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2016年6月17日

目の下へのボトックス注射の効果と注意点

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目の下へのボトックス注射の効果と注意点を見ていきましょう。


ボトックス注射で目の下のコンプレックスを解消!

「ボトックス」とは、ボツリヌス毒素から抽出した弱毒生の成分です。神経伝達物質(アセチルコリン)の再取り込みをブロックすることで、神経伝達を止め、筋肉の動きを抑制する作用があり、表情筋の動きで生じるシワの改善に応用されています。目周りにボトックスを注射することにより、まぶたをギュッと閉じる筋肉の動きを弱め、目元のシワを改善することができます。笑いジワは魅力的ですが、過剰に収縮する状態を繰り返すと、深く刻まれ、「カラスの足跡」などと呼ばれる老化症状になります。

また、やさしい印象を演出したい場合には、目尻側の下まぶたのラインにボトックスを注射することで自然な「垂れ目」をつくることも可能です。


ボトックス注射の施術の流れと効果

施術の際は、まず、注射部位に麻酔クリームを塗り、極細針のついた注射器を使って少量ずつ薬液を注射していきます。注射後はガーゼで軽く圧迫して止血をし、患部を少し冷やします。施術時間は2分程度、麻酔と冷却時間を合わせても30分弱と短時間で済み、施術当日から洗顔やシャワー浴も可能です。

ただし、体が温まって血行がよくなると注射した部分から出血や腫れが生じやすくなるため、施術当日は長湯やサウナなどの体を温める行為、激しいスポーツ、刺激の強い食べ物は避けておきましょう。

ボトックス注射は、施術後1〜2日ほどで徐々に効果が現れ、10日目ごろに効果が最大となります。持続期間は3〜5か月程度です。継続した効果を望む場合は定期的に施術を受ける必要がありますが、一般的に2回目以降は、初回よりも効果が長く持続するといわれています。これは、表情の癖が改善するためです。

☆ボトックス注射の注意点
ボトックス注射は、アレルギーが起こる可能性がほとんどなく、安全性の高い治療法とされています。しかし、いくつか注意点もあります。

一時的な副反応として、針跡が点状に残ったり、内出血が起こったりすることがあります。また、筋肉の動きが抑制されることから、額や眉間の治療後1週間ほどは違和感や頭痛が生じる場合もあります。眼周りのみの治療で認めることは非常にまれです。

また、表情の癖の左右差から、左右の仕上がりに差が出ることがあります。ただし、初回は弱めに治療し、効果が足りない場合は追加することで整えることができます。眼輪筋の適切な層に注射されないと、物が二重に見える(複視)などの症状が生じたとの報告もあります。薬の効果は限定的なので、数か月以内に自然に症状が回復し、後遺症が残るようなことはありません。しかし、そのようなリスクを避けるためにも、信頼のおける医師の施術を受けることをおすすめします。





唇へのヒアルロン酸注入の効果と注意点

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唇へのヒアルロン酸注入の効果と注意点を見ていきましょう。


唇へのヒアルロン酸注入で期待できる効果

ヒアルロン酸は目や関節、皮膚などの組織、細胞の隙間を満たしているムコ多糖類です。合成したヒアルロン酸製剤を、ボリュームを出したい部位に直接注射器で注入すると、自然なハリとふくらみを得ることができ、美容皮膚科・美容外科でポピュラーな施術法のひとつとなっています。

特に、唇へのヒアルロン酸注入は、加齢により「唇のハリがなくなってきた」「口紅がにじむ」と悩む方や唇をぽってりとボリュームアップさせたいと望む女性に人気のある施術です。


唇へのヒアルロン酸注入治療の流れ

唇へのヒアルロン酸注入では、まず、クリームやテープで唇に外用麻酔をします。5~10分でしびれた感覚になります。それから極細針で、ヒアルロン酸を数か所から注入していきます。施術時間は10分ほどで、その後、腫れを防ぐために、5〜10分ほど、氷のうや保冷剤などを使って冷やします。

唇は感覚神経が多く、痛みを感じやすい部位ですが、注入後に痛みが続くことはほとんどありません。もともと軽い刺激でも腫れやすい部位なので、施術後は注入やマッサージの刺激で、少し腫れます。ヒアルロン酸が入ることで感じる違和感は、通常1週間から1か月ほどで気にならなくなります。注入部位を避ければメイクをして帰宅でき、施術当日から洗顔やシャワー、シャンプー、食事、接触などの制限はありません。


