雑誌『リンネル』2017年11月号 (9月20日発売 掲載ページP138~141)

特集「原因を知って、肌にやさしい習慣を 夏から秋の揺らぎ肌を健やかに」
に慶田院長の監修記事が掲載されました。
一気に涼しくなる9月下旬。秋は肌の調子が悪くなる『揺らぎ肌』でお悩みの方が増えます。原因と対策を、院長が皮膚科専門医として解説しました。

夏のあいだこんなことをしていた人は要注意
□暑さで食欲が出ず、あまり食べなかった
□食事がさっぱりしたものに偏って、脂質やたんぱく質をとらなかった
□涼しい部屋で過ごしてばかりで、運動不足
□暑さやクーラーのかけすぎで安眠できず、寝不足だった
□旅行やレジャーなど、イベント続きで疲れが残っている
□日焼け対策が万全でなく、焼けてしまった
□汗をかくことが多いので、1日に何度も洗顔していた
□ベタベタするのがいやで、保湿ケアを簡単に済ませていた

秋になるといつの間に揺らぎ肌に!
べたつくからと顔を洗いすぎたり、運動不足、寝不足、日焼けに、食欲減退...。無意識に行っていた夏の生活の積み重ねが揺らぎ肌の原因になっているかも。
特に食事の影響は思ったより大きいもの。暑さからタンパク質や油ものを避けすぎていると、肌も栄養不足になってしまいます。秋からもう一度、生活習慣を整え直しましょう。

夏のあいだの疲れや不摂生が肌にあらわれます
夏は暑いうえに、レジャーなどのイベントなどで忙しく、疲れがたまる人は多いでしょう。その疲れは、体だけではなく肌へも影響しています。それが、湿度が下がってくる9月からの乾燥になり、ゆらぎ肌へとつながるのです。
肌の表面にある角層が整っていれば、肌は密なバリア状態を作っており、見た目に美しいだけでなく、外部からの刺激を受けにくく、強く保たれます。けれど、夏は角層が乱れる要因がたくさん。紫外線やエアコンの乾燥など外部的要因はもちろん、睡眠不足や疲労、栄養不足などによっても、肌の再生力が弱くなるのです。
特に、バリアの元になるセラミドなどからなる角質細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)は、いったん失われてしまうと、回復させるには時間がかかります。そうすると、バリア機能が衰えて、肌の調子が悪くなり、いつも使っている化粧品でも、ひりつきやかぶれなどを起こすことになるのです。
近年、こうした微細な炎症が、肌の老化につながるという研究もされています。秋の揺らぎ肌を回復させ、これからの乾燥や寒さにそなえましょう。

<日々の習慣を見直して、季節の変化に負けない素肌力をつけましょう。>
弱っている秋肌をさらに傷めているのは、クセになっているスキンケアかも? 見直してみましょう

●ゆらぎの原因01
時間をかけて丁寧にクレンジングすると肌がつっぱる
汚れ落とし兼マッサージでゆっくりクレンジング...それが傷めるもと!

●見直し習慣01
やさしく洗う、落とすで、不要な汚れのみを除去
クレンジングは1分間を目安にさっと落とすことが鉄則です。

汚れや汗、いらない角層は落とさなければいけませんが、時間をかけすぎるのは肌に負担をかける大きな原因です。クレンジングを長時間顔にのせていると、肌に必要な皮脂や、角質細胞間脂質も落としてしまいます。クレンジングはメイクと乳化したらすぐに洗い流すこと。時間は1分間が目安です。また、洗顔料をしっかり泡立てずにこすったり、クレンジングをケチケチするのは絶対NG。なお、洗い上がりにツッパリ感が残るものは、落とし過ぎなので、洗顔方法も見直しましょう。

●ゆらぎの原因02
加齢によって体も肌も夏の疲れが長引きがち
老化が進むと体だけでなく、肌にも元気がなくなります。

●見直し習慣02
肌も体もいたわるエイジングケアを
年齢肌を感じたら、食事や睡眠にも気をつけましょう。

年齢が高くなるほど、角質細胞間脂質や天然保湿因子が失われやすくなるので、乾燥を自覚するようになります。こういった肌の老化によるバリア機能の低下も、揺らぎ肌の原因に。また、若々しさをたもつための抗酸化力も、40歳前後でがくんと落ちます。抗酸化力はバランスのよい食事や疲労回復などによって高められるので、夏バテが長引かないようにメンテナンスを。
しわやくすみなどには、エイジングケア用の化粧品を。最近では、揺らぎがち敏感肌でも使えるものが増えています。

●COLUMN
何気ない習慣が老化を早めているかも!?肌をこするたびに加齢が加速
意外にも肌に刺激になっているのが、メイクブラシの使いすぎ。
ブラシの毛がチクチクあたるのは、肌をいためる原因になります。毛先が柔らかく肌触りのよいブラシを厳選して、チークなどにさっと使うのにとどめて。ファンデーションのブラシ塗りは、ブラシを何度も肌に滑らせることになるので、敏感に傾きがちな人は控えましょう。

●ゆらぎの原因03
涼しくなって紫外線を夏ほど気にしなくなった
日差しがやわらいだからと日焼け止めなしで外出はNG!

