読売テレビ『かんさい情報ネットten.』 2018年9月3日(月)OA

読売テレビ『かんさい情報ネットten.』 2018年9月3日(月)OAにて、溶けないフィラーといわれている、非吸収製剤「アルカミド」の危険性について慶田院長が解説しました。

今回、大阪に住む女性が大阪のA美容外科の施術により、顔に消えない傷を負ったとして病院側に提訴を起こしました。
訴状によると、この女性は、ほうれい線などの顔のシワを取るために「切らずにできる若返りプチ整形」として手軽さを売りにしている"アルカミド"の注射を2012~2015年の間に計6回顔にうけました。一般的に使われているヒアルロン酸は、1~2年かけて自然に体内に吸収されるため継続的に注入が必要です。しかし"アルカミド"は、専門医のあいだでは、5年以上長持ちすると知られている、と記者会見で発表されました。

実際に美容専門医のあいだでは、"アルカミド"や"アクアミド"などのような非吸収性製剤の注入による副作用問題は10数年以上前から常々取り沙汰されてきました。分解されずに体内に長期的に残ってしまう製剤は、異物反応や感染などのリスクが高く、溶解酵素が存在しないので血流障害を生じた場合は打つ手がありません。このような危険性に関する報告は十分にされています。現在、日本でこのようなハイリスク製剤を使う医師は少数になりつつありますが、それでも今回のような合併症は、たびたび起きており、当院にも多数の患者様が相談にいらっしゃいます。

この女性は施術の際に担当医師から、「持ちが良くて1回打てばずっときれいでいられる、安全性が高いもの」と説明を受けて施術されました。ところが2017年に別のクリニックでヒアルロン酸注入を受けると、右頬に痛みを感じ、顔が1.5倍ほどに腫れあがり意識障害を起こし、アルカミド注入による影響と診断されました。アルカミドは、皮膚の深い所に広範囲で存在していて、今回のケースでは除去するために顔に2.5cm傷が2本残り、医師に傷跡は消えることはないと言われています。原告の女性は、口が開かない、笑うと表情が不自然になる、あまり鏡も見ないようになっている、と訴え悲しみをあわらにしました。

アルカミドはジェル状のシリコン粒子製剤です。96%が無発熱性の水、4%が架橋された「アミドイミドアルキル型高分子均一ポリマー体」という、特殊なソフトコンタクトレンズの原料と類似のもので構成された物質です。注入されると周囲に速やかにコラーゲンの被膜が形成されるため形成効果が安定しているといわれています。しかしこの被膜形成がくせ者で、今回のようにヒアルロン酸注入時に二次感染を生じると、皮膜に包まれた感染巣には抗生剤が届きません。意識障害を伴うような重篤な感染症はこのような経緯で生じたのではないかと推察できます。
今回のように、非吸収性の製剤(溶けないフィラー)により、しこりや石灰化、異物反応、免疫異常、二次感染などのトラブルが起きた場合、切開手術しか方法がありません。非吸収製剤が組織の中に広く入り込み、皮膚や皮下組織、血管、神経などを大きく巻き込んで存在するので、完全に取り除くためには広範囲に組織を失うことになり、切開線だけでなく、凹みや陥没、萎縮、感覚異常、麻痺、表情の変化など、回復不能の後遺障害が残る可能性もあります。既に、欧米諸国では使用や販売が禁止されている国も多く、日本は野放しの状態です。

なかでも、特にアルカミドは硬度が高く、除去が難しかったのでしょう、原告の女性の頬には大きな傷が2本残ってしまいました。このような避けられたかもしれない事例を増やさないためにも、今後、日本国内でも禁止すべき製剤だと思います。

しかし、フィラーによる異物反応やしこりが比較的小さく症状が軽い場合、当院の医師が切開をしない方法でお手伝いできる場合があります。表面に盛り上がって見える硬さを軽減し、目立たなくすることで、これまで多くの患者様に他院で施術されたしこりの修正注射を施しています。修正治療の適応については、医師がお肌の状態を拝見し、しっかり見極めてご案内します。
打つ手がないと思い余っている方は、ぜひ当院にご相談ください。

溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)

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