雑誌『婦人画報』2019年5月号(4月1日発売 掲載ページP164~167)


特集「年を重ねるほど"肌は内臓の鏡"だから、急がば回れのインナー美白」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

年をとると何事も"見直し"が必要になってきます。「美白」もそのひとつです。紫外線に対抗する私たちの防御力は急激に衰えつつあります。また、糖化によるくすみも追い打ちをかけます。これまでの美白スキンケアとともに重要になるのが、身体の内側からのケアです。肌は内臓の鏡です!紫外線ダメージに対抗する体の内側からの力を養えば、曇りのない肌も一緒についてきます。

◎内臓は汚いのに肌はピカピカ!という人はいません。歳をとるほど、肌の状態は体の内側とイコールになります。

≪紫外線を防御する力は40歳から急激に低下する≫
日に日に紫外線の強さを感じる季節になってきましたが、いまでこそ子供たちに紫外線ケアが徹底される時代ですが、今の40~50代は若いころにたっぷり日焼けをしてきた世代です。ある程度の年齢に差し掛かると、まるで昔のシミが浮かび上がってくるように一気に増えてくる、という声をよく聞きます。
時間をかけて徐々に濃くなり、ある一定の濃さになって初めて気づくので、急に増えたと感じるのかもしれません。メラニンの影響はもちろんですが、加齢とともに滞るターンオーバー、水分量の低下した角層、繰り返される軽微な炎症、代謝の低下、真皮で起きている糖化など、婦人画報世代のシミやくすみの原因は多岐にわたっています。
年をとるほど美白コスメが効きづらくなる、という声を聞きますが、シミの原因が多様で複雑に絡み合っており、角質も肥厚してせっかくの美白成分も浸透しにくく、結果が出るのに時間がかかるのです。
近年、UVケア製品は驚くほど進化して、紫外線のA波B波はもちろん、ブルーライトまでカットできるものもありますが、私たちがその恩恵を受けられるようになったのは、残念ながら最近のことです。1年を通してUVケア&美白ケアとともに、婦人画報世代は、体の内側から働きかけるケアが不可欠です。紫外線をはじめ大気汚染や花粉など、肌の上では、日々さまざまな炎症が起きています。この炎症を沈静化するのが体にもともと備わった抗炎症作用や抗酸化作用なのですが、これらは40歳をピークに、目に見えて衰えます。弱まったディフェンス力を補うためには、生活習慣の見直しや、抗酸化力を高める食品を取るなどの工夫が必要です。

≪肌も体も傷める、おそるべし「糖化」≫
加齢とともに気になる、どんよりした茶ぐすみは、肌の真皮で起きている糖化が原因、という事実も広く知られるようになりました。余った糖質が体内でタンパク質と結びつき、"AGE"(終末糖化産物)となって蓄積し、タンパク質の硬化、褐色化などの変性を引き起こします。これが"糖化"です。
皮膚の角層やコラーゲン、エラスチンが糖化すると、肌の透明感が低下して黄土色にくすみ、肌もごわごわになります。糖化が紫外線によって加速することもわかっていますが、その原因となるのが、糖尿病や高脂血症を引き起こす血糖値スパイク(血糖値の急上昇)の起きやすい食生活や飲酒、運動不足、活性酸素を発生させるストレスやタバコなどです。食事や生活習慣を見直すことで、体内環境は改善され透明感のある美肌を取り戻しましょう。

≪内臓が健康な人は、肌にも透明感がある≫
内臓は汚いけど肌はピカピカ、という人は見たことがありません!!肌に透明感があってきれいな人は、たいてい内臓もきれいです。肌の美しさと体の状態は別々に考えられがちですが、肌と体はイコールです。肌は内臓の鏡なのです。加齢とともに紫外線に対抗する体の防御力は確実に衰えてきますので、婦人画報世代の美白は、部分ではなく全身で捉え、体の内側からの力を養うことがいちばんの近道といえると思います。
糖化は肌のくすみだけでなく、全身の健康にとっても脅威です。認知症や動脈硬化、骨粗鬆症、加齢黄斑変性にも影響し、糖化により筋肉の質も悪くなり、サルコペニア(加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下)の原因にもなります。そして何より、一度起きてしまった糖化は二度と元には戻りません。そして酸化と糖化は、生きている限り進みます。「抗酸化」と「抗糖化」は一生取り組むべきテーマということです。美と健康のために、正しい知識をもって戦略的に対策を講じることが大切です。

