2015年1月13日

点状角質融解症(pitted keratolysis)、蚕食性角質融解症

足の多汗症との関連があり、水虫との鑑別を必要とする疾患です。病名が症状を表現しており、足の指の腹や足裏の角質層がボコボコと虫食い状に浅く陥凹した状態になります。自覚症状はほとんどありませんが、多汗症を伴うことが多く、角質が浸軟して悪臭を放つことがあります。多汗による湿潤環境の中で増殖した細菌(グラム陽性菌)の発生する角質融解酵素が、角質を溶かすことが原因です。治療は主に抗生剤の外用を行います。ご自身でのスキンケアも重要で、足を石鹸で良く洗って乾燥させるよう心がけて下さい。また、制汗剤などで汗を押える、靴下を履き替える、一日履いた靴はよく乾燥させるなど、足裏の環境を整えましょう。水虫(足白癬)を併発していることもあり、顕微鏡での真菌検査も一度お受けになった方が良いでしょう。市販の水虫の薬でよくならない、臭いが強い、角質がぼろぼろしてきた等気になる症状があれば是非ご相談下さい。

帯状疱疹(herpes zoster)

皮膚にチクチクとした痛みを伴って、からだの左右どちらかに帯状に広がる小さな水ぶくれや赤い発疹。その原因は、自分の体内に潜んでいる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。水痘とは水ぼうそうのことですが、水ぼうそうも、帯状疱疹も、原因ウィルスは同じVZVです。水ぼうそうは子供のころにかかり、1週間程度で治りますが、その後、原因ウィルスであるVZVは体内の神経節という部分に潜んで一生涯住みつきます(潜伏感染)。そして、加齢、疲労やストレス、病気、抗がん剤治療などがきっかけで免疫力が低下すると、神経節内で再び増え始め、神経に沿って神経を傷つけながら広がり、皮膚にチクチクするような痛みや鈍痛が生じます。次に、痛みを感じた部位にブツブツした赤い発疹ができ、小さな水ぶくれ(水疱)となって帯状に拡がることから帯状疱疹と呼ばれます(再帰感染)。この時、症状が現れるのはからだの左右どちらか片側だけであるのが特徴です。

一般的には神経症状が先に出ることが多く、皮膚症状がない初期は診断が難しく、肋間神経痛や心筋梗塞と間違われることもあります。その後は、水ぶくれからカサブタになり、炎症後の紅斑を残して皮膚の症状は徐々に改善しますが、多くの場合この経過中、強い痛みを伴います。痛みは、ズキズキと皮膚を刺すような鋭い痛みだったり、衣服と触れるようなわずかな刺激でピリピリする痛みだったり、電気がビリビリと走るような痛みだったり、重だるい感じだったりと様々です。これらの急性期の神経痛は、神経の修復に伴って1~1.5ヶ月ほどで軽快しますが、ご高齢の方や、治療の開始が遅れて重症化してしまった方などでは、皮膚症状が回復しても痛みだけが残り、いつまでも続く「帯状疱疹後神経痛」になる場合があるので要注意です。

帯状疱疹の治療は、抗ヘルペスウイルス薬を用いて帯状疱疹の原因であるウィルスの増殖を抑えることと、痛みを和らげることが基本となります。帯状疱疹の発症部位と重症度によっては脳炎・髄膜炎・顔面神経麻痺・めまい・難聴・排尿障害などの合併症を引き起こす恐れがあり、ありふれた病気とあなどることはできません。

帯状疱疹は予防ワクチンが有効で、発症率を半分に下げ、帯状疱疹後神経痛の発症を1/3に下げることができます。帯状疱疹は、50歳代以降発症率がぐんと増えますが、20代の発症も少なくありません。水ぼうそうワクチンを子供の頃に接種していても、1回だけでは20年程度で抗体価が下がってしまいます。銀座ケイスキンクリニックでは、大人になったら帯状疱疹予防ワクチンの接種をおすすめしています。ぜひご相談下さい。


関連治療


帯状疱疹予防ワクチン

多発性毛包嚢腫(multiple follicular cysts)、多発性脂腺嚢胞、脂腺嚢腫症(sebocystomatosis、steatocystoma multiplex)

胸の正中部やわき、首、腕の外側などに小豆大ほどまでの、肌色~グレーがかったぶつぶつした硬い隆起が多発することがあります。これは、脂を分泌する腺の開口部分にできる袋状の良性の腫瘍です。優性遺伝性で、思春期以降に現れ、男性に多いと言われています。単発のものもありますが、そちらは非遺伝性です。粉瘤と同様に袋状の構造(嚢胞)を呈していますが、中央に臍がないことと、多発していることで鑑別が可能です。

根治療法としては、袋ごと手術で切り取ることになりますが、手術で一つずつ切り取っていくと、線状の傷痕だらけになってしまいます。そこで、根治療法ではありませんが、銀座ケイスキンクリニックでは、炭酸ガスレーザーで中央に小さな穴をあけて、マヨネーズ様の脂分の多い内容液を押し出し、平らにする治療をおすすめしています。1個当たり1分程度で終わる簡単な処置ですが充分見た目がきれいになります。メスで切り取る手術に比べ、術後の処置も簡単で、傷跡も残りません。

関連治療

CO2レーザー手術(炭酸ガスレーザー手術)

静脈湖 (venous lake) 、老人性血管腫

加齢とともに増える老人性血管腫(cherry angioma)が口唇にできたものを特に静脈湖と呼びます。青紫色で米粒大~小豆大の類円形のできもので、血豆のように見えます。青紫色の色調の変化が主体で隆起は軽度のことが多いようです。老人性血管腫は、高齢者に多くみられ、唇のみならず、顔面、耳介、体幹に生じます。病理学的には、血管が腫瘍性に増殖した血管腫と違って、毛細血管の拡張と増殖が主体です。唇の場合は、唇の粘膜の深い部分の血管が部分的に拡張したものです。なかなか治らない血豆がある場合は静脈湖の可能性があります。自然消褪はなく、治療としては、手術で切除したり、深い部分の血管に反応するレーザーを照射します。気にされている方は皮膚科専門医のいるクリニックで是非ご相談下さい。


関連治療


ロングパルスNd:YAGレーザー(血管腫)

基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞上皮腫(basal cell epithelioma)、基底細胞腫(basalioma)

色素性母斑(ほくろ)に似ている腫瘍の中に、「基底細胞癌」と呼ばれる皮膚の悪性腫瘍があります。80%以上がお顔にみられ、その中でも特に鼻周りなど、顔の中央に多く、紫外線の関与が推測されています。上皮系細胞のもとになる細胞が異常増殖したものと考えられており、組織学的には表皮の基底細胞に似た細胞が、胞巣(かたまり)を作りながら増殖しています。日本人(有色人種)の場合、腫瘍細胞がメラニン色素を産生し、黒色調のものがほとんどであり、色素性母斑(ほくろ)との鑑別が必要になります。逆に白人ではメラニン色素を作らないので、皮膚と同じ色か、血管拡張を伴って少しピンク色であり見逃されやすいので、皮膚科医は常に基底細胞癌も念頭に置いて診察に当たっています。

この腫瘍は放置すると潰瘍化したり、局所で無制限に増殖して骨まで深く入りこんだりすることもありますが、癌という名前にそぐわず、滅多に転移することはありません。そのような背景をふまえ、「基底細胞腫(上皮腫)」と呼ぶ人も少なくありません。腫瘍からある程度の安全域を含めて完全にメスで切除し、組織学的に取りきれていることを確認できれば予後の良い疾患です。
銀座ケイスキンクリニックでは皮膚科専門医が特殊な拡大鏡である「ダーモスコピー」を使用してきちんと基底細胞癌を除外した上で、ホクロと診断したものだけを炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)で除去しています。

関連治療

CO2レーザー手術(炭酸ガスレーザー手術)

ダーティーネック(dirty neck)、ポイキロデルマ様皮膚変化、アトピー性皮膚炎後色素沈着

成人期のアトピー性皮膚炎の患者さんに見られる特有の皮膚変化を指す言葉です。慢性・再発性の炎症により、さざなみ様の褐色の色素沈着(黒ずみ)や、色素脱失(白斑)、皮膚の萎縮などが混在して、主に首や鎖骨の上、上胸部などにかけて見られ、「ダーティーネック(dirty neck)」、「ポイキロデルマ様皮膚変化」と呼ばれます。メラニンは紫外線から表皮の角化細胞の核を守る働きがあり、基底層のメラノサイトが作り、通常表皮にしか存在しません。やけどや虫刺されなど、激しい炎症の後には、一時的にメラニン色素の産生が高まり、炎症後色素沈着をおこしますが、半年~2年程度で消えていきます。一方アトピー性皮膚炎では、慢性的に炎症を繰り返すとによって、表皮の基底膜が壊れ、普段はみられることのない真皮へメラニン色素が落ちてしまいます。これが時間が経っても消えない色素沈着(黒ずみ)の原因です。

表皮のみの色素沈着ですと、ケミカルピーリングやジェントルレーズ照射、ハイドロキノンやレチノイン酸の外用などが効果的ですが、dirty neckのように、真皮にまで落ちてしまったメラニン色素に対しては、効果が弱く、非常に難治でした。そこで、銀座ケイスキンクリニックでは、真皮のメラニン色素ごと、フラクショナルCO2レーザーで肌を入れ替える治療をおすすめしています。色素沈着の改善だけでなく、新しい皮膚におきかわることにより、萎縮した肌質から、ふっくらハリのある柔らかい肌質に生まれ変わります。長年お悩みだった方には自信をもってオススメしたい治療です。アトピー性皮膚炎の方でも、皮膚科専門医が炎症を治療した上で照射しますのでご安心下さい。

関連治療

フラクショナルCO2レーザー、ジェントルレーズ、院内調合オリジナル化粧品、ケミカルピーリング

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