●見直し習慣03
肌にやさしいUVケアアイテムを年中入念につける
うっかり塗り忘れが命とり。涼しい日や曇りの空でも一年中ガードを!

紫外線のピークは7月ですが、UV-A波は、年間を通して地上に降り注いでいます。秋以降もUVケアを続けることで、紫外線はもちろん、大気汚染などのダメージからも肌を守ることができます。敏感肌用なら肌への負担も少ないので、自分の肌に合うものを選んで使い続けましょう。

●ゆらぎの原因04
化粧水は保湿アイテムを軽くつけるだけになっている
汗でベトつくからと、少量をぱぱっとつけるだけでは保湿不足。

●見直し習慣04
しっとりするまで、丁寧に重ねづけを
手のひらに多めにとって、何回かに分けて手で押さえるようつけて。

べたつくのがイヤだったり、高額化粧品だからケチケチ使いだったりして、量は少なめに...では、効果は半減してしまいます。お手頃価格でも、肌にあっていれば問題なし。たっぷりの量で保湿をするのが大切です。
化粧水は、手のひらに500円玉大をとって、両手でなじませてから、軽く押さえて。目のまわりや小鼻は、力の入りにくい薬指の腹を使いましょう。

●揺らぎ肌の原因05
化粧水をつけても肌が乾燥してピリピリする
いつもの化粧水ですらしみる敏感肌状態になっている?

●見直し習慣05
敏感なときはバームでフタをし、回復後は乳液やクリームで保湿を
ピリピリするときは、ふだんのお手入れは休止して休ませる。

涼しくなり、肌が乾燥してピリピリしたり、化粧水がしみたりしたら、いったん通常のお手入れはストップ。また、シートパックなど水溶性で肌にしみこむようなものは、逆効果です。こういうときは、肌に「フタをする」エモリエント効果の高いものを直接塗って、肌を落ち着かせることに専念します。ワセリンやバームなどがおすすめ。
ただし、バーム類は刺激からは守りますが、肌内部のうるおす力は低いので、回復してきたらクリームや乳液など、モイスチャライジング効果の高いものに変えましょう。

●揺らぎ肌の原因06
肌あれのとき、高機能そうなクリームや美容液を多用する
肌を回復させようと、あれこれ手を出すのは、かえって危険。

●見直し習慣06
肌に合うシンプルな基礎化粧品ラインのみで充分
困ったときに頼れる、信頼できるラインを見つけましょう。

肌が乾燥して、敏感になっている時こそ、化粧品は同一シリーズのラインづかいがおすすめ。肌がゆらぎがちなときに高機能な美容液やパックで過度にケアをすると、肌への刺激が増えてしまします。いろんなメーカーのものを使っていると、かぶれた時も原因が何かわからないうえに、合わない成分にあたって更に荒れてしまうリスクが高くなるからです。
季節の変わり目や肌の調子が悪いときは、このラインなら大丈夫、というものを知っておいて、切り替えられると安心です。

●揺らぎ肌の原因07
体や顔を触ったら、ひんやりと冷えているときがある
肌温度が低いと、外部の刺激を受けやすい状態になっているかも?

●見直し習慣07
体が温まる食材を積極的に摂取。冷え対策も万全に
冷えによる血流ダウンで、肌も栄養不足に。しっかり食べよう!

夏の冷房や秋口の涼しさによって、冷えを感じる人も多いのでは。
人間の体は中心部の温度が35℃以下にならないように保つ機能があります。外気温が低くなっていると、体温を逃さないよう血管が収縮し、血流が悪くなります。
血流が悪くなると、体だけでなく肌までも冷えた状態になって、顔色がくすんだり、肌のターンオーバー機能が衰えたりと、揺らぎ肌の原因になることばかり。
温かい食事をとる、上着をはおるなど、体も肌も体温を逃さない工夫をしましょう。

●COLUMN
外気温の低さから肌荒れに!これからの季節の寒気にご用心
肌の調子と寒さの関係が、最新の研究で明らかになりました。
表皮細胞には肌の細胞と細胞をくっつける機能をもつ"タイトジャンクション"という構造があり、"トリップV4" という温度センサー機能のあるタンパク質がその形成に関わっています。温度が下がるとこれらの機能が衰えて、細胞の結びつきが弱くなり、バリア機能の低下の原因に。寒気に直接肌をさらさないことが予防策です。

秋風が吹くころになると、肌がカサカサ、ピリピリしたり、いつもの化粧品が合わなくなったり。そんなお悩みを解消して、健やかな肌を取り戻しましょう。

是非、ご一読ください。

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