◆強化すべきポイント!
「インナー美白」のポイント
◎淀みない肌と体のための6カ条
婦人科世代のシミの原因は多岐にわたるだけに、そのケアにも包括的な視点が必要です。食生活から生活習慣まで、婦人画報世代が気を付けたい、インナー美白ポイントを紹介します。

① 加齢の元凶、活性酸素から身を守る
<40代から急降下する抗酸化力を、毎日の食事で補強>
体への害を無毒化する標準装備に守られていたのは子どものころだけ。年を重ねたら戦略的な自衛は必要です。
全身のエイジングや不調の元凶が、活性酸素による酸化ストレスです。紫外線やストレスで増加した活性酸素がメラニンを作らせ、シワやたるみを引き起こし、お肌の老化を加速させます。酸化ストレスによる影響を最小限に留めるには、日焼け止めを欠かさないこと、そして活性酸素の消去作用をもつ食品をとることも有効です。
代表的な抗酸化物質が、緑色野菜に含まれるカロテンや野菜や果物に含まれるビタミンC、ナッツ類に含まれるビタミンE、ポリフェノールなどです。
若いころは活性酸素を分解する酵素が十分に働いて酸化ストレスに対抗できていましたが、40代になるとその酵素も激減します。毎日の食事で積極的に補う必要があります。

② どんより淀んだ顔色の原因です
<STOP!体も肌も傷める、糖化する生活>
"肌コゲ"といわれる肌の糖化は、過剰に摂取され体内に蓄積した糖質がタンパク質と結合します。タンパク質の硬化や変性を引き起こし、茶色や黄色がかったくすみの原因となります。肌および全身の糖化予防に有効なのは、やはり食事です。最初に野菜を食べ、お米やパンはあとからゆっくり食べる"ベジタブルファースト"や腹八分目は、やはり大切です。糖質を控えるようにしたら、自然とおかずも薄味になり、血糖値も安定すると思います。

③ 塗るUVケアとの併用で鉄壁ガードを
<内服薬と「飲む日焼け止め」で紫外線を防御>
当院で処方しているシミ治療の内服薬は4種類です。
シミ全般に効果的なビタミンCや、肝斑の特効薬のトラネキサム酸、ビタミンCとの併用で抗酸化作用が高まるビタミンE、メラニンの過剰生成を抑えるL-システインです。
レーザー治療と内服薬は必ずセットで処方しています。効果を感じるためには飲み続ける必要があります。
抗酸化作用で光老化に対抗する"飲む日焼け止め"も有効です。パソコンのブルーライトによる眼精疲労も深刻です。"飲む日焼け止め"は活性酸素対策として、紫外線を浴びる前だけでなく毎日摂るものおススメです。

『ヘリオケア(飲む日焼け止め)』

④ うるおいで満たせば透明感は確実にアップ
<足りないセラミド&コラーゲンを補給>
顔色はメラニンだけではなく角層状態が大きく左右します。セラミドなどの細胞間脂質と水層がきれいに層状に並んで細胞自体がふっくらしていると、光がきれいに乱反射してきめが整い、透明感の高い肌になります。
肌の水分量を左右するセラミドは加齢で減少しがちで、紫外線の影響で肌のハリに関係するコラーゲンも回復力も低下します。世界で最も睡眠時間が短いのが40代の日本人女性なのだとか。細胞修復の時間が足りていません。まずはしっかりと眠り、肌の材料となる成分をサプリメントやドリンクで補給しましょう。

⑤ 刺激でメラニンはさらに濃くなる
<お手入れのストロークは短く>
紫外線や花粉症で肌内部に微小炎症がおきているところ、さらに刺激が加わると、メラノサイトが活性化して、今あるシミがさらに濃くなる危険性があります。コットンでこすったり、力をいれてマッサージしたり、必要以上に肌に刺激を与えていないか、スキンケアの仕方を見直しましょう。

⑥ 【番外編】最高レベルの切れ味「ピコレーザー」
<目立つ一点ジミはレーザーでリセット>
化粧品で透明感は高められても、できてしまったシミを薄くするのはなかなか難しいものです。目立つシミがあるとお手入れへのモチベーションも下がります。気になるスポットのシミは、レーザーで除去して、いったんリセットしてから、化粧品やインナーケアで透明感を上げるのが効率的です。従来の光熱作用によりレーザーと異なり、高いエネルギーの衝撃波で一瞬にしてメラニンを超微粒子へと粉砕するのが「ピコレーザー」です。痛みや直後の色素沈着も軽度で、衝撃波でコラーゲンも増えハリが出ます。
『ピコレーザー(ピコセカンドレーザー・ピコウエイ)』

是非、ご一読ください。

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