オルビス会報誌『Sibro/シブロ』2018年7/8月合併号(P14~19)

特集「正しい知識で賢く美肌に 紫外線とメラニン基礎講座」に慶田院長の監修記事が掲載されました。

紫外線に無防備にあたってはいけない、メラニンは増えすぎるとシミになることは、多くの人が知っています。でも、そのメカニズムは知らない人が多いはずです。
正しく敵を知ったほうが予防も完璧に。紫外線とメラニンの基礎を確認しましょう。

【1時間目/紫外線のしくみ】
なぜ、紫外線は浴びすぎると危険なのでしょうか?
知っておきたい紫外線の基本中の基本から基礎講座開始です!

そもそも紫外線とは?
私たちが生きている地球は、太陽から振りそそ太陽光線の恩恵を受けています。太陽光線は、光の波長によって、"紫外線"、"可視光線"、"赤外線"などに分けられます。紫外線はさらに、波長の長い順に、UV-A、UV-B、UV-Cの3つあり、肌トラブルなどに影響するのはUV-AとUV-Bです。

紫外線のピークは3~9月
紫外線は太陽光線なので、季節によって量は異なります。夏に強くなり、冬は弱まります。ですが、上のグラフをみると3月から急激に紫外線量が増加します。紫外線ケアは夏からではなく早めが重要。また、冬でも外出時にはケアが必要です。

紫外線の種類で肌ダメージもこんなに違う!
UV-Aは波長が長く、真皮にまで届いてコラーゲンを破壊し、肌のハリや弾力を低下させ、シワを増やします。UV-Bはエネルギーが強く、ヒリヒリする日焼けや皮膚がんの原因です。メラノサイトを活性化させ、シミやソバカス、くすみなどを引き起こします。

1日のなかでは、昼前後が赤信号
紫外線量は、太陽の位置でも変化します。1日の中で、太陽の位置が高くなる、お昼前後は、太陽光線の量も多くなるため、紫外線量も増加します。
でも、これからの季節は、日照時間も長くなるので、朝夕も紫外線ケアを忘れずに行いましょう。

【2時間目/メラニンのしくみ】
シミのもとと言われる"メラニン"。どうして私たちの身体に存在しているのでしょうか? 敵を知るとつきあい方が見えてきます!

メラニンってなぜあるの?
メラニンというと「シミを作るもと」と私たちには不要のもの、悪いものと思うかもしれません。ですが、もともとは、紫外線を吸収して、肌やからだに紫外線の影響を与えないようにブロックする作用を持っているのです。簡単にいえば、自前のサングラスのようなもの。もしも、メラニンがなければ、強い紫外線が肌の細胞を攻撃することも。からだを守る機能もメラニンは持っているのです。

メラニン色素はこうやって活性化します
メラニンは、肌の表面にある表皮の一番下にある"基底層"という部分にある"メラノサイト"という色素細胞で作られます。メラノサイトは、アメーバーのように手足が伸びた形をしています。紫外線を浴びると、メラニンを作れ、という情報が届き、メラノサイトは、"チロシナーゼ"という酵素のサポートを受けて、メラニン作るのです。

●Check!チロシンキナーゼってなに?
メラニンの生成を引き起こす酵素です。このサポートを受けて、メラニンは黒色メラニンに変化をします。アルブチンやビタミンC誘導体などの美白成分は、このチロシナーゼの働きを抑える作用があり、注目されています。

●メラニン生成の3ステップ
1. チロキシナーゼが活性化し、チロシンがメラニンに変化

2. メラニンが濃くなる

3. シミが沈着する

メラニン色素とシミの関係
メラニンが生成されても、表皮が生まれ変わるいわゆるターンオーバーのサイクルがきちんと保たれていれば、シミとして残りにくくなります。ですが、紫外線を浴び続けることで、メラニン生成にエラーが生じて、過剰にメラニン生成が発生することも。ターンオーバーが追いつかず、シミとして残ってしまうのです。