知っておきたい唇へのヒアルロン酸注入のリスク

唇にヒアルロン酸注入をすると、注射針が毛細血管にあたってしまうことで内出血が生じる場合があります。また、唇の皮膚が少し伸びるので赤く見えます。注入された刺激に対する一過性の腫れに加え、ヒアルロン酸製剤が吸水することによる硬さが現れることもあります。これらの症状は、時間の経過とともに解消されていくので、1〜2週間もすれば治まります。

一番怖いのは、血管にヒアルロン酸が入り、血流障害が生じることです。このようなリスクを避けるため、ヒアルロン酸注入に精通し熟練した医師の施術を受けることが大切です。銀座ケイスキンクリニックでは、先端の丸いカニューラ針を用い、解剖学的に安全なポイントから刺入することでリスクを最小限にしています。


施術後の注意点は?

血行がよくなると、後から内出血が生じやすくなります。そのため施術当日は長風呂を控え、短時間のシャワー浴とし、飲酒や激しい運動を控えましょう。

また、注入部位のマッサージは腫れの悪化や注入したヒアルロン酸が移動する原因になるので、施術後1週間は控えることをおすすめします。

注入したヒアルロン酸は、徐々に分解、吸収されてきます。そのため、ヒアルロン酸注入の持続期間は薬剤の種類や個人差もありますが、おおよそ半年から1年程度となっています。効果を持続させるには定期的な注入が必要です。繰り返すことで、コラーゲン線維が新生し、注入間隔が長くなります。





まぶたへのヒアルロン酸注入の効果と注意点

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まぶたへのヒアルロン酸注入の効果と注意点をまとめて解説しました。


老けた印象を与える「くぼみ目」とは

「くぼみ目」は、上まぶたを持ち上げる筋肉の低下(眼瞼下垂)や、上まぶたの脂肪の減少などによって生じます。くぼみ目になると、上まぶたに影ができるため、やつれた印象を与えたり、年齢よりも老けてみえたりするなど、女性にとってはうれしくない変化です。また、二重まぶたのラインが曖昧になるケースもあります。


ヒアルロン酸注入による「くぼみ目」治療

くぼみ目を改善するためには、美容外科や美容皮膚科などの医療機関で「ヒアルロン酸注入」を行うことで悩みを解消することができます。

ヒアルロン酸注入治療とは、気になる部分にヒアルロン酸を直接注入し、肌にふくらみを持たせて、くぼみやシワを改善する治療です。まぶたに行えば、自然なふくらみのあるまぶたになり、二重のラインもハッキリするため、目もと全体が若々しく華やかな印象になります。


まぶたへのヒアルロン酸注入の注意点

まぶたへのヒアルロン酸注入でもっとも多いトラブルは「内出血」で、ごく軽いものを含めると全体の半数近くに現れるといわれています。これは注射針が毛細血管に偶発的にあたったしまうことで生じます。軽い内出血なら1週間程度、出血量が多めの場合は2~3週間程度で自然に回復していきます。

もう一つのトラブルは、まぶたの重さと腫れです。目周り用の柔らかいヒアルロン酸を使用しても、皮膚と皮下組織が非常に薄い部位へ注入するので、ヒアルロン酸が吸水している間は、まぶたが重く感じたり、むくんだりします。なじむまで少なくとも2~4週間かかります。この変化を最小限にするため、一回の注入量は少なめにします。ボリュームが足りない場合や左右差がある場合は、吸水期が落ち着く1~1か月半後に、追加注入する必要があります。ですから、大事なイベントがある場合は2か月半前に受診すると良いでしょう。

ヒアルロン酸注入では施術直後からメイクが可能とされていますが、針傷からの細菌感染のリスクもあるため、まぶたへのメイクは控えるようにしましょう。まぶたの内出血や腫れが気になる方は、長期休暇前などに施術を受けるとよいでしょう。

また、施術後しばらくの間は、注入した部位を強くこすると、「まぶたの腫れがひどくなる」「注入したヒアルロン酸が移動する」などの可能性があります。注入部位のフェイスマッサージは、施術を受けて1か月経ってからにしましょう。


