2022年6月21日

WEB『CHANTO WEB』(2022年6月21日掲載)

ライフ特集「40代からの常識!?「介護脱毛」が老後の自分の体を守る 納得の理由」に慶田院長の監修・取材記事が掲載されました。

【40代からの常識!?「介護脱毛」が老後の自分の体を守る 納得の理由】
「介護脱毛」という言葉をご存じですか?これは「自分の老後を想定し、将来介護される立場になったときに、清拭や排せつ後のふき取りなどの際、第三者の介護者に負担とならないよう、あらかじめデリケートゾーン(Vライン、Iライン、Oライン)の脱毛をしておく」ことをいいます。
数年前から話題になり、今では男女問わず、将来訪れる自身の介護生活に備えて始める人が増えています。最近では、人気の女性お笑いタレントさんが情報番組で「介護脱毛」に触れたことからも、その関心の高さがうかがえます。
なぜ「介護脱毛」が関心を集めているのか、果たして本当に必要なのか?皮膚科専門医である慶田院長が解説しています。

■介護脱毛は「介護される側のエチケット」
慶田院長は、介護療養型の病院に勤務をしていた当時、皮膚科医として患者さんと接する中で、デリケートゾーンは毛量が少ない方が介護する側も介護される側も楽だという実感があり、10数年前から「介護脱毛」の必要性を発信していました。
最近メディアで取り上げられることも増え「介護脱毛」の認知度が高まり、介護生活の準備のひとつとして浸透し始めています。レーザー脱毛自体は、日本には20数年前に上陸しました。当初まずは脇が注目されて、快適さが認められる形で他の部位へと広がり、10年前ごろからデリケートゾーン脱毛も意識する女性が増えてきました。

銀座ケイスキンクリニックでの施術数をみると、2017年を1とすると、2018年は1.71倍、2019年は2.41倍、2020年は6.24倍(40代以上が約半数)と大きく伸び、2021年は横ばいでした。エチケットのひとつとして定着しつつあるように思います。

■赤ちゃんだけでなく高齢者にも「おむつかぶれ」は起こる
介護生活ではおむつをつける方が多いですが、たとえば寝たきりの状態になると1日数回、決まった回数しかおむつを替えることができません。おむつを替えるときにデリケートゾーンが脱毛されていない状態だと、尿や便など汚れがこびりついてお手入れに時間がかかるうえ、肌が荒れる原因にもなります。おむつかぶれは、赤ちゃんだけではなく、清潔を保つことが難しい高齢者にも起こります。それに赤ちゃんは尿の量が少ないし、1日に何度もおむつを替える場合が多いですが、大人の場合は尿の量が多いわりに頻繁にはおむつを替えることは難しいのが現状です。必然的に肌荒れが起きやすくなる環境にあります。もし皮膚炎を起こすと感染症につながるリスクもあります。
「介護脱毛」を意識するのは、「洗いやすい」「お手入れをしやすい」といった介護する側の人に対するエチケットという意味だけではなく、ご本人の健康を守るためにも大事なことだと思います。今、介護の現場では「デリケートゾーンは除毛された状態のほうが皮膚のためにも良い」と認識され始めています。

■デリケートゾーンには皮膚炎、皮膚がんが隠れている可能性も。また「介護脱毛」することで、介護の方法が変わってくることはあるのでしょうか。

皮膚科医としては、「介護脱毛」をきっかけにデリケートゾーンに目を向けてもらうことはとてもいいことだと思っています。実はデリケートゾーンは、皮膚炎、皮膚がんなどいろいろな病気が起きやすい箇所なんです。実際に施術前には必ず皮膚の診察をしていますが、剃毛後は、脂漏性角化症(老人性イボ)や粉瘤などの良性腫瘍を発見しやすくなります。
「介護脱毛」が施された状態で皮膚を診られるようになると、「これはなんだろう」と変化に気づきやすくなります。

また介護方法については、介護のプロに依頼すればデリケートゾーンの毛の状態に関わらずプロの仕事をしてくれると思います。ただ、もし一人あたりにかけられる時間が同じだとしたら、毛が無いことでより丁寧にケアできるかもしれません。そうすることで自身のストレスも軽減すると思います。

とはいえデリケートゾーンの脱毛は、正直恥ずかしいという方も多くいらっしゃると思います。皮膚科医としては、デリケートゾーンの診察はとても大事なこととして力を注いでいます。外性器の肌トラブルなどは婦人科医に相談するものと思われる方が多いのですが、本来は皮膚科で診るところなんです。赤ちゃんから高齢の方まで、皮膚科医はデリケートゾーンの診察に慣れています。ですから恥ずかしがる必要は一切ありません。施術前の診察で「部分的に残したい」などのご相談にも応じていますので、遠慮なく来院してほしいと思います。

■施術は専門医が診察する医療機関で
治療は必ず医療機関で受けてください。デリケートゾーンは生理的に黒ずみができやすく、やけどをしやすい部位です。また、専門医でなければ皮膚がんなど皮膚の病気を見落とす場合があります。看護師まかせのところではなく、毎回きちんと専門医の診察を受けられるところで施術を受けることをお勧めします。
また、機器の種類は、感染症対策の観点からジェルを塗布する接触型レーザー(ダイオードレーザーなど)ではなく、当院で採用している『ジェントルレーズプロ』のように非接触型レーザーが安心です。接触するチップ部分は毎回消毒済みのものを使用するので清潔です。残念ながら接触型レーザーでは、尖圭コンジローマなどの感染例が報告されています。クリニック選びの参考になさってください。

レーザー脱毛は、黒色にだけ吸収される波長のレーザーを照射します。毛根周囲に存在する毛を作り出す組織(毛乳頭や毛包幹細胞)に、熱によるダメージを与えることで脱毛します。ヘアの色が薄かったり、白髪だと脱毛できません。ですが、かなり白髪が多くなっても黒い部分はなくせますので、お早めに治療を始めることをおすすめしています。本来の清潔感を保つという目的からすると、ボリュームを減らすだけでも意味はあります。お手入れもラクになり、肌荒れのリスクも減ります。

毛の生え変わり周期の関係で、1回の施術ですべてきれいに脱毛できるわけではないので計画を立てたほうがいいかもしれません。1か月半ごとにレーザー脱毛を受けるとして、1年から1年半ほどかけるといいと思います。

焦る必要もありません。ゆっくりと自分の皮膚と向き合う時間として、期間限定の習慣にしてみてください。

是非ご参考になさってください。

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