雑誌『オレンジページ』2020年12月17日号(12月2日発売 掲載ページP81)

特集『オトナ女子の保健室 第58回くろいできもの編』に慶田院長の監修記事が掲載されました。

年齢を重ねるにつれて増える、体や心のトラブル。若いころはなかったのになぜ? 改善する方法はある?そんなアラフォー世代のオトナ女子の悩みに慶田院長が回答しています。

「こめかみのあたりの黒っぽいできものが目立ってきて、気になる......」
アラフォー世代のオトナ女子には、ホクロについてお悩みの方が多く、他にもこのようなお声がよせられています。
「最近、顔のほくろが大きくふくらんできて、できもののようになってきました。ほうっておいて大丈夫?」
「頬にふくらんだ茶色のシミのようなものがいくつかあり、老けて見えるので、なんとかしたい......」
「顔のホクロの数が、年齢とともに増え、皮膚がんではないかと心配です」

【黒や茶色のできものは脂漏性角化症やほくろ】
今回のお悩みのような、黒や茶色っぽいできものにはいくつか種類があります。
■まずひとつが、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)です。
これは皮膚表面の表皮内にできる良性腫瘍の一種。〈老人性イボ〉とも呼ばれ、老化現象としてだれにでもできますが、体質や小児期の日焼けによっては20代から徐々に増えてくる場合もあります。少し隆起し、表面がざらざら、でこぼこしているのが特徴です。

色は普通の肌色、薄茶色、焦げ茶色、暗黒色とさまざま。遺伝的素因や、紫外線によるダメージでできるとされ、日光が当たりやすい顔や、頭、首、背中、手の甲によく見られます。最初は1〜2㎜と小さく、徐々に大きくなって隆起し、2〜3cmになることも。

■もうひとつが、色素性母斑、いわゆるほくろです。
メラニン色素をつくる働きがある母斑細胞という細胞が皮膚で増殖してできます。黒や褐色の平らなものや、盛り上がったイボのようなものまでさまざまです。ほくろは年齢とともに大きくなったり、ふくらんできたり、数が増えてくる傾向があります。色は時間がたつにつれて肌色に近くなっていくこともあります。

■脂漏性角化症とホクロの治療法
脂漏性角化症もほくろも、良性腫瘍なのでほうっておいても問題はありませんが、見た目が気になるなら、自費診療となりますが、皮膚科や美容皮膚科などで治療が可能です。どちらの場合も、CO2レーザーを患部に照射して蒸散、切除する『CO₂レーザー手術(炭酸ガスレーザー手術)』が一般的です。

局所麻酔をして行いますが、脂漏性角化症の場合は、塗る麻酔だけで行える場合がほとんど。また、表皮内に限局しているため、傷はごく浅く、すりむき傷程度。出血もないので、5~6日で上皮化し、傷あとをほぼ残さずに治せます。

ほくろも、小さいうちに取れば傷あとが目立ちません。局所麻酔の注射を行い、8㎜以上のものは、2〜4分割して段階的にCO2レーザーで除去します。施術直後は、照射部位が小さく穴があいた状態(生傷)になり、赤みが目立ちますが、傷は小さいもので4~5日、サイズの大きいものでは1週間~10日程で上皮化します。

当院では、脂漏性角化症を1回に100個以上除去する方も沢山いらっしゃいますが、初めての方で術後の経過が心配であれば、初回は10~30個程度の治療を推奨しています。同じ大きさの腫瘍をまとめて取るとお安くなりますので診察の際ご相談下さいね。

脂漏性角化症は、液体窒素で凍結させて組織を砕く方法もあり、こちらは麻酔は不要ですが色素沈着が残りやすく、一度で取れないことが多いので美容的にはあまりおすすめしません。また、どちらも大きい場合には、手術で切除することがあります。

【皮膚がんが疑われる特徴があれば早めに受診を】
ただ、これらのできものは皮膚がんの場合があるので注意が必要です。
皮膚がんで多いのが基底細胞がんや有棘細胞癌という種類。まれですが悪性黒色腫という予後の悪いがんもあります。これらは特にほくろと間違えやすいですが、ほくろのように色や形が均一ではなく、色にムラがあったり、非常に黒かったりします。ほくろやシミのように見えても、急激に大きくなったり、その部分がひきつれている感じがしたり、輪郭がギザギザで境界があいまいだったり、くずれて潰瘍になっていたら注意が必要です。とはいえ、皮膚がんかどうかは熟練した医師でないと見分けることがむずかしいので、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医のいる皮膚科の受診をおすすめします。皮膚がんの疑いがある場合は手術で切除します。

是非、ご参考になさって下さい。

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