治療を受ける際に気をつけておきたいこと

ヒアルロン酸注入で用いる製剤は、医療機関によって異なります。長期間効果が持続する薬剤には、ヒアルロン酸以外の成分が含まれている場合があるため、アレルギーによる副作用のリスクが高くなることもあります。まぶたへのヒアルロン酸注入を検討する際は、かかりつけの医療機関でどのようなヒアルロン酸を使用されているのかを確認することも大切です。






肌が炎症を起こしているときの対策

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肌が炎症を起こしているときに必要な対策をお伝えします。

肌の炎症とは

肌の炎症とは皮膚炎のことで、様々な疾患が含まれますが、多くの場合「湿疹」です。
肌が赤くなる、ブツブツができる、じくじくする、みずぶくれができる、カサつくといった痒みをともなう皮膚の病気の総称のことです。

異物や細菌などが皮膚内に侵入してきたときなどに肌の免疫システムが働き、サイトカインの信号をきっかけに炎症が起こります。

かゆみは、炎症に伴い産生されるサイトカインの作用で生じます。また、皮膚炎になるとさらにバリア機能が低下し、衣服や汗といった通常なら刺激にならないものが、刺激になってしまいます。


炎症が悪化するサイクル

皮膚炎になると軽い刺激にも敏感になるため、炎症が悪化しがちです。かゆみのために掻いてしまうと、さらにひどくなってしまいます。掻くことで炎症が悪化して、さらなるかゆみが生じる「炎症の悪化サイクルitch scratch cycle」に陥ります。

また、炎症は慢性化しやすいので注意が必要です。長期的な炎症の結果、表皮が厚くなって皮膚がごわごわしたり、黒ずみが残ったりすることがあるので気をつけてください。炎症の原因を取り除くだけでなく、掻いて刺激を与えないことが重要です。


炎症によるかゆみ対策

かゆみ対策で大切となるのは、かゆみを悪化させる原因を除去することです。炎症が起きているとかゆみが治らないので、抗炎症作用のあるステロイド外用薬を用いて炎症を抑える必要があります。

また、乾燥を防ぐために保湿剤を塗ります。かゆみを抑えるために抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬の内服も有効です。日常生活においては、かゆみを悪化させる恐れのあるストレスや発汗、熱いお風呂、飲酒、睡眠不足、刺激の強い香辛料などを避けるよう気をつけてください。


炎症の対処法

炎症を抑えるために、下記のような対処が必要となります。

○冷却
かゆみをともなうときは、患部を冷やしましょう。この際、濡れタオルではなく、保冷材に薄いタオルやハンカチを巻き、温度だけ下げることがポイントです。

○化粧品
普段使っているスキンケア用品などの刺激が強い可能性があるので、刺激の少ない敏感肌用に切り替えるとよいでしょう。炎症が強いとき、化粧水や乳液はしみることがあります。バームやオイルを塗るだけでも十分です。肌への刺激や摩擦にならないよう手で優しくぬるようにしましょう。

○皮膚科の受診
炎症がひどい場合には皮膚科専門医の診察を受け、適切な薬を処方してもらいましょう。炎症の原因を明らかにすることも再発予防のために大切です。





肌荒れしているときにパックはしていいの?

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肌荒れをしているときにはパックの仕方に注意が必要です。


肌荒れが気になるときのスキンケア・ポイント

肌荒れの主な原因は、肌表面つまり角層のバリア機能の低下です。肌荒れしているときは刺激に弱くなっているため、低刺激性のスキンケア用品を使いましょう。また、ケアをする際にも肌にあまり触れずに、摩擦を与えないように注意してください。

荒れている肌を改善するためには基本の保湿ケアをきちんと行い、バリア機能を正常に戻さなければなりません。肌荒れ後の色素沈着を悪化させないためにも紫外線対策もしっかり行いましょう。


肌荒れにNGなパックの種類と使い方

美容成分を効率よく浸透させるのに有効なパックですが、使い方を間違うと肌に大きなダメージを与えてしまいます。

パックにはクリームやジェル、クレイ、オイル、泡、シートなどさまざまな種類があります。肌の状態に合わせて使い分けることも大切です。

はがすタイプのパックは、肌を傷つけるので刺激に敏感になっている状態のときは使用を避けましょう。拭き取るタイプのパックは、摩擦によるダメージが生じます。敏感肌の方は、洗い流すタイプのパックを選ぶとよいでしょう。