肌以外にも体中に存在するメラニン色素
メラニン色素は、肌以外にもからだ中に存在しています。目は太陽光線によってダメージを受けないようにメラニン色素が守っています。また、髪の色もメラニン色素の量で違いが。人間だけでなく動物にも同様に存在しているのです。

人種、地域でメラニン色素はこんなに違う
メラニン色素は、人種によって種類と量が異なります。日本人やアフリカ系の褐色の肌や黒い髪は、赤系や黒系の"ユーメラニン"の含有量が多く、白色人種に多いのが黄系の"フェオメラニン"です。フェオメラニンの割合が高いと、紫外線のダメージを受けやすいと言われています。


【3時間目/紫外線対策の素朴な疑問】
これから紫外線がより強くなる季節が到来です。正しく知ってきちんと防御しましょう。

Q.日焼け止めを塗れば十分にガードできる?
A"ミルフィーユ塗り"で鉄壁の防御を!
日焼け止めに書いてあるSPF数値が高さ=防御力の高さですが、塗る量が少なかったり、塗り方が雑でムラがあったり、時間がたってくずれたりすると、数値通りの効果が得られなくなってしまいます。一度肌に塗って、なじんだらもう一度塗る重ね塗りを。また、化粧下地、ファンデーション、パウダーなどすべてSPF表示があるものでミルフィーユ塗りすると、紫外線防御効果はより高まります。

Q. 今更聞けない、SPF、PAってどういう意味?
A. UV-A、UV-Bから肌を守る指標です
SPFは紫外線防御効果を表す数値です。紫外線のUV-Bによって、肌が赤くなるのをどれぐらい防ぐかを示しています。PAは紫外線のUV-Aを防ぐ効果を示していて、+は4段階に分かれ、数が多いほど、効果の高さを表しています。

Q. 日傘で防ぐなどすれば、紫外線の影響は受けない?
A. 反射光により四方八方から紫外線は攻めてきます
夏の強い日差しには、日傘は重要なアイテムです。でも、日傘があれば完璧というわけではありません。日傘で防げるのは、上からの紫外線。紫外線は地表からの反射光があり、あらゆる角度から影響が。日焼け止めでのガードは欠かせないのです。

Q. 洗顔やピーリングでメラニンは落とせるの?
A. ターンオーバーを促進することはできます
ダメージを受けると滞りがちなターンオーバーを促すという意味では、洗顔やピーリングは有効なことも。ですが、シミを取りたいからと力を入れて肌を刺激するのはNG。逆に強い刺激がメラノサイトを活性化させてしまうことも。ターンオーバーを促すケアは、やさしいケアが基本です。また、紫外線は肌を乾燥させるので保湿ケアも充分に行って。

Q. 美白しすぎると肌が弱くなるの?
A. そんなことはありません。防御とダメージのWケアを
美白スキンケアで肌が弱くなるということはありませんが、肌タイプによっては乾燥や刺激が出ることも。肌に合うものをみつけることが大事です。また、美白ケアをしていれば、UVケアはいらないと思っている人がいますが、これは間違い。UVケアと普段の美白スキンケアで、紫外線の防御とダメージケアをセットで行うことが大事です。

Q. どんなスキンケアをすればメラニンに対抗できる?
A. 抗酸化作用、メラニン生成の抑制効果のあるものを選びましょう
基本は、防御とスキンケアです。SPFとPA数値が高い日焼け止めで紫外線を防御。さらに、抗酸化作用やメラニンの生成を抑える作用のあるものでケアを習慣に。また、食生活も重要です。抗酸化作用があるビタミンA、E、Cや肌を作るたんぱく質は積極的に摂るようにしましょう。

紫外線がメラニンを作るので、日焼け止めはとても重要です。しかし、それだけでは紫外線ダメージを完全に防ぎきれません。毎日のスキンケアでバリア機能を高め、紫外線に揺らがない肌を目指しましょう。

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