炭水化物

有機栄養素のうち炭水化物、蛋白質、脂肪は、多くの生物種が用いる栄養素であり、「三大栄養素」とも呼ばれています。その中でも、炭水化物は人間の主要なエネルギー源となる栄養素です。

炭水化物は糖質と食物繊維の総称で、非常に多様な種類があり、砂糖、穀類、芋類、根菜また、砂糖と穀類を使ったパンや麺類、お菓子に多く含まれ、天然に存在する有機化合物の中で最も多くを占めています。

成人1日あたりの摂取量の目安は男性300g前後、女性250g前後です。

これらの炭水化物に含まれている糖質は

単糖類〔グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース〕
二糖類〔スクロース(しょ糖(砂糖))、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)〕
多糖類(デンプン)

などに分けられます。

口から摂取された炭水化物は、消化器系(唾液、膵臓、小腸)からの消化酵素により、二糖類および多糖類から単糖類〔グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース〕にまで分解され、小腸から単糖類の形で吸収されます。その後血液によって、グルコース(ブドウ糖)が主なエネルギーとして全身に送られます。

このような血液中にあるグルコース(ブドウ糖)の濃度を血糖値といいますが、血糖値が増加すると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンには血中に過剰となったグルコース(ブドウ糖)をグリコーゲンと呼ばれる貯蔵型のエネルギー源に変えて肝臓や筋肉内に貯蓄したり、脂肪として蓄積させる働きがあり、体は必要に応じてグリコーゲンをグルコース(ブドウ糖)に分解してエネルギー源として使用します。さらにグルコース(ブドウ糖)が不足する状態が続くと、次は体内の蛋白質が分解されエネルギー源として使われてしまいます。

そのため基礎体力や基礎代謝が低下し、疲れやすくなるほか、肝臓の解毒作用の低下、肌荒れなどの症状を招きます。また、脳やその他の組織のほとんどはグルコース(ブドウ糖)だけをエネルギー源としており、極度に炭水化物が欠乏すると脳の働きにも支障が生じます。炭水化物からグルコース(ブドウ糖)への分解経路は簡便なため、すぐに利用できるエネルギー源として炭水化物は最も重要な栄養素なのです。