シートパックは肌にのせたままにしておくと、シートの水分と一緒に肌の水分も蒸発し、かえって乾燥してしまいます。説明書に記載された使用時間をきちんと守りましょう。

日に何度もパックを行うのも肌に負担となります。多くても1日1回まで。基本的に3~4日に1回の使用で十分です。肌荒れがひどいときには、パックは控えるようにしましょう。

荒れた肌には刺激が少ないものを

パックもほかの化粧品と同様、自分の肌に合うものを選ぶ必要があります。愛用しているスキンケアシリーズのパックを試してみるとよいかもしれません。刺激の少ない敏感肌用で、うるおいを与えてくれるパックを選ぶとよいでしょう。そして、肌にあまり負担をかけない洗い流すタイプがおすすめです。事前に必ずパッチテストをするのも忘れないでください。

パックで一発逆転を狙いがちですが、肌が荒れてきたと感じる場合は、まずは毎日のスキンケアをシンプルにして、基本的な生活習慣、「食事、睡眠、排泄、ストレスコントロール、運動習慣」を見直してみましょう。






ニキビ・肌荒れをきれいに治す方法

shutterstock_353099822.jpgニキビによる肌荒れの治療法をご紹介します。

ニキビの種類

ニキビは症状の進行状態によっていくつかの種類に分けることができます。まず、毛穴の入り口の角層が厚くなり、ふさがった毛穴に皮脂や角質がつまった面ぽう(コメド)ができます。コメドは毛穴が閉じた白っぽい「白ニキビ」、皮脂が押し上げられて毛穴が開き、空気に触れた部分が黒く酸化した「黒ニキビ」があります。実は、肉眼では見えず、病理学的に毛穴の詰まった状態「微小面ぽう」という段階があることが分かってきました。このようなコメドからニキビは始まるのです。

面ぽう内部はアクネ菌の生育条件がそろっているので、過剰に増殖し、殺菌のために好中球(白血球)が集まってきて炎症を起こします。アクネ菌は「皮脂が好きで酸素が嫌い」という性質があるためです。アクネ菌は皮脂を「リパーゼ」という酵素で「遊離脂肪酸(FFA)」に変化させ、これが炎症の原因です。

炎症によって赤くはれた「赤ニキビ」、炎症が進んで好中球の死骸である膿(うみ)がたまった状態になる「黄ニキビ」、炎症が長引いて皮膚の深部に膿がたまった袋ができる「紫ニキビ」があります。そして、激しい炎症の後に生じる炎症後色素沈着や炎症後紅斑、クレーター状、アイスピック状の凹みをざ瘡後瘢痕(ニキビ痕)と呼び、非常に治しにくい状態になります。

10代のニキビは皮脂の過剰により、おでこや鼻周りにできるものが多いのに対し、20代以降の大人ニキビはバリア機能の低下による乾燥、誤ったスキンケアやメイク、ホルモンバランスの乱れなど複数の要因が絡み合ってできます。大人ニキビは頬やあご周りにできることが多いのも特徴です。


ニキビ跡を残さないために重要な根本治療

炎症を起こして膿ができた状態を放置しておくと、ニキビ跡が残ることがあります。抗菌剤の外用や内服、ビタミン剤などを使った治療が必要です。

肌のターンオーバーが正常に行われていれば、炎症後色素沈着によるニキビ跡を軽くすることができます。そこで、肌のバリア機能を含めた肌そのものの能力を正常に戻すことがポイントになります。基本のスキンケアは、正しい洗顔と保湿です。

○正しい洗顔法
•顔全体にお湯をなじませます。皮脂はお湯に溶けやすいという性質があります。
•低刺激のニキビ用石けんや洗顔料をしっかりと泡立て、泡で包み込むように洗います。額と小鼻周り、生え際から洗い始め、最後に頬にすると良いでしょう。決してこすらないように注意しましょう。
•ぬるま湯で洗浄剤が残らないように、やさしく丁寧にすすぎます。
•吸水性のよいタオルで押さえるように水気を拭き取ります。
•洗顔後は保湿をしっかりと行いましょう。

洗顔は1日2回行います。過剰な洗顔は肌のバリア機能を壊し、乾燥の原因となるので、運動後など、それ以上洗うときは洗顔料は使わないようにすると良いでしょう。


クリニックで行われるニキビ治療

美容皮膚科では、下記のようなニキビ治療を行っています。

○ケミカルピーリング
酸性の薬液を塗布して古い角質を除去し、毛穴の詰まりを無くすことでニキビをできにくくします。また、ターンオーバーにより肌の再生が促され、ニキビ後の赤みや色素沈着を軽減します。医師が濃度、酸性度、塗布時間を調整するので、アトピー素因がある肌や乾燥肌でも施術を受けていただくことができます。

