WEB『Webéclat』(2020年02月18日掲載)

ライフスタイルまとめ「50代皮膚のできもの:年齢を重ねると増える"できもの" 。イボ・ほくろ...この"できもの"放っておいて大丈夫?」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

ほくろが大きくなってきたり、体にイボができたり...。アラフィー世代になるとなぜか増えるのが"できもの"。年齢を重ねるにつれ、できものができやすくなる理由とは?この"できもの"の正体は?治療法は?そんな疑問や悩みについて慶田院長が解説しています。
 
■脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)■
頭や顔など日光が当たる部位にできやすく、少し隆起した肌色、茶色、黒色の良性腫瘍
脂漏性角化症は表皮の良性腫瘍の一種。老人性イボともいわれ、老化現象のひとつですが、体質によっては20代ごろから徐々に増えてくることも。少し隆起していて表面がざらざら、でこぼこしているのが特徴で、色は肌色から薄茶色、焦げ茶色、暗黒色などさまざまです。頭や顔、首、手の甲など手のひらを除くあらゆる部分にできます。遺伝的素因や、日光(紫外線)による光老化でできるとされ、特に日光に当たりやすい顔、頭、首、背中、手の甲によく見られます。最初は1~2㎜程度と小さいのですが、徐々に大きくなって隆起し、大きいものだと2~3㎝ほどになることもあります。良性腫瘍なので必ずしも治療の必要はありませんが、顔や手の甲などにできて見た目が気になる場合や、髪をとく際に引っかかるなど生活に支障をきたす場合に治療を受ける人が多いようです。
放っておくと、大きくなっていきます。7~8㎜を超えた場合、CO2レーザーで一度にとると傷あとが残りやすいので少しずつとる必要がありますのでお早めにご相談ください。
【できる部位】
頭、顔~首、手の甲、体幹など手のひらや足の裏を除くあらゆる部分にできる。特に、日光が当たりやすい顔、頭、首、背中、手の甲にできやすい。
【色】
色は、肌色や薄茶色、焦げ茶色、暗黒色などさまざま。大きさは1~2㎜の小さなものから、2~3㎝ほどのものまである。
【治療法1:『CO2レーザー』】
CO2レーザーで脂漏性角化症を蒸散させ、皮膚表面からごく浅く削りとる方法。傷はごく浅く、出血もないので傷あとをほぼ残さず治せます。局所麻酔をして行います。CO2レーザー治療後の、再発は少ないですが、脂漏性角化症が大きくて治療でとり残しがあったりすると、再発する場合もあります
【治療法2:液体窒素による凍結療法】
液体窒素で凍結させ、脂漏性角化症の組織を物理的に破砕する方法。麻酔や手術は不要ですが、色素沈着が残りやすく、一度でとれないことが多いので美容的にはあまりおすすめできません。

■色素性母斑(ほくろ)■
年齢を重ねるにつれ、大きくなったり、膨らんできたりと、目立ちやすくなる良性腫瘍
母斑細胞という細胞が皮膚で増殖したものが色素性母斑、いわゆるほくろです。メラニン色素をつくる働きをもち、増殖する皮膚の深さやメラニン色素の量によってほくろの形態は異なり、黒や褐色の平らなものや、盛り上がったイボのようなものまでさまざまです。子供のころからできる場合も、大人になってからできる場合もあり、しだいに大きくなったり、膨らんでいくことがあります。色は時間の経過とともに抜けていき、肌色に近くなっていくことが多いです。良性のものなので放っておいてかまいませんが、気になるならCO2レーザーや手術で切除可能です。顔にほくろが多いと色黒に見えますが、切除することで色白に見えるという利点もあります。
加齢とともに母斑細胞の数が増え、ほくろが大きくなってきたり、膨らんでくることがあります。また、メラニン色素が減って色が薄くなり、肌色に近くなることも。肌色の出ぼくろは、ほくろの最終形といえます。

【治療法1:『CO2レーザー』】
CO2レーザーでほくろを蒸散させ切除します。ほくろは深く入り込んでいるので数回の処置が必要な場合もあります。小さいうちにとると傷あとが目立ちません。6㎜以上のものは2〜4分割して段階的に切除します。
 
■稗粒腫(ひりゅうしゅ)■
目のまわりにできることが多いポツポツとした白い小さな粒状の良性腫瘍
真皮内にできる1~2㎜以内のケラチン物質や細い毛が入った袋状の良性腫瘍で、女性に多く見られます。稗(ひえ)のような白い小さな粒状で、多数できることもあり、多い例では数十個以上できていたケースもあります。まぶたにできることが多いほか、頰、額、陰部にも発生。生まれつき稗粒腫がある場合もありますが、水疱症などの皮膚がはがれるような疾患や、傷などの治癒の過程でできることもあります。真皮の浅い部分にできた袋状の腫瘍なので、皮膚科で注射針やCO2レーザーで穴をあけて、中の白いかたまりを取り出せばきれいになります。

【治療法1:針を刺す】
注射針で小さく穴をあけ、中の白い角質を圧出する方法。小さいものなら傷は1~2日で閉じ、きれいになります。自分で行うと傷あとが残るので必ず皮膚科で行いましょう。
【治療法2:『CO2レーザー』】
針で稗粒種を取り除くと、角質をつくる袋が残り、再発することがありますが、CO2レーザーなら袋ごと角質のかたまりを取り除くので再発の心配がなく確実です。

★わき、額、まぶたなどにできる"できもの"のあれこれ★
わきにできる「軟性線維腫」、体幹にできる「老人性血管腫」など、皮膚の表面にできるできものについて詳しくご紹介いたします。

■軟性線維腫■よくできるところ:わき
主に30代以降の成人に見られる肌色〜褐色の柔らかい良性腫瘍です。肥満体型の人や女性に多く、わきの下、首、胸、そけい部など摩擦が多い部分にできやすいのが特徴。CO2レーザーや、液体窒素による凍結療法、医療用ハサミによる切除で治療できます。

■老人性血管腫■よくできるところ:体幹
毛細血管が拡張、増殖してできる1~4㎜ほどの赤い良性腫瘍です。平らなものや隆起したものがあり、胸、背中、おなかなど体幹にできやすく、顔、腕、足にも生じます。成人後に発症し、加齢とともに増えます。CO2レーザー、YAGレーザーなどで治療可能です。

■老人性脂腺増殖症■よくできるところ:額
額や頰、鼻など皮脂腺が発達している部分にできるニキビのように盛り上がった黄色や白の皮疹。高齢の男性に多く、大きさは2〜6㎜ほどで、1個できることも多発することもあります。皮脂腺が異常に増殖することが原因です。治療の必要はありませんが気になる場合はCO2レーザーや手術で切除できます。

■汗管腫■よくできるところ:まぶた
汗を出すエクリン汗管が腫瘍性に増殖して生じます。まぶたやその周囲にできやすいほか、額、胸もと、首、腹部などにも発現。半米粒大ほどの黄色や肌色の粒々とした丘疹です。良性なので問題ありませんが、気になる場合は『CO2レーザー』や、高周波メスで汗腺を焼く方法などによって治療できます。『ボトックス注射』が有効な症例もあります。

■日光角化症■よくできるところ:こめかみ
日光(紫外線)によって生じる皮膚がんの早期の病変です。こめかみや頰、鼻の頭などにできやすく、カサカサした赤いまだら状のシミのような状態です。皮膚がんに進展するので早めに手術や薬物療法、液体窒素による凍結療法などでの切除が必要です。

★とても似ていて見分けづらいがんの話★
いぼやほくろなどと間違えやすいので注意が必要です。
できものだと思っていたら皮膚がんだったということは少なからずあるので要注意です。皮膚がんにはさまざまな種類があり、なかでも特に頻度が高いのが「基底細胞がん」。ほかにも「悪性黒色腫(メラノーマ)」や、皮膚がんの前段階の「日光角化症」などがあります。

■基底細胞がん■
皮膚の表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞から発生するがん。80%以上が顔に見られ、特に鼻まわりなど顔の中央に多く、原因には紫外線の関与が疑われています。初期は小さな黒い斑点なので、ほくろと間違えがちです。転移することは少なく、手術で切除しきれれば完治する可能性もあります。

■悪性黒色腫■
悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニンをつくるメラノサイトという細胞ががん化したもの。皮膚や爪に黒いシミや、盛り上がったほくろのような形で現れるのが特徴で、日本人では脚や足の裏に最も多く、次に頭、顔、首に多く見られます。早期に手術して完全に切除すれば完治するが、真皮内に浸潤すると化学療法も必要で予後不良の恐れもあります。

★皮膚がんの見分け方★
●ものすごく黒い・色むらがある
ほくろは色が均一なのに対し、皮膚がんの場合は色にムラがあったり、ものすごく黒かったりするのが特徴。
●ひきつれている感じがする
皮膚がんの場合、その部分の皮膚がひきつれているような感じがすることがある。
●境界線があいまい
色素斑の輪郭がギザギザになっていて境界線があいまいだったり、色がにじみ出していたりしたら皮膚がんの可能性あり。
●急激に大きくなる
小さかった色素斑が短期間で急激に大きくなったら要注意。特に直径が6㎜以上になったら皮膚科を受診しましょう。
●左右非対称
ほくろのように左右対称でなく、皮膚がんは、左右非対称のことが多い。
●くずれて潰瘍になる
色素斑がくずれて潰瘍になっていたり、じゅくじゅくした感じがあったり、痛みやかゆみがあったら皮膚がんが疑われる。

早期治療をすれば完治が望めるが、ほくろやシミなどと間違えて見落としやすいので、皮膚科専門医の診察を受けることが大切です。気になる症状がありましたら、一度診察を受けましょう。

是非ご参考になさってください。


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