雑誌『美的』2018年9月号 特集その1(7月22日発売)(掲載ページP112~119)

今回、慶田院長は2つの特集を監修しています。
◆特集その1『今度こそ、美肌を取り入れるための「本当の肌質」誌上診断』(掲載ページP112~119)
私の肌は敏感だから、乾燥するから、混合肌だから...実は思い込みのケアで肌がよくならずに悩んでいる方が多いのです。
肌質と一言で言っても、生まれつき(先天的)のものと、日々のお手入れやライフスタイルに影響されるもの(後天的)とがあります。
さらには、元々の肌はオイリー気味だったけれど、年齢とともに乾くようになってきた...といった加齢による変化も加わってきます。
つまり、肌質とはさまざまな要素がからまり合って作られるもの。大切なのは〝今〟の状態を正しく理解し、それに合ったケアをすることなのです。
肌質ごとに、〝強み〟と〝弱み〟があります。たとえば乾燥する肌は一般的にキメが細かく毛穴が目立ちにくく、逆にオイリー気味の肌は艶やかで小ジワができにくい。自分の肌を知り、〝強み〟を伸ばして〝弱み〟を克服すれば、ほかの肌には真似できない美肌を手に入れられます。

<TYPE1 乾燥性敏感肌>
乾燥気味でバリア機能が弱い肌
☑季節の変わり目に肌の調子をくずしやすい
☑乾燥が気になる
☑刺激が気になるから、洗顔はあまりしない
☑クレンジング剤や化粧水がしみることがある
☑肌あれを起こしやすい
☑アトピー体質だと診断されたことがある

<TYPE2 保湿不足乾燥肌>
間違ったお手入れにより、肌が乾燥している
☑肌がベタベタ、ぬるぬるする感覚が苦手
☑洗顔は、汚れが一切残らないようにさっぱり洗い上げるように気をつけている
☑乳液やクリームなど、油分を含んだコスメはあまり使わない
☑肌がゴワゴワと固い。もしくは毛穴が詰まる
☑目や口元に小ジワが目立つときがある

<TYPE3 エイジング乾燥肌>
良い状態(普通肌)だが、年齢と共に乾燥が進んでいる
☑落とす→潤す→守る3ケアは、最低限欠かせない
☑お肌がもっちりとしてすべすべ。肌を褒められることが多い。キメが細かい
☑昔と比べると、乾燥が気になるようになった
☑毛穴の開きや詰まりやすさ、くすみなど、昔はなかった悩みが気になる
☑シワっぽさ、たるみの予兆を感じる

<TYPE4 オイリー混合肌>
皮脂が多めで、特にTゾーンのアブラっぽさが気になる
☑さっぱりとした仕上がりの化粧品が好み
☑日中のテカりや皮脂くずれが気になる
☑特に夏場は毛穴の開きが目立つ
☑洗顔はしっかりと行いたい(しっとり感が残る洗い上がりは苦手)
☑目周りや頬などは乾燥する
☑年齢と共に乾燥が気になってきた

<TYPE5 オイリートラブル肌>
皮脂の分泌が多く、肌が弱るとニキビや赤みなどのトラブル続出
☑肌にベタつきを感じることが多い
☑肌の調子が悪くなると赤くかゆくなったり、吹き出物ができたりする
☑思い出したように、同じ場所にニキビが出現する
☑合わない化粧品を使うと、ぶつぶつができたりかゆくなったりする
☑毛穴が開いている
☑Tゾーンや法令線などに赤みがでる

<TYPE6 ストレス混合肌>
ストレスや疲労などによる影響で肌の皮脂バランスが乱れている
☑寝不足、もしくは不規則な生活
☑ストレスが多く、ジャンクな食生活
☑便秘や冷えなど、慢性的な不調がある
☑ゆったりと肌を慈しむモードになれない
☑生理前や多忙なとき肌トラブルが起こる(ニキビ、赤みなど)
☑昔と比べ、肌がアブラっぽい感じがする

<TYPE1 乾燥性敏感肌>
水分も油分も不足してバリア機能が弱い
肌は、自ら潤い成分を分泌しています。その量が生まれつき少ないのがアトピー素因をもつ乾燥性敏感肌。細胞間を満たす「セラミド」の量は健康な肌と比べ1/3しかないというデータも。角層がスカスカになりやすく、肌が乾いたり、刺激物質が肌の中に入り込んで炎症を引き起こしがちです。
炎症があると、コラーゲンが劣化したり、シミができやすくなったりと、肌の老化が加速します。また、肌が乾燥状態だと小ジワもできやすく、将来のシワリスクが高まります。
一方で、油分の分泌量が元々少ないので、Tゾーンのテカリや毛穴の開きなどがほとんど気にならないのが、この肌質のメリット。潤いを充分に与えることさえ心がければ、良好な肌を保てます。
コスメは、細胞間を満たす成分が入ったものを。具体的には『セラミド』『アミノ酸(ペプチド)』『ヒアルロン酸』入りのものを選ぶとよいでしょう。