○レーザー治療
「炭酸ガスレーザー」で小さく穴をあけて、深いニキビの皮脂や膿、壊死組織を押し出します。傷跡は2~3か月間軽い赤味が続きます。

「フラクショナルレーザー」治療はニキビ跡の凹凸を滑らかにする効果があります。小さな点状にレーザーで熱凝固点や孔を空け、皮膚が再生することで凹みを目立たなくしていきます。当日は浮腫みと赤味が、約1週間~10日間はザラザラした小さなかさぶたが出来ます。

○注射
赤ニキビなどひどい炎症を抑えるために「局所用ステロイド」を注射することがあります。紫ニキビなど炎症が強いしこったニキビの炎症を1日で鎮静化し、ニキビ痕になることを予防します。

凹みの強いニキビ跡には「非架橋ヒアルロン酸注射」が有効です。銀座ケイスキンクリニックでは「ベロテロ ハイドロ(旧メソリスプラス)」を使用しています。注入されたヒアルロン酸の周囲に新しいコラーゲン線維が再生し、浅くなります。少量しか注入できないため、数回の繰り返し治療が必要です。

○面ぽう圧出
ニキビにつまっている皮脂や膿を「面ぽう圧出器」という器具を使って押し出します。白ニキビや黄ニキビ、紫ニキビに有効な対症療法です。

○イオン導入
ビタミンCやレチノールなどの有効成分を浸透させるための施術です。電気の力を利用するので、外用の40~50倍の浸透効果があります。ケミカルピーリング後に行うことで効果が高まります。

○ホルモン治療
月経前緊張症としてニキビが出ている場合、低用量ピルを処方することがあります。





肌荒れに効く薬はどのようなものがあるの?

shutterstock_183357557.jpg肌荒れに効果的な処方薬と市販薬を代表的なものだけ抜粋してご紹介します。

肌荒れに有効な薬

一般の方が「肌荒れ」と認識している皮膚病には、湿疹、あせも、ニキビなど多数の疾患が含まれます。処方薬と市販薬の代表的なものをご紹介しましょう。飲み薬や塗り薬など種類も豊富です。

○処方薬
皮膚科では、専門医が皮膚症状を診察し、適切な薬を処方します。細菌や真菌による感染症、化粧品や金属などのかぶれなどは、原因を明らかにすることで再発しにくくなります。経験に基づいた問診が鍵になります。処方薬は、有効成分の含有量や種類が多く、薬効が高いことが特徴です。薬の特性をしっかり理解して、医師の指示に従い、副作用に注意しながら、適正な量や使い方を守る必要があります。

○市販薬

塗り薬がメインで、手軽に使用できるのがメリットです。処方薬に比べると副作用が少ないものが多いのですが、そのぶん効果も弱いでしょう。使用に際して薬剤師に相談することはできますが、基本的には自己責任による治療となります。
3日間外用して効果がみられない場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。湿疹のように見えて実はカンジダ皮膚炎だったなど、自己判断で市販薬を使って症状が悪化するケースも少なくありません。特に敏感肌やアトピー素因のある人、薬剤アレルギーがある人は、市販薬を使わずに皮膚科を受診したほうがよいでしょう。

処方薬による肌荒れ改善

肌の状態に合わせて、次の薬が処方されることが多いでしょう。

○ステロイド剤

ステロイド外用剤は湿疹、虫刺され、やけど、あせも等ほとんどの皮膚炎に効果的な抗炎症薬です。塗り薬には強さのレベルでランクがあり、専門医が皮膚症状の部位と程度を見極め適切なものを選びます。薬疹など重症例では短期間ステロイド内服薬が処方される場合もあります。短期間であれば副作用はあまり心配する必要はありません。長期に外用する場合は、医師の診察を定期的に受けてください。

○抗生剤
炎症を抑えるための外用薬と内服薬があります。細菌の感染が強く考えられる場合に処方されます。

○抗アレルギー薬(内服薬)
アレルギー反応を抑える内服薬です。じんましんは内服治療が基本です。また、ひどい湿疹やかぶれなど、かゆみをともなう場合は、抗アレルギー剤を併用すると早く症状が改善します。

