して即時的な効果が得られます。

しわの治療でボトックス注射を行った場合、通常3日後くらいからはっきりした効果があらわれ、3~4ヶ月間持続します。効果が出現している間に、しわの原因となる筋肉が使われなくなり徐々に縮小するため、一般的に2回目以降の注射では持続期間が長くなっていきます。表情の癖を取ることで、しわの治療と予防の両方に役立ちます。ボトックス注射は注入量が比較的少なく、極細針を使用することで痛みや内出血のリスクが低い治療です。

そのため外用麻酔クリームの塗布だけで注射ができ、短時間の施術で高い効果が得られる治療法の一つです。

関連治療

ボトックス注射(表情ジワ)ボトックス注射(ガミースマイル)ボトックス注射(アーモンドアイ)

皮膚線維腫・軟線維腫  

共に良性の間葉系腫瘍です。皮膚線維腫は、線維芽細胞や膠原線維、マクロファージが真皮内で限局性に増殖した硬い腫瘍で、虫刺症などの外傷に反応して発生する場合があります。
成人の四肢に好発し、直径数㎜~2㎝程度の半球性に隆起した結節で、表皮は常色~褐色調を呈します。まれに圧痛がみられますが、通常は症状がほとんどなく、大きくなって支障が生じなければ治療しなくても問題ありません。ただし硬くて黒色調の強いものや成長の早いものは、悪性腫瘍との鑑別を要するため、皮膚科専門医の受診をおすすめします。治療は手術による切除縫合術を行います。

軟線維腫は軟性線維腫とも呼ばれ、主に30代以降の成人にみられる常色~褐色調のやわらかい腫瘍です。肥満体型の人や女性に多く、一種の加齢変化と考えられます。2~3㎜大で頚部や腋窩に多発する小さなものを「アクロコルドン」、1㎝大で体幹に単発するやや大きなものを「軟線維腫」、さらに大きくなり皮膚面から垂れ下がるようになったものを「懸垂性線維腫」と区別することもあります。また、見た目では脂漏性角化症などと区別しにくい場合もあり、総称して「スキンタッグ」と呼ばれる場合もあります。炭酸ガスレーザー手術、窒素による凍結凝固、医療用ハサミによる切除などで治療ができます。

関連治療

CO₂レーザー手術(炭酸ガスレーザー手術)

多汗症

多汗症は、交感神経が失調し、体温上昇とは関係なくエクリン汗腺より汗が過剰に分泌される疾患のことをいいます。汗腺の比較的多い頭部・掌蹠(手の平、足の裏)・わき(腋窩)に多く見られ、緊張や不安、気持ちの持ち方などの精神的な原因による発汗ではなく、身体機能の失調により引き起こされる病的な発汗を指します。

全身にみられる「全身性多汗症」は体質によるほか、有熱性疾患、バセドウ病、リウマチ性関節炎、糖尿病、体温調節中枢の異常や薬剤、妊娠や更年期などでみられます。体の特定の部分にみられる「局所性多汗症」は、顔面、わきの下、掌蹠、外陰部に精神的な緊張で普通以上に汗をかくものをいいます。また多汗症には重症度分類(HDSS)があり、

1:発汗は全く気にならず日常生活に全く支障がない。
2:発汗は我慢ができるが日常生活に時々支障がある。
3:発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある。
4:発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある。


に分けられ、3と4の場合を重症の指標としています。治療は塩化アルミニウム液、抗コリン剤、精神安定剤、漢方、イオントフォレーシス、ボトックス注射、交感神経ブロック、手術などがあります。重症度分類の3と4にあたるワキの重症多汗症にはボトックスの局所注射が2012年11月より保険適応になりました。またワキの多汗症と腋臭症(わきが・ワキガ)を同じ病気であると思っている方がいますが、両者は違う病気です。銀座ケイスキンクリニックでは、厚生労働省で認可されているアラガン社のボトックスビスタを使用しております。外用麻酔後に極細の針で、わきの皮膚の浅い部分にボトックスを細かく注入していきます。

痛みは少々チクチクする程度です。効果は半年~10か月ほど持続しますので、2~3シーズン楽に過ごすことができます。レーザー脱毛で腋毛を減らし、ボトックス注射でワキの多汗症を治療するとワキガを軽減させる効果があり人気治療となっています。


関連治療


レーザー脱毛ボトックス注射(多汗症)

