WEB『VOGUE JAPAN』(2021年8月24掲載)

BEAUTY特集「フィラー&ボトックスで盛る、消すは、もう古い!? 注入系美容医療の最新事情」に自由が丘クリニック理事長の古山登隆先生と慶田院長のコメントが掲載されています。

家以外では常にマスクを着用することが当たり前になって1年以上が経過し、マスク生活が長くなるにつれ肌荒れの悩みが多く聞かれていましたが、最近では「たるみやほうれい線が気になる」という悲鳴が増えてきたように感じます。

私たちの老化は気づかないほど緩やかに30代から始まり、40代後半になると坂道を転げ落ちる勢いで加速していきます。肌だけでなく、顔の筋肉も脂肪も骨も老化します。
形態学的加齢現象は、ボリュームが減少する"萎縮"、全体が下に移動する"下垂"、硬く縮まる"拘縮"の3つです。

そんな形態学的エイジングにどう対抗するか。スキンケアでしっかり保湿して拘縮を予防するのはとても大事ですが、フォルム自体をデザインし直したいと思ったとき、頼りになるのは、やはり美容医療です。
表情筋の拘縮には『ボトックス注射』。脂肪や皮膚下垂には『レーザー』、『ウルセラ(超音波)』『サーマクールFLX(高周波)』などのリフトアップマシン。溶ける糸を埋め込んで引き上げる『スレッドリフト』。
さまざまな改善策がありますが、骨や脂肪の萎縮をカバーするなら、安全なフィラーが有効です。その中でも最も安全な注入剤が『ヒアルロン酸注入』です。

【ヒアルロン酸注入の需要は、右肩上がり】
ヒアルロン酸フィラーのメリットは、分解できる酵素があることです。思うような仕上がりにならなかった場合や肌に合わない場合に溶かすことが可能です。その点において、ほかの素材より圧倒的に優位です。
日本でも2020年の美容医療施術の人気ランキングでリフトアップレーザーのハイフを抜いてトップに躍り出ました。

技術の進化とともに充填剤の種類も増えており、柔らかさや持ちのよさなど、どこにどんな目的で注入するかによって、最適な製剤は変わります。承認薬=リスクゼロではないですし、非承認薬でも質の良いものもあります。重要なのはリスクを最小化する医師の知識と技術です。当院では、新しい製剤は発売から3年待って反応やリスクを見てからクリニックに導入し、1回の注入量に上限を設けています。体質によりアレルギー反応が起きることはあり、若い人ほど異物反応が出やすいものです。その場合に対処できることが大前提なので、ボタニカルフィラーやエランセ、レディエッセなど溶かせない素材は使用致しません。
また成長因子を混ぜたPRPや成長因子そのものの注入では、回復させ難い、硬いしこりが残ってしまう事例が多発しており、特に注意が必要です。いざとなったら容易に分解や除去ができるかどうかは重要なポイントなのです。

【フィラー系美容医療の歴史と失敗、そしてこれから】
委縮した骨と脂肪を補強するヒアルロン酸注入は若返りに欠かせませんが、その一方で注入しすぎ、あるいはフィラーを不必要に入れている期間が長すぎて、皮膚が伸びて顔がパンパンになる「オーバーフィルドシンドローム(過剰注入症候群)」が海外でも問題視されています。肌が痩せるだけでなく皮膚も伸びているので、フィラーで膨らませるだけですべてOKにはなりません。骨格を無視した完璧な左右対称は違和感を覚えるし、残すべき影、残すべきシワを見極めることも必要です。

【針を使うからにはリスクがある、と肝に命じて】
もっとも懸念すべきは、皮膚や皮下組織の構造を理解せずにヒアルロン酸を注射する行為です。顔面動静脈の血管内に誤って打ってしまうとヒアルロン酸の塞栓ができ、皮膚壊死や失明を引き起こす危険があります。またボトックスやヒアルロン酸などの薬剤には、痛みを軽減するために麻酔薬が配合されています。その麻酔薬がまれにアレルギー反応を引き起こすこともあるのですが、これは本人にも医師にも事前にはわからないものです。開業して15年の当院でも1度だけ経験したことがあります。アナフィラキシーショックの対処法はマニュアル化していたので、すぐに太ももにエピペン(アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤)を刺し、ステロイドを点滴静注して症状を抑え、ことなきを得ました。ですので、これまで何もなかった、というのはラッキーでしかないのです。注入に限らず、ダーマペンやビタミン点滴で使用する薬剤でもアナフィラキシーが起きる可能性はありますが、すべての医院がそういったリスクを想定しているのかは疑問です。

【簡単=安全ではない。専門医を選ぶべき理由。】
ネガティブに見えるシワを消したり、ボリュームを足したり、頬や口角を引き上げたり、輪郭をシャープに整えたり......。ほんの数分の施術で効果が半年〜1年ほど続くボトックスやヒアルロン酸注入。簡単に見える注入ですが、前の章で説明したリスクのほかに、人形のように無表情になったり、入れすぎて顔が大きくなったりするなどの失敗は今もまだあります。経験が豊富で、今どきの美的センスを持ち、足すだけでなく引くことも心得ているドクターを選べば、表情が動かなかったり、頰がパンパンに膨らんだり、という"いかにも"な仕上がりにはなりません。
また予想外の副反応やアクシデントがあったとき、慌てずに対応できるのは、医大を卒業し、初期研修後さらに大学病院や基幹病院で専門領域を修め、命に関わる症例に接し経験を重ねた医師であることが最低条件。医学は奥深く、学べば学ぶほど怖さを知り、慎重になります。最近は皮膚の病理や解剖を知らないドクターが美容医療を行っていたりすることもあるようです。深刻なトラブルに泣かないためにも、日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医であるかどうかをプロフィールでチェックしましょう。また不必要な治療は要らないとジャッジしてくれる医師を選んで、長期的にメンテナンスの計画を立てていくことをおすすめします。

安心を買うと思って、価格だけで選ばないことが美容医療で失敗しない秘訣です。

是非ご参考になさってください。

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