雑誌「up PLUS」2021年5月号 (4月12日発売)

特集「緊急ニオイリモート会議始めますっ!」(掲載P62~P65)に慶田院長の監修・取材記事が掲載されています。

【緊急ニオイリモート会議始めます!】
ジトジト・ムシムシするなど、汗ばむ季節の到来で、女性には悩ましい「ニオイ問題」が多発しています。汗をかき、自分のニオイが気になり始める方も多い時季かと思います。解決したいけれど、なかなか人には言えないのが「ニオイ」の悩みです。この悩みの解決法について、部位別にニオイの原因から対策法までご紹介しました。周りに相談できず悩んでいる方は、ぜひ参考に御覧なってください。

■体臭はその"部位ごと"に適した対策をしましょう
コロナ禍によって私たちの「ニオイ」に関わる悩みの傾向には大きな変化がありました。リモートワークや時間差通勤によって満員電車に乗ることが減り、ソーシャルディスタンスを保つようになったので、ニオイを気にするシーンは減ったかもしれません。一方で、家族や恋人、友人などの親しい人への配慮は引き続き求められると思います。
体臭はそれぞれの部位によって原因がまったく異なります。原因が異なれば対策も変わるのは当たり前です。それぞれの原因を正しく知り、対策をして、身近に関わる人へのエチケットを心がけましょう。

 清潔感が顕著に表れる「髪&頭皮」のニオイ問題
頭皮は皮脂分泌が高く発汗量も多い部位です。皮脂は酸化すると悪臭が...。汗は本来無臭ですが、常在菌の作用で汗臭さの原因になります。若い女性に多い「ラクトン」には加齢臭をマスクして感じさせなくする作用があるのですが、30代になると激減し、女性でも油臭くなります。皮脂は洗浄剤で優しく洗い、汗はよくすすぐのが一番効果的です。

 汗ばむ季節にご用心!「ワキ」のニオイ問題
ワキには"アポクリン汗腺"が多く、ワキガはアポクリン汗腺由来の汗によって生じますが、遺伝で決まった体質で、耳垢がねっとりしたタイプはワキガがあります。(反対にカサカサ耳垢はワキガではありません。)汗をかいたら拭く、下着を着替える、汗を付着させるワキ毛を剃るのが有効です。
『レーザー脱毛』はアポクリン汗腺の活性を抑えるのでワキガにも効果的です。また、"メスを使わない多汗症治療"として人気なのが『ボトックス注射』です。ニオイのもととなるアポクリン汗腺、汗ジミとニオイを拡散させる原因ともなるエクリン汗腺の働きを弱める効果のあるボツリヌストキシンを利用して、ニオイと汗の量を軽減させます。この2つの治療を組み合わせると、より効果が得られます。

 こまめなケアが肝心!「おくち」のニオイ問題
口臭の有無は、口腔内細菌の種類によって決まります。それに加えて、喫煙、毎回歯磨きをしない、舌苔、唾液量の減少は口臭をさらに悪化させます。最近はマスクの長時間着用で口呼吸が増え口臭が悪化したケースも増えています。規則正しい3食の食事を摂り、食べ物をよく噛むことも大切です。食後は隅々まで丁寧に歯を磨き、毎回フロスで歯の隙間のカスやプラークも取り除きましょう。その後もマウスウォッシュも有効です。舌苔が目立つ方は、優しく舌ブラシで撫でるように洗いましょう。

 ニオイの主な原因は足汗!「あし」のニオイ問題
足は多汗の場合、角質に細菌が増え悪臭を放ちやすいようです。また多汗でなくとも一日中靴を履いていると、蒸れが生じる部位なので、細菌が増えてニオイが出やすい箇所です。毎日足の指の間、爪の裏などまでしっかり洗ってよく乾かすことがポイントです。毎日同じ靴を履かないことや、靴を乾燥させることも重要になります。素足ではなく靴下を着用することも有効です。

 キレイをキープして優しくケア「デリケートゾーン」のニオイ問題
デリケートゾーンにワキと同様のニオイがあるなら、ワキガの外陰部版「すそわきが」です。「すそわきが」は体質なので、ワキガと同様の対策をしましょう。それ以外の場合は、尿、便、おりもの、月経血がニオイの原因です。汗をかくとニオイは拡散しやすくなります。女性器は複雑な構造なので、小陰唇の基部などにたまりやすい垢や汚れを入浴時に優しく洗いましょう。デリケートゾーン専用の洗浄液も出ていますが、敏感肌用のボディソープを使用しているなら兼用で構いません。
すそわきがの治療法として、『ボトックス注射』があります。ボツリヌス毒素の作用でニオイを拡散させる原因になるエクリン汗腺とニオイの汗を作るアポクリン汗腺の働きを弱め、ニオイと汗量を軽減させることができます。外性器周辺と陰毛部に注射を打つだけなので施術時間が15分程度と短く手軽でありながら、効果は半年~10か月程持続します。また、陰毛は臭い物質が付着する温床となるので、『VIOラインのレーザー脱毛』との併用がおすすめです。ボトックス注射、レーザー脱毛治療のいずれも、汗腺だけでなくアポクリン汗腺の働きも抑制するので、ニオイの軽減に相乗効果があります。

以上が部位別の原因&対策法になります。とはいえ、日本人は体臭が軽い方がほとんどです。その割に気にするのは、高温多湿であること、古来よりにおいに敏感な民族性によるところが大きいです。エチケットとしての清潔は保ちつつ、あまり過敏に気にし過ぎないようにしましょう。「ニオイの問題」は周囲に相談しづらい内容かと思います。当院では女性皮膚科専門医と経験豊富なスタッフが、プロの立場でニオイのお悩みも解決できるよう努めておりますので、気軽にご相談しにいらしてくださいね。

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