アルブチン

アルブチンとは、お肌の漂白剤として美容皮膚科などでも処方される美白剤である「ハイドロキノン」にブドウ糖が結合したハイドロキノン配糖体で、厚生労働省にも認可されている薬用(医薬部外品)の美白成分です。

アルブチンは、メラニン色素の合成にかかわるチロシナーゼという酵素の活性を阻害してメラニン色素の合成を抑制します。アルブチンには、昔から化粧品に使われている、ウワウルシ・コケモモ・ナシなどの葉に含まれる天然のハイドロキノン配糖体「β-アルブチン」と、ハイドロキノンにブドウ糖をα結合で転移させ、ハイドロキノンを安定化させて安全性を増した「α-アルブチン」という成分があります。天然植物の抽出物であるβ-アルブチンに対し、α-アルブチンは、10倍以上の美白効果があるとされており、一般的に高額な美白化粧品にはα―アルブチンが多く使用されています。

銀座ケイスキンクリニックでは、美白外用剤として5%の高濃度ハイドロキノンクリーム、ルミキシルクリーム、TAエマルジョン(トラネキサム酸)、10%ビタミンC・アミノ酸配合のVCAAローションなどのホームケア用品をご用意しております。

関連治療

院内処方外用薬・内服薬

ミノキシジル

1960年代に血管拡張剤として開発された成分で、元々は高血圧の経口薬として用いられていました。しかしその副作用として全身の多毛症を頻繁に引き起こすことから、頭皮用外用薬としての臨床試験が実施され、脱毛症への有効性が確認されました。その後1980年代に脱毛症の治療として2%のミノキシジル外用液「Rogaine®(ロゲイン)」が発売されました。

男性ホルモンによる脱毛を抑制するプロペシア錠(フィナステリド錠)とは異なり、ミノキシジルは直接毛母細胞に働きかけ、血流を増やすことで毛根に栄養を多くいきわたらせ髪の成長を促進します。そのため、ミノキシジルは女性にも有効です。

フィナステリドは脱毛を抑制し、ミノキシジルが発毛を促進するため、併用することで相乗効果が得られます。当院では薄毛の気になる頭皮にスカーレットRF、ダーマローラーにて細かい穴をあけ、髪の成長を促す成長因子などの薬剤を導入していきます。ミクロの針穴から、育毛・発毛作用のある成長因子やミノキシジルなどの薬液を直接導入するので浸透率が高く、確実な効果を得られる治療です。また育毛水光プラスは薬液をダーマシャイン®で確実に頭皮に注入するので更に効果的で、手打ちと比較して圧倒的に痛みが少ないので人気です。

男性ではプロペシアの内服、女性ではパントスチンの外用・パントガールの内服を併用することで相乗効果が得られます。

関連治療

スカーレットRF(スカーレットS)ダーマローラーダーマシャイン®育毛治療

爪白癬、爪水虫(つめみずむし)

爪白癬、爪水虫(つめみずむし)

爪白癬とは、俗にいう爪水虫のことです。白癬菌に感染すると、爪の先端から白色~黄白色に混濁し、病変は爪母側(爪の根元)に向かって進行していきます。白癬菌は爪と皮膚の間の爪床角質で増殖することが多く、爪甲表面は平滑で変化がないこともありますが、爪床に近い爪甲は脆弱化し(もろくなり)、爪切りなどで軽く削ると粉末状に脱落し空洞化したり、爪甲剥離症(爪と皮膚の間に隙間が出来てしまう)の状態になったりします。

爪の表面にまで病変が及ぶと爪甲が萎縮した状態となります。通常、自覚症状はありませんが、手指の爪に爪甲萎縮を伴うと指先を使用する精密な仕事などに支障を生じる場合があります。また足趾の爪に顕著な爪甲肥厚や爪甲鉤彎症(爪が曲がったまま厚くなった状態)を合併すると歩行時に疼痛を認めることがあります。痒みなどの苦痛を欠くので、放置されていることが多いですが、足白癬や他の部位への白癬菌の供給源となるため、難治性あるいは再発を繰り返している足白癬(足水虫)などがある例では爪白癬がないか爪を詳しく診察する必要があります。爪白癬は親指の爪に好発します。

足の爪、手の爪のいずれも発症しますが、最初は爪ではなく爪と隣りあう指先が水虫となるケースが多く、そこから爪の間へと感染しゆっくりと進行していきます。治療方法としては、抗真菌薬の内服が主体になります。爪は薬剤が浸透しにくい部位であり、抗真菌薬の外用単独では治療効果が出にくいためです。けれども、肝機能障害などの基礎疾患がある場合や、他の内服薬との相互作用や併用禁忌などで内服出来ない場合は、保険適応内の治療ですと外用治療に頼らざるを得ないこともあります。そのような理由で内服治療が難しい患者様にお勧めなのがレーザー治療です。

銀座ケイスキンクリニックでは、ロングパルスNd:YAGレーザーによる温熱効果により爪白癬を殺菌させる治療を行なっております。

関連治療

ジェネシス

白髪

毛髪は、地肌から出ている「毛幹」と、頭皮内部にある「毛根」に分けることができます。

私たちが普段目にしている毛髪とは「毛幹」のことで、毛髪自体を作り出す組織は毛根の先の膨らんだ「毛球」の部分になります。毛母細胞そのものが作り出す毛髪は、もともとは白髪なのですが、メラノサイトと呼ばれる色素細胞が作り出したメラニン色素が毛髪内に取り込まれることで頭髪の色が決まります。メラニン色素は、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類がありますが、ユーメラニンが多いとその色は濃くなり、フェオメラニンが多いと赤みを帯びた色になります。日本人ではユーメラニンがメインなので、毛髪は主に黒色や茶色に染まります。

しかし、色素細胞(メラノサイト)の働きが、何らかの原因で弱まったり消失したりすると、髪を黒くするメラニン色素がつくれず白髪になってしまうのです。色素細胞(メラノサイト)の働きが低下する原因として、遺伝・加齢・ストレス・病気などがあげられます。

白髪の原因やメカニズムについては未だ解明されない点が多く予防も難しいのが現状ですが、少しずつ研究の進んでいる分野もあります。2005年、花王が白髪の発生に特定遺伝子の量が関与していることを確認しています。

また2009年には、東京医科歯科大学のグループが、黒髪の色素をつくる「色素幹細胞」がDNAの損傷を修復できずに自己複製しないですべて分化することで、色素幹細胞が枯渇し、白髪になるというメカニズムを発表しました。人への応用はまだ時間がかかりますが、帽子や日傘を活用し紫外線から頭皮を守ることや規則正しい生活を送り、バランスのよい食事を摂り、自分なりのストレス解消法を見つけるといった日々の生活を見直すこともDNAの損傷を食い止め、白髪予防の一助となるでしょう。

緑色爪・グリーンネイル

緑色爪は、爪甲が緑色に染まっている状態で原因は、細菌の一種である緑膿菌の感染によるものです。緑膿菌性急性爪囲炎に伴う場合と、変性した爪に緑膿菌が増殖して着色する場合があります。緑膿菌は腸内細菌の一つで、湿った環境を好む色素産生菌で、水回りに常在しています。爪甲剥離症(爪と皮膚の間に隙間が出来る)などがあると、爪甲の下に侵入し、繁殖することがあります。爪甲が緑色~褐色調を示すようになりますが、自覚症状はありません。白癬菌やカンジタなどの真菌症(カビ)との合併例もあるため、念のため顕微鏡検査で確認します。

治療方法としては、浮き上がっている爪甲を出来るだけ爪切りやメスで取り除いて、患部を乾燥させ、抗菌薬の外用を行います。真菌症の合併があれば、抗真菌薬の内服や外用薬を併用します。近年、多発しているのは爪甲の上に付け爪(スカルプチュア・ネイルやジェル・ネイル)をしたことが原因で発症するグリーンネイルです。ジェルネイルは紫外線による「光重合」を応用して硬化させます。ジェルは硬化するとわずかに縮み、爪のカーブが広がります。ところが新しく伸びた爪は変形していないので、付け爪が自爪から浮いてくるのです。
付け爪と自身の爪甲との間にできた隙間に湿潤した環境ができると緑膿菌感染を生じて変色することになります。まず付け爪を取り除いて患部の乾燥化を計り、自身の爪甲表面が変色していればヤスリで変色部分をけずります。そして、抗菌薬の外用剤を1日2~3回塗布します。付け爪はネイルサロンで外してもらってから皮膚科を受診しましょう。

薄毛・脱毛症

薄毛とは、頭髪の量が減って地肌が見えてしまう状態のことを言います。男性型脱毛症では1本1本の毛自体が細くなることから始まり、最終的には毛が認められなくなり、軟毛から脱毛の状態になります。最近は女性でも薄毛や脱毛に悩んでいらっしゃる方が増えています。実際には脱毛や薄毛を生じる疾患は多数あり、それぞれのメカニズムごとに分類すると以下のように分かれ、各々治療法が異なります。

070.png


男性の薄毛(男性型脱毛症=Androgenetic Alopecia(AGA)・壮年性脱毛症・遺伝性脱毛症)

男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia「AGA」・壮年性脱毛症・遺伝性脱毛症)は思春期以後の男性にみられる最も一般的な薄毛で、早い方では20歳代前半から発症し、徐々に頭髪が薄くなります。初期には頭頂部~前頭部の毛が細く短くなって軟毛になり、最終的には生え際が後退し、頭頂部の毛髪がなくなります。

毛は成長期、退行期、休止期のサイクルを繰り返していますが、男性型脱毛症の初期は、成長期毛包が十分に大きく育たないうちに退行期になり、進行するとミニチュア化した小さな毛包のまま毛周期を繰り返すため軟毛となり、徐々に休止期にとどまってしまう毛包が増えて無毛化していきます。

原因は遺伝の要素が強く、男性ホルモンとの関連が言われています。前頭部や頭頂部などには、男性ホルモン感受性毛包と呼ばれるホルモン受容体を持った毛包が存在します。この毛包でⅡ型5αリダクターゼと呼ばれる酵素の働きによって血中のテストステロン(男性ホルモン)が、より活性の強い男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に高濃度に変換され、このホルモン受容体と結合すると、毛の増殖を抑制してしまいます。人種の中では白人で発症頻度が高く、日本人成人男性では約3人に1人が男性型脱毛症になると言われています。男性型脱毛症は「病気」というよりも加齢に伴う自然な変化であるという側面もありますが、若い人では大きな悩みになります。

近年様々な研究が進み、有効な治療方法が登場しています。日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン」ではミノキシジルを含有した外用剤(市販薬ではリアップ®:5%ミノキシジル含有)とフィナステリド(プロペシア)の内服薬がエビデンスのある治療として推奨されています。ミノキシジルは毛乳頭細胞を刺激して毛母細胞の増殖を促す成長因子を放出させ毛の成長を促し、フィナステリド(プロペシア®)はII型5α-リダクターゼの作用を抑えて、毛包のミニチュア化を防ぎます。

銀座ケイスキンクリニックでは、ダーマローラー・スカーレットRF(スカーレットS)にて細かい穴をあけ、毛髪再生に有効な薬剤(成長因子、ミノキシジル)を導入する方法や、ダーマシャイン®®を使用し毛髪再生に有効な薬剤(成長因子、ミノキシジル)を直接注入する頭皮療法「育毛水光プラス」、フィナステリド(プロぺシア®)内服などを組み合わせたトータル的育毛治療を行っております。

関連治療

プロペシア

女性の薄毛(女性型脱毛症・女性男性型脱毛症(female androgenic alopecia(FAGA))・びまん性脱毛症・産後脱毛症(分娩後脱毛症))

そもそも毛髪には、毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる成長の周期があります。成長期 → 退行期 → 休止期 → 自然脱毛と進み、一定の期間をおいて、再び成長期に変わります。つまり、永遠に伸び続ける毛髪というのは存在せず、健康な毛髪であっても必ず数年ごとに生え変わっているのです。

女性の薄毛は、円形脱毛症や放射線や抗がん剤による医原性脱毛を除外すると、「加齢変化」「女性の男性型脱毛症(FAGA)」「休止期脱毛」の3つに分類できます。いずれも、女性の薄毛はびまん性に毛が薄くなるので、「びまん性脱毛症」と呼ばれることもあります。

まず、「加齢変化」では、頭部全体の毛が透けて地肌が目立ち、一本一本が細く短くなります。更年期前後に始まることが多く閉経後に目立ってきます。「FAGA」、「休止期脱毛」と併存することもあります。

2つ目の、「女性男性型脱毛症(FAGA)」は、男性に生じる壮年性脱毛(男性型脱毛症AGA)の女性タイプです。男性ホルモンに感受性の高い体質の人に生じやすいと言われています。更年期に女性ホルモンが減ってくると相対的に男性ホルモンの影響が出やすくなり加速することがあります。AGAと同様、男性ホルモンの影響で、成長期が短くなり、毛が細く短い毛に変化します(軟毛化、毛のミニチュア化)。しかし、生え際のラインにはあまり変化がなく、頭頂部から前頭部にかけてびまん性に薄くなる傾向にあります。多くは三十代前半から始まりますが、更年期前後からは加齢影響も加わってくるため、よりはっきりとしてきます。

3つ目の「休止期脱毛」は、本来10%の休止期毛が20%に増加してしまうことで生じる脱毛です。軟毛化は少なく、毛密度の低下が頭部全体に生じます。「急性休止期脱毛」と「慢性休止期脱毛」の2つのタイプに分かれます。
「急性休止期脱毛」は、精神的ストレスや高熱、外科手術、急激な栄養障害、大量出血、出産(分娩後脱毛症)、ホルモンの変化(ピルの内服や中止)、などで起こる急性の脱毛です。太い毛が抜けやすく、数か月で急激に頭部全域の毛髪が薄くなります。ほとんどの場合、原因を取り除くと改善します。
「慢性休止期脱毛」は半年以上のゆっくりした期間で、頭部全域の毛髪密度が徐々に低下します。慢性の全身疾患や鉄欠乏性貧血・極度のダイエット・内分泌疾患・膠原病、薬剤など原因がはっきりしている物は取り除けば回復します。原因不明のものは若年女性に多く難治性の場合もあります。

「産後脱毛症(分娩脱毛症)」は、「急性休止期脱毛」の一つで、出産後2~3ヶ月で抜け毛が始まり、産後半年頃にピークを迎えます。その後は徐々に回復していき、10ヵ月~1年半で自然に治ります。個人差はありますが、出産経験のある女性ならほぼすべての人が経験すると言われています。原因は妊娠・出産に伴うホルモンバランスの乱れです。女性ホルモンにはプロゲステロンとエストロゲンがあり、2週間ごとに規則的に増減していますが、妊娠初期はプロゲステロンが優位に、後期はエストロゲンが優位に働きます。妊娠中はエストロゲンの作用で成長期を維持していた毛髪が、出産後急激にエストロゲンが減少し、一斉に休止期に入るため大量の抜け毛が発生します。また、産後の育児による過労や睡眠不足も影響します。抜け毛の程度は元の髪の長さや量、ヘアケアの状況でも差が出ます。


治療方法としては、まず原因がはっきりしている物はそれを取り除き、栄養状態など生活習慣を改善します。
女性男性型脱毛症(FAGA)の場合、男性同様、プロペシアの内服を考えたいところですが、女性型脱毛症には有効性が認められておらず適用がありません。そこで、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロン(毛根内で作られる活性の強い男性ホルモン)をブロックする有効成分、アルファトラジオール配合の「パントスチン」という外用薬が当院を含め、一部の医療機関で処方されています。市販されている外用薬として血流改善作用により育毛効果が有るミノキシジルが1%配合された女性用外用剤「リアップジェンヌ®」がお勧めです。
更に確実な効果をお求めになりたい方には、銀座ケイスキンクリニックでは、「ダーマローラー」や「スカーレットRF(スカーレットS)」にて頭皮に細かい穴をあけ、毛髪再生に有効な薬剤(成長因子、ミノキシジル)を導入する方法や、ダーマシャイン®を使用し毛髪再生に有効な薬剤(成長因子、ミノキシジル)を直接注入する頭皮療法「育毛水光プラス」をお勧めしています。また、丈夫で弾力のある健康な髪ためにアミノ酸、タンパク質、ビタミンB群などが特殊配合された「パントガール」の内服、FAGAに特に効果を発揮する「パントスチン」の外用も組み合わせたトータルな育毛治療をご提案しております。

 薄毛対策として他に有効なことは、まず食事です。髪の約90%以上はケラチンというたんぱく質でできています。このケラチンを構成するメチオニンは体内で合成できない必須アミノ酸ですので、食事でたんぱく質をとらないと、原料不足で薄毛になります。鶏肉、豆腐、豆類、魚などをバランスよく組み合わせ摂りましょう。また、最近の研究で、毛髪の再生には17型コラーゲンの存在が欠かせないことが分かってきました。コラーゲンの合成には、補酵素としてビタミンC、補因子として鉄が必要なので、ビタミンCと鉄分の豊富な小松菜やレバーなどもおすすめです。さらに毛包周囲の循環を高める、オメガ3脂肪酸も育毛に良い栄養素です。サバやカツオなどの青魚やえごま油、亜麻仁油、ナッツなどに含まれています。併せて、腸内環境を整えることも、これらの栄養素の効率よい吸収に欠かせません。
その他には、質の良い睡眠の確保、毛根の血流を高める為の全身運動、特に肩から首のストレッチやマッサージ、ストレスコントロールも重要です。

関連治療

育毛・発毛治療
カウンセリング予約

文字サイズの変更