●強み
とにかく充分な保湿さえできていれば、トラブルは回避できて良好な肌を保てる。キメが細かく、毛穴も目立ちにくい。
●弱み
全体的に潤いが少なく、バリア機能が低下しやすい。乾燥すると肌トラブルが起こりやすく、炎症により老化も加速しがち。
●すべきケア
バリア機能の強化
洗顔はシンプル・短時間で 潤い損失を最小限に。
保湿は「細胞間を満たす」コスメを投入

「バリア強化」のための重点お手入れポイント
POINT1 こすらず洗う
・クレンジングはW洗顔不要のすぐ落ちオイルタイプを
クレンジング料を長く肌にのせていると乾燥を招くので、30秒〜1分を目安に。こすらずに短時間でメイクを浮かせられる、W洗顔不要のオイルタイプがおすすめです。
・朝の洗顔は泡で肌をなでる程度に
忙しい朝は、泡立てがおろそかになりがち。泡で出てくるタイプは泡の密度も一定で、肌への刺激となりにくい。

POINT2 細胞間を満たす保湿
・「セラミド補給」or「バリア強化」コスメを選ぶ
単なる油分ではなく、セラミドやアミノ酸など肌内部を満たす成分入りの保湿コスメを。

POINT3 日中も潤い膜で肌をシールド
・紫外線予防もできて潤い持続力の高いクリームを
バリア機能の弱い肌は、紫外線ダメージも受けやすいので防御が必要です。朝は、しっとり感が持続する日焼け止めやファンデーションで仕上げましょう。

<TYPE2 保湿不足乾燥肌>
さっぱりケアが好きで、若い頃のままのお手入れを継続
洗顔はキュッとするまで洗わないと気がすまない、ベタつくからしっとり系のコスメは苦手、と感じるのがこのタイプ。さっぱりケアが好きだから、保湿は化粧水だけで完了、ということも。
若いうちはそれでも問題なく過ごせていたかもしれません。けれど肌の代謝が落ちる30代以降、そのままだと乾燥や老化が進んでしまいます。
このタイプに必要なのは、ケアに対する「意識改革」です。
お手入れの後に手が吸い付くようなしっとり感があるのが、美肌のためには良い、と認識を改めましょう。若い頃のアイテムをそのまま使っている人は、より潤うタイプのコスメに切り替えるのも推奨したいです。
具体的には、保湿に油分を含んだコスメをプラスすること。さらには、このタイプはハードに洗顔しすぎる傾向にあるので、洗顔法の見直しや、肌に負担をかけない角質ケア方法を実践して。

●強み
不適切なケアにより乾燥を招いているので、ケアを見直しさえすればすぐに美肌になれる。元々の肌は比較的強く健やか。
●弱み
肌上の潤いを「ベタついて心地悪い」と感じがちなので、美肌になるためには思い切った意識改革が必要。
●すべきケア
若い頃からのクセを変える
さっぱりより、「吸い付くような潤肌」が良いと意識改革。まずは洗顔法の見直しと、保湿アイテムの追加。

「潤い強化」のための重点お手入れポイント

POIN1 洗顔力の見直し
・力を入れすぎていないか鏡の前で確認を
力を入れても毛穴の汚れは落ちず、肌を傷めるだけ。泡を転がすときに、肌が動かない力加減をマスターして。鏡を見ながら力加減を確認して。
・すっきりオフしたい日は洗顔料を切り替える
力を入れがちな人は、ザラザラしたスクラブは避けて。すっきりしたい日は、酵素洗顔料やクレイパックなど、肌をこすらずに角質をオフできる洗顔料を。

POIN2 肌をほぐすケアを追加
・古い角質をさっぱりオフできる拭き取り美容液
今すぐゴワつきを解消したいなら、拭き取りコスメが即効性あり。力を入れないようコットンをすべらせて。次に使う化粧水の浸透も高まります。
・潤いを与えながら柔肌を育てる軽めの乳液
吸い付く潤肌へと意識改革するファーストアイテムとして、洗顔後すぐに使う乳液やクリームもおすすめ。次に化粧水を重ねるので、ベタつきを感じず油分で肌が柔らかくほぐれるのが体感できる。