○レチノイド製剤(ディフェリンゲル)

以前から世界では使用されていましたが、日本では比較的に新しいニキビの治療薬です。初期のニキビに有効ですが、炎症を抑える効果はありません。刺激が強く出ることがあります。肌の状態に合わせて保湿剤の併用や塗り方、頻度を調整する必要があります。

○過酸化ベンゾイル製剤(ベピオゲル、デュアック配合ゲル)
2015年に日本で認可されたニキビ用外用薬です。ディフェリンゲル同様、毛穴の詰まりを改善することで、ニキビをできにくくします。刺激や乾燥、赤みが出ることがあります。デュアック配合ゲルには抗生剤も配合されています。

○硫黄製剤
肌のターンオーバー(新陳代謝)を正常化しますが、即効性は弱いでしょう。皮脂を過剰に抑制する性質があるため乾燥を招き、バリア機能が低下し症状が悪化する可能性があります。思春期ニキビには有効です。

○ビタミン剤内服
皮膚の脂質代謝の改善にビタミンB2やB6などのビタミン剤を内服することがあります。炎症による色素沈着を防ぐためにはビタミンCを併用します。

○漢方製剤

体質に合わせて処方されます。補助的治療として処方されることが多いでしょう。

市販薬による肌荒れ治療

下記のような症状に適している市販薬をご紹介します。

○口内炎

即効性のある口腔用ステロイド剤配合の外用薬を用います。患部を刺激から守るパッチタイプがおすすめです。粘膜の代謝を高めるビタミンB群が主成分となっている内服薬を併用するとよいでしょう。口内炎と思ったらヘルペスだったという場合もあります。改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。

○口唇ヘルペス
医師に診察してもらい、抗ウイルス剤を内服するのがもっとも効果的です。外用薬であれば薬局で購入が可能です。使用する場合は、抗ウイルス成分であるアシクロビルやビダラビンが配合された外用薬を使いましょう。改善が見られない場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。

○ニキビ
炎症による赤ニキビには抗炎症薬と抗菌剤が配合された外用薬をおすすめします。毛穴に皮脂が詰まった白ニキビには、角化を調整し、皮脂分泌をコントロールする作用のあるビタミンB群を配合した内服薬が適しています。

○乾燥肌

血行を促進するビタミンEや肌のうるおいを保つビタミンA配合のクリーム、保湿効果の高いヘパリン類似物質の外用薬がよいでしょう。かかとやひじのかさつきには、角質をやわらかくする尿素配合薬を部分的に使用するとよいでしょう。

妊娠中の肌荒れの原因と対策

shutterstock_364954439.jpg妊娠中は肌荒れしやすいってご存知でしたか?そこで妊娠中に肌荒れをしてしまう原因と対策を詳しく紹介します。


妊娠中に肌荒れする原因

妊娠中にあらわれる皮膚の変化のひとつに、肌荒れがあります。ニキビや吹き出物ができる、体のあちこちがかゆくなる、スキンケア用品が合わなくなるなど、症状は人それぞれです。これらは、次のような原因が考えられます。

○ホルモンバランスの乱れ
妊娠初期はプロゲステロン(黄体ホルモン)が増え、子宮や腸の動きが悪くなり、浮腫みがちになります。これは着床から間もない胚を守り、流産を防ぐためともいえますが、生理前の状態が続くようなものですから、ニキビが増えやすくなります。便秘が続くと皮膚の水分量が減り乾燥肌に傾くこともわかっています。

また、赤ちゃんという異物を排除しないよう、母体の免疫状態が大きく変化します。そのため、妊娠初期はアトピー性皮膚炎が悪化する患者さんが多いという統計があります。(妊婦614人に認めた皮膚病変の統計学的調査 日皮会誌 第116 巻1号 P41〜50 2006年
慶田朋子)また、赤ちゃんへの影響を心配し過ぎるあまり、必要な外用治療を自己判断で中止してしまうため悪化する例も多いようです。

妊娠中期以降は、徐々にエストロゲン優位になるので、ニキビが落ち着いてきます。しかしながら、エストロゲン量が増えると、毛細血管拡張により血管腫や手掌紅斑が生じてきます。

また、妊娠に伴う生理的変化として、メラニンが増えてシミや肝斑ができやすくなったり、体毛が濃くなったりします。

○水分や栄養素の不足
つわりで特定の食べ物しか口にできなくなると、十分な栄養や水分が摂取できません。甘いものや脂っぽいものしか食べられなくなる人も多いでしょう。そのため、美肌に欠かせないミネラルやビタミンが不足しがちになります。

