雑誌『InRed』2019年11月号 (2019年10月7日発売 掲載ページP159)

雑誌『InRed』It's Culture Time内の「インレッド的女子のための本棚」で、慶田院長おすすめの書籍を2作ご紹介させていただきました。

【ドリンク片手に味わいたい 世界観に引きこまれる小説】
私にとって読書は、さまざまな人生を追体験し、想像の世界を巡る至福の時間です。
幼い頃からたくさんの本を夢中で読んできました。その中から、普段本を読まない方でもきっと楽しめる女性作家の小説を2作ご紹介いたします。

■『強運の持ち主』瀬尾まいこ著/文春文庫
とある占い師のもとに訪れる、小さな悩みを抱える老若男女を描いた短編集です。特に私は、1つ目の『ニベア』というお話が大好きです。
小学生の男の子が「お父さんとお母さん、どっちがいい?」と相談するのですが、離婚する両親のいずれかを選ぶ話ではないのです。男の子を愛する父親の不器用な姿に、じんと目頭が熱くなります。
瀬尾さんの文体は、柔らかで、本が苦手な方も読みやすく、温かな世界観にすぐ引き込まれてしまいます。秋の夜長に香り立つアールグレイとともにお楽しみください。

■『小暮荘物語』三浦しをん著/祥伝社文庫
魅力的なキャラクターを描かせたら、三浦しおん氏はピカ一です。私はとりわけ彼女の描く『性』に魅力を感じています。オンボロアパート木暮荘の大家、木暮老人は瀕死の友を見舞ったことを契機に、猛烈と「セックスがしたい!」と願います。
しかし叶えるのは容易でなく、いろいろな苦労を重ねます。笑っちゃうので電車の中ではご注意ください。大人が身に付けた、理性、品性、嘘を取り払い、性を露わにしてみれば、そこに見えるのは人間の可笑しみ、哀しみ、優しさ、そしてやるせなさ。どうしようもなく愛おしく切ない。キャラの濃い登場人物に負けないよう、スパイスたっぷりのチャイと一緒にお読みください。

是非、本屋さんで探してみてくださいね。


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