インタビュー

わたしの名医インタビュー2020.10.09より抜粋

慶田院長インタビュー記事~医師を志した契機と理念

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銀座ケイスキンクリニックは、最新の照射治療と職人的注入治療を組み合わせることで、メスを使わずに、肌質を高め、バランスのとれた魅力的で若々しい顔立ちに変えていく、切らないハッピーリバースエイジング®を目指している美容皮膚科クリニックです。今回は、院長の慶田朋子先生に、クリニックのこだわりやスキンケアについて、お話を伺いました。

医師を目指したキッカケを教えてください。

慶田 親族がほとんど医療従事者という家系なので、子供の頃から医師という仕事は身近な家業で、その喜びだけでなく、苦労や報われなさも幼心に感じていました。さらに、内科医の父は、家族旅行の最中でも2時間おきぐらいに病院に電話をして担当患者の容態を確認したり、夜中に状態が急変すると病院に駆けつけたりするなど、子供だった私は「患者さんにパパを取られちゃう」とも感じていました。
しかし、小学校3年生の時に、心酔していた担任の先生から「私、女医さんになりたかったんだよね。朋ちゃんならなれるんじゃないかな」と言われたんです。この素敵先生がなりたかったのだから、医者は素晴らしい仕事なのではと思い始めたんです。
また、カトリック系女子校で育ち、「自身の能力は他者のために使ってこそ尊い」という教えから一生働きたいと思っていましたし、「経済的自立と精神的自立は大事」という母の言葉の後押しもあり、女性が差別されない数少ない専門職として医師を志しました。

いろいろな科がある中で、なぜ皮膚科医を目指されたのですか?

慶田昔から手先が器用だったので、外科系に興味がありました。大学5年生の病院実習で、女子医大病院の消化器外科を1カ月間、週末までほぼ休みなく集中して見学させていただいたのですが、体力的にすごく厳しくて、体力も才能だと思い知ったんです。そこで、手術ができて、女性という性を活かせる専門科はないか考えたところ、皮膚科は視診・触診・問診を駆使して病名を推理するという診断学の極致のような面白さがあり、内臓の病気を見つけ出すこともでき、手術を含めていろいろな処置をして治療していくところがとても面白いと思ったんです。また、私自身がアトピー性皮膚炎だったということも大きな理由の一つです。

美容医療に関しては、川島眞教授(現・名誉教授)が、21年前の入局当初から、「皮膚科医専門医がきちんと美容医療を学ばないと患者様が迷惑をうける。今後は絶対に美容医療は必要になる」との考えをお持ちで、両方を学ぶように勧められました。学ぶうちに、保険適応の縛りを超えた新しいジャンルであり、創意工夫の余地があるという美容医療の面白さを感じるようになりました。

患者様への愛の証として、カウンセリングに時間をかける

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銀座ケイスキンクリニックのこだわりや特徴を教えてください。

慶田 自費診療で完全予約制にしたのは、患者様の話をゆっくり聞くためです。聖書の中に「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」という言葉があります。学生の頃、「一つしかない命を捨てたらその後がありません。どうしたらいいんですか?」と神父様に質問したんです。そうしましたら、「命というのは生命としてだけでなく、時間そのものも表しているのですよ。あなたの自由時間は人生であり、命そのもの。友のために時間を惜しみなく与えることは大きな愛です」と答えて頂きました。私はクリスチャンではないですが、患者様には自分の知識と時間を捧げ、愛を尽くしたいと思って診療にあたっています。特に美容の場合は、説明不足からトラブルや裁判になることも多いと聞いています。お陰様で当院は開院から14年間訴訟ゼロ。全員を満足させることは出来ませんが、心は伝わっていると信じています。
カウンセリングに関しては、私の母校であり、皮膚科医として育てて頂いた東京女子医科大学皮膚科で学んだアトピー性皮膚炎の心身医学療法をベースにしています。大学のアトピー外来では、心身症としてアトピー性皮膚炎をとらえ、繰り返しひっかいてしまう掻破行動をどのようにコントロールし、標準治療とスキンケアで寛解させていく教育入院を行っていました。リエゾンといって精神科のドクターと一緒に患者様のお悩みに深くアプローチする経験が糧となり、私は美容の治療をしながら、同時に心のケアもしたいと思っています。さらに美容医療では、患者様のお悩みに寄り添うだけでなく、患者様がなりたい理想の自分に近づけるために何が必要かを一緒に見出していくことが欠かせないとも思っています。

思い出深い患者さんのエピソードはありますか?

慶田 一人目は、長らく介護をしていたご家族を看取った後、ふと鏡を見たら別人のように老けた姿が映っていて、自分の人生は何なんだろうと虚無感に苦しんでいた50代女性です。老化とやつれによる脂肪の萎縮が目立っていたのでヒアルロン酸注入を行ったところ、直後に若返った顔を鏡で見て、「これでやっと自分の人生を生きていける。先生ありがとうございます。」と涙を流されました。もう一名の方は、生まれつき左まぶた全体を覆う巨大なホクロがあり、植皮術を受けたものの、目の縁のホクロはまぶたが変形してしまうので手術できないと言われ諦めていた50代女性です。当院の手術動画をご覧になり、まつ毛の間にあるホクロも手術できることを知り、受診されました。当院でキレイに除去したところ、本当に喜んでくださり、責任を感じながら亡くなったというお母さまのお墓に報告に行かれたとお聞きしたときは、私まで涙ぐんでしまいました。美容医療は施術によって心のケアとなり、自己評価を高め、人生を前向きに踏み出す後押しになることもあるのだと改めて感じました。

患者様を診るうえで心がけていることはありますか?

慶田 自分の母親や妹、友人に向き合うように、愛情をもって、ちょっとお節介なくらいのアドバイスをしています。そして、患者様にとって必要ないもの、メリットがないものは提供しないというのが私の美学です。常に、誠実で真っ当な仕事をしていきたいという思いがあるからです。そこは私のプライドなのですが、そういう気持ちで診療していると、患者様との信頼関係は強固になってきます。本当に必要だから勧めているのか、お金ために勧めているのか、患者様も分かるのだと思います。美の黄金比をベースに、患者様の魅力を高める施術プランをオーダーメイドで提案するのですが、そこにお金をかけるかどうかは人それぞれの価値観です。緊急性があるわけではないので、重要性を感じなければやらなくてもいい、というスタンスです。

ただ、エイジングコンプレックスで自信を無くすのはもったいないと思います。今は人生100年時代なので、全ての女性が元気でパワフルに生きてほしいと思っています。「happy people live longer」「look younger live longer」、見た目が若い人は健康であり、そして幸せを実感しながら生きている人は長生きするというのが、アンチエイジングの世界で常識になってきているんですね。このサポートをしていけるのなら、これ以上の幸せはありません。そして、大切なお顔を預けていただくからには、私自身研鑽を続け、最高の技術を、情熱をもって提供し続けるプロフェッショナルでありたいと思っています。

子供たち、そして次世代の皮膚を守るために光老化対策を啓発していく

患者様にお勧めしているスキンケアはありますか?

慶田 これは、私がいろいろメディアなどでいつもお伝えしていることですが、一つは光老化対策です。私がメディアに出る目的は3つあって、一つは光老化の恐ろしさ。皮膚がんリスクも含めて啓発していくべきだと思っています。特に子供ほど皮膚がんのリスクは高くなりますので、老徴と言われるシミやイボ、たるみなどだけではなく、皮膚がんも含めて子供のうちから光老化対策をしっかり徹底することが大事です。また、将来、子供を産む世代の女性に啓発することで、次の世代の皮膚を守ることができます。
もう一つは、スキンケアの重要性の啓発です。アトピー性皮膚炎はバリア病だということがはっきりしましたが、0歳からのスキンケアを丁寧に行うことで、様々なアレルギーも起きにくくなります。スキンケアの3本柱は、優しく洗って、しっかり潤し、完璧な光対策をすること。世代や性別関係なく、この3つ以外はないと言ってもいいほどです。さらには、大人になっても保湿ケアを見直すことで皮膚が変わっていきます。乾燥肌を放置すると軽微な炎症を繰り返し、老化が進むので、皮膚の病気予防の観点だけでなく、老化対策という意味でも徹底的な保湿は大事です。
そして3つ目は、インナーケアです。インナーケアなくして美しい肌は成り立ちません。きちんと食事や睡眠を取らず、ストレスがある状態でいくらパックをしても効くわけがないのです。20代の人は、きちんと食べて寝るだけでもピカピカの肌になります。肌に良い食事は、概して健康寿命を高めますし、生活習慣病予防になる食事は全部肌に良いんです。肉、魚、豆、野菜、乳製品、発酵食品、食物繊維をきちんと摂ることで、自然と腸内環境も整えることができます。美肌の土台にあるのは、「食事」「睡眠」「排泄(腸内環境)」「運動」「ストレスコントロール」、この5つの生活習慣です。その上に正しいスキンケアを行うことで健やかな肌を守ります。これは、シワ、シミ、毛穴、透明感など全てに関係しています。

美術と医術を融合させた『美医術』とは具体的にどのようなことでしょうか?

慶田 幼少期から手先を動かし作品を作るのが好きで、絵の教室に通ったり、手芸を趣味にしていました。12歳からは女流画家に師事し、週末はアトリエでデッサンし、油絵を描いていた経験が、思いがけずヒアルロン酸注入治療に役立っています。ヒアルロン酸注入は、注入する部位と深さ、注入量などを細かく調整する「デザイン」によって仕上がりに大きな差が出ます。患者様お一人お一人の骨格と脂肪量、下垂の程度を見極めるのですが、デッサンする際にグリッド線越しに対象物を見る習慣が大きく役立っています。立体として顔の加齢変化や左右非対称、弱点や強みを見極め、美の黄金比を考えながら、ミリ単位で注入エリアをデザインし、理想の顔立ちに近づける作業はさながら塑像。芸術的センスと皮膚科専門医の医学的知見に基づき、美術と医術を融合させた「美医術」を目指しています。

患者様に信頼していただくために、心から良いと思っていることに取り組んでいく

今後の展開について教えてください。

慶田 今までの14年間は、患者様の肌のお悩みを解決することを通じて心のケアもしたいという思いで取り組んでまいりました。今後もその方針は変わりません。安全安心な美容医療を提供することで、女性が生き生きと輝き、家庭や社会を明るくする役に立てればこれ以上の幸せはありません。患者様に信頼して通い続けていただくため、そしてスタッフに当院で働くことを喜びとしてもらうためにも、誠実であることは何より大事だと思いますし、今後も心から良いと思うことをしていきます。