POINT3 ケアの締めは油分入りコスメで
・油分嫌いさんにも使いやすいジェルクリーム
化粧水や美容液の後、「フタ」となるアイテムをプラスして。
・積極美肌を目指すならレチノール入り
レチノール(ビタミンA)には、肌の代謝を高める働きが。肌の力が底上げされるので、ゴワつき、毛穴詰まり、乾燥などあらゆる悩みを同時に解決できます。

<TYPE3 エイジング乾燥肌>
肌状態は良好。ただし加齢とともに代謝が低下
それなりに正しいお手入れを実践していて、大きなトラブルとは無縁の肌タイプ。「理想肌」といってもよく、一般的な肌質チェックでは「普通肌」と分類されることが多いはずです。ただ、肌は年齢とともに変化するもの。特に30代以降は、肌の代謝が低下して乾燥が進む傾向に。目の周りやほうれい線の小ジワが気になったり、肌の色ムラやくすみが増えたように感じる人が増えてきます。
そこで、代謝の落ちた肌に〝ジャブ〟を入れるような攻めのケアを取り入れると、肌が再び活性化します。
このタイプの肌は角層の状態が整っているので、攻めのケアが効きやすいのが強みです。シミや色ムラが気になるなら美白、シワが気になるなら抗シワ成分入りのアイテムなど、悩みに応じた機能コスメを取り入れてみては。美容医療でも、元々の肌状態が良い人ほど結果が出る傾向があります。

●強み
大きなトラブルは見当たらず、角層の状態は比較的良好。美白やシワケアなど、攻めの機能コスメの効果が出やすい。
●弱み
弱みは少ないが、肌は加齢とともに変化する。美肌を持続させるためには変化に応じたエイジングケアの実践が必要。
●すべきケア
代謝アップ&攻めのポイントケア
なまけ肌にジャブを入れる肌活性ケアを。角層状態は良好なので、美白や抗シワの攻めケアも効く

「代謝アップ&攻め」のための重点お手入れポイント
POINT1 炭酸コスメを取り入れる
・炭酸の血流アップ効果で肌を活性化

POINT2 悩み対応美容液を1本投入
・シワやシミに効果的な医薬部外品や美容成分が高配合された美容液などがおすすめ

<TYPE4 オイリー混合肌>
Tゾーンがアブラっぽい。でもほかの部位は乾燥する
解剖学的に、体の中心を走る線(正中線)は皮脂分泌が多いという特徴が。だからTゾーンがほかの部分と比べてアブラっぽいのは当然のこと。肌としては正常で、悩む必要はありません。
ただ、混合肌の人はケアの照準をTゾーンに合わせてしまいがちです。アブラっぽいからと取り去るケアを熱心に行ったり、保湿を控えたりすることで、その他の部分の乾燥が進んでしまう傾向があります。
そこで必要なのが、部位ごとにお手入れ方法を変えること。たとえば洗うときは皮脂の多いTゾーンから泡をのせて時間差をつける、その逆に保湿コスメはUゾーンからのせて、手に余った少量をTゾーンに使うなど、レベル分けすると全体が均一に整います。
顔を全体で見たとき、Tゾーンにツヤがあるのは自然だし、立体的に見えます。天性のツヤが与えられた肌だと、プラスに捉えるといいと思います。

●強み
Tゾーンがその他の部分に比べてアブラっぽいのは正常なこと。解剖学的には健全な肌状態で、メジャーな肌質といえる。
●弱み
部位ごとに肌の性質が異なるので、それに応じたケアが必要。ベタつきを気にするあまり、乾燥を招くケアをしがち
●すべきケア
部位ごとに保湿レベルを変える
洗うのはTゾーンから、保湿は頰から。顔をブロックに分けてお手入れする習慣を

「混合肌」のための重点お手入れポイント

PONT1 洗顔はTゾーンから
・泡はまずTゾーンへ。最後にさっと頰を洗う
洗顔はTゾーンから。細かくらせんを描くように泡を転がす。その後、頬はさっと泡を広げる程度で終了。時間差をつけることでちょうど良く洗える。

PONT2 保湿は頰から
・ブロックにわけてコスメを塗る
顔を3ブロックに分けて保湿。手のひらに広げたコスメをまず頰にのせてから、余ったものをTゾーンへ。乾く部分にはコスメを追加して重ね付けしましょう。

POINT3 メイク下地は2種類を使う
・Tゾーン用のテカり予防下地
少し面倒ですが、乾く部分には普通の下地、Tゾーンには専用下地、と2種類塗り分けると化粧崩れしにくくなります。

<TYPE5 オイリートラブル肌>
アブラっぽくて、ニキビや赤みトラブルなどが起こりやすい
とにかく皮脂分泌が多くて、ベタつきや毛穴の広がり、ブツブツ...と悩みの多い肌。思春期の頃、ニキビに悩まされたという人も多いのでは?けれども人生の前半で悩んだ代わりに、30代以降は大きな恩恵が受けられます。
皮脂は、肌を守るヴェールです。だから常に皮脂で守られているオイリー肌は老化しにくいのです。一般的に潤いが低下する年代になっても、艶やかでシワの少ない人が多いです。 ただし、過剰な皮脂は諸刃の剣。肌の上に放置すると酸化して、炎症を起こしたり細胞を傷つけたりとダメージ要因となります。
分泌された皮脂は、なるべく時間をおかずにオフするのが鉄則。特に、紫外線を浴びる環境ではダメージ度合いも大きくなります。UV対策がマストなのはもちろんのこと、肌を鎮静する抗炎症コスメなどで〝火消し〟ケアを。トラブルになる前に酸化ダメージを食い止めることが重要です。
●強み
皮脂の分泌が多い=強力な皮脂膜で常に肌が保護されているということ。その分乾燥しないので、老化しにくい。
●弱み
過剰な皮脂が肌の上で酸化して、さまざまなトラブルを引き起こす。毛穴の開きも目立ち、肌に赤みも出やすい。
●すべきケア
皮脂の酸化を防いで鎮静保湿
ベタつきは放置せずに早めに落とす。抗炎・鎮静成分入りコスメでトラブルを予防

「鎮静保湿」のための重点お手入れポイント

POINT1 帰宅後すぐに洗顔
・帰宅したらすぐに洗顔して、酸化皮脂をオフ。朝も夜も洗顔料を使ってきちんと皮脂を落とすことが必要です。ただし、オイリーだからとゴシゴシ強く洗うのは禁物。泡を転がすように優しい力加減で洗いましょう。

POINT2 鎮静コスメで保湿
・鎮静・消炎効果のある敏感肌用の保湿コスメがおすすめ。

POINT3 ケアベースで日中もトラブル鎮静
・メイクをしている間も、薬用成分やトラネキサム酸入りでトラブルケアできるアイテムがあります。

<TYPE6 ストレス混合肌>
ストレスや疲労で肌の調子が不安定
人間の体をつかさどる自律神経は、ストレスを受けると戦うための「交感神経」が優位な状態に。そうすると肌の血流が減少して、代謝が低下。さまざまな肌トラブルが起こりやすくなります。一方で皮脂量は増えるので、調子が悪いのにベタベタする、非常にやっかいな肌状態になりがちです。
体の内側から起こっている不調なので、とにかく心身をいたわることが優先です。健やかな肌のためには、5つの条件があります。
①食事、②睡眠、③排泄(腸内環境)、④運動(血の巡り)、⑤ストレスコントロール。この5本柱を改善しましょう。忙しくて平日は睡眠不足という人は、休日にたっぷり寝て睡眠不足をリセット。普段の食事がおろそかな人は、自分へのご褒美としてときどきステーキ(などの高たんぱく質食材)を食べるのも良いでしょう。ストレスが多く忙しい日々の中で、少しでも心身が喜ぶことを増やす工夫を。

●強み
心身の状態を反映しやすい肌。ぐっすり寝たり、ときめくことがあったり、日々の生活が改善されることで劇的に向上。
●弱み
肌があれる、乾くのにアブラっぽい、くすむ、毛穴やくまが目立つ...と、あらゆる悩みが同時多発して、ケアが難しい。
●すべきケア
とにかく早く寝て、体調を立て直す
ストレス混合肌に必要なのは休息とリラックス。時短できる心地よいコスメを取り入れて

「ストレスケア」のための重点お手入れポイント

POINT1 時短コスメの活用
・ケアで時短。その分寝るべし!
余裕のないときは時短ケアと割り切って、睡眠時間を稼ぐのもひとつの選択です。眠る直前のスマホチェックや寝酒など、睡眠の質を低下させる行為も控えましょう。シンプルケアや時々は時短に最適なオールインワンなどを活用してもOK。

POINT2 ご褒美コスメでリラックス
・余裕のある日は湯上りに癒しのケアを
香りや感触を楽しむことも、リラックスできて美肌につながります。できれば夜は湯船に浸かって体を温めてから寝ると、同じ睡眠時間でも肌の回復が高まります。

POINT3 体の中からストレスケア
・乱れがちな腸内環境も整えて
ストレスは腸内環境も乱します。腸内が乱れると腐敗物質が血中に回り、肌あれや乾燥を引き起こします。発酵食品などをとったり、体を動かすようにしましょう。

2つ目の特集もご覧ください。

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