また、プロゲステロンの作用で便秘になりやすいのも、肌荒れの原因となります。

○その他、ストレスなど
慣れない妊娠生活でストレスを抱える女性も多くいます。初産ほどこの傾向が強いように感じます。また、つわりや大きなお腹が肺を圧迫するので、眠りが浅くなり睡眠不足に陥るケースも少なくありません。ストレスや睡眠不足は、肌荒れの大きな原因となるのです。


妊娠中の肌荒れの改善に必要なケア

体の内側と外側の両方からケアしましょう。

○内側からのケア
最近の研究で、妊娠中にお母さんが過剰なダイエットをすると、生まれた子が糖尿病にかかるリスクが高まることが分かってきました。低血糖、低栄養状態が、赤ちゃんを常に飢餓状態にさらし、低出征体重児の割合を増やすばかりか、耐糖能異常ももたらしてしまうのですね。良質な脂質、ビタミンやミネラル、タンパク質が不足しないように栄養バランスのとれた食事を心がけてください。美肌対策にもなります。もしも、つわりなどで食べられない場合には、主治医に相談してサプリメントをとり入れるとよいでしょう。つわりのときでも、水分だけはこまめに摂取して水分不足を防ぐようにしましょう。

○外側からのケア
肌のバリア機能を高めるために、保湿に重点をおいたスキンケアを行いましょう。

妊娠中は肌が敏感になっているため、肌にあわない場合は使用をすぐに中止しましょう。敏感肌用の化粧品を選ぶとよいでしょう。

妊娠性肝斑予防のため、天候に関係なく日焼け止めはしっかり塗ってください。日傘や服装にも気をつけて紫外線対策を怠らないようにしましょう。

☆妊娠中の肌荒れは気にしすぎないことも大切
妊娠中は肌荒れに悩まされやすい時期ですが、出産に必要なホルモンが分泌されるために起こります。出産してホルモンバランスが安定すると改善されますが、妊娠中の皮膚病変に詳しい皮膚科医に相談すると安心です。妊娠中でも安全に使用できる薬剤はたくさんあります。妊婦だからとすべての治療をあきらめる必要はないのです。

肌荒れに悩まされ過ぎず、赤ちゃんを迎える大切な時期と考えて前向きにとらえることが大切です。肌荒れをストレスに感じないように妊娠生活を楽しみましょう。






頭皮トラブルの原因と頭皮用ローションの選び方

shutterstock_177462986.jpg頭皮の乾燥、かゆみ、汚れ、匂い、フケ症といった頭皮トラブルは、乾燥、パーマなどの薬剤、誤った洗髪方法、すすぎ不足などが原因で起こります。頭皮のダメージが進行すると、薄毛にも影響する場合もあるので注意しましょう。

頭皮もほかの部分の皮膚と同じ仕組みになっており、顔と同様にスキンケアが必要です。わたしたちの皮膚は上から表皮・真皮・皮下組織という3層で成り立っており、表皮の最下層(基底層)の細胞が分裂し、新しい細胞が生み出されています。新しくつくられた細胞が約4~6週間かけて徐々に表面に押し上げられて生まれ変わっています。

髪の毛を作りだしている毛母細胞は、加齢や血行不良、栄養不足、ストレスなどによって働きが低下します。また、頭皮は体のなかでも皮脂腺や汗腺が多く、頭皮が赤くなる湿疹、かゆみやフケ、不快なにおいを生じやすくもあります。適度な皮脂は頭皮のうるおいに必要ですが、過剰な皮脂は酸化して頭皮を刺激してしまいます。
注)皮脂が薄毛には影響するという医学的なエビデンスはありません。


頭皮ケアには頭皮用のローションがおすすめ

洗顔後に化粧水などで顔のお手入れをする人は多いのに、洗髪後に頭皮ケアをする人は少数派。洗髪後は有効な成分が含まれた育毛ローションなどで頭皮をマッサージしながらケアすることが大切です。

頭皮にうるおいを与えることで、頭皮のバリア機能を正常な状態に整えます。また、頭皮の血行を促進し、毛母細胞に活力を与えることができるのです。健康な頭皮を保つことが、健康で美しい髪をつくることにつながります。

特に乾燥する冬は、頭皮の保湿を忘れずに行いましょう。また、夏の頭皮も紫外線によるダメージで乾燥しやすいので、頭皮用のローションを使ったケアが必要です。頭皮は紫外線を受けやすいところですから、帽子をかぶる、日傘をさす、UVカット効果のある商品を使うなど頭皮の紫外線対策も忘れないようにしましょう。


頭皮用ローションの選び方

顔と同様、セラミドやヒアルロン酸など保湿にすぐれた成分が配合されたものでケアするとよいでしょう。頭皮に使うローションはミストタイプが便利です。洗髪後に髪を乾かしてスプレーし、指の腹を使ってやさしくマッサージするように頭皮になじませます。

頭皮用ローション以外でも、顔に使用して効果のある化粧水を使って問題ありません。ただし、湿疹がある方や敏感肌の方は、アルコールやメントールなどを含まない刺激の少ないものを選ぶとよいでしょう。


頭皮トラブルを防ぐための日常ケア

日ごろから次のように頭皮にやさしいケアをこころがけましょう。

○頭皮にやさしいアミノ酸系シャンプーを使う
洗浄力の強いシャンプーは皮脂ばかりか、角質細胞間脂質や天然保湿因子などまで落とし過ぎ、乾燥を招くことに。お湯で流すだけでも汗やホコリなどの頭皮の汚れはほとんど落とすことができますので、洗浄力のマイルドなアミノ酸系シャンプーをよく泡立て優しくなでるように洗いましょう。男性に多い「ミドル脂臭」の発生源になる耳の後ろや後頭部も丁寧に洗いましょう。

○洗髪はぬるめのお湯で
熱すぎると皮脂を落とし過ぎ、ぬるすぎると洗髪料や皮脂を落としきれなくなってしまいます。38~40度が適温です。

○しっかりとすすぐ
耳の後ろや後頭部など忘れがちなポイントもしっかり洗い流しましょう。毛穴を詰まらせないよう、トリートメント剤などが頭皮に残らないようにすすぎをしっかりするのがポイントです。

○頭皮を乾かす
頭皮が濡れていると細菌が繁殖しやすくなります。吸水力のよいタオルで、髪の中に指を入れていく感覚で、こすらずに乾かし、ドライヤーをかけた後、保湿ケアを行ってください。ドライヤーで乾かす際は、温風と冷風を交互に使い、髪が完全に乾ききる前に止めましょう。健康な頭髪は10%前後の水分量があるのです。




2014年8月 5日

唇のくすみの原因と改善方法

刺激を受けやすい唇

唇は角質層が薄く、皮脂腺・汗腺もないので、常に乾燥しがち。冬になると皮が剥けて、リップカラーが上手に塗れないという人も多いのではないでしょうか。唇のターンオーバーは他の部分よりも早く、3~5日で生まれ変わります。また、唇は他の部位に比べてメラニンを作る力が弱く、紫外線のダメージをダイレクトに受けやすいという特徴もあります。

唇のくすみの原因は?

唇は非常にデリケートなので、くすみなどのトラブルが起こりやすい部分。

唇のくすみの原因は、次のようなものがあります。

血行不良

肌寒い日にプールに入って、唇が紫色になった。そんな経験を誰もが一度ぐらいはしているのではないでしょうか。唇は皮膚が薄いので、血流の状態が目に見えやすく、血行がよいと赤く、悪いと紫色がかったくすんだ色になります。

色素沈着

唇は本来、メラニンができにくい部分ですが、紫外線による刺激やリップカラーの色素が残ったままの状態が続いたり、アレルギー反応などで炎症を起こすことなどによって、色素が沈着し黒ずんで見えるようになります。また、喫煙の習慣がある人は、タバコのタール色素が皮膚に沈着し、くすみの原因に。UVカット効果のあるリップを塗る、クレンジング時はゴシゴシこすらずにやさしくマッサージするようにリップカラーを落とすなど、毎日のケアでくすみ対策をしましょう。赤ちゃんの頃はピンク色だった唇が年齢とともにくすんでくるのは、メラニンくすみのため。美白剤の外用がやレーザー治療で生まれ変わったように明るい色に変わります。

糖化による黄ぐすみ・茶ぐすみ

糖化による黄ぐすみは、原因となるAGEsを作らないために、糖質過多の食生活を見直すことが大切。甘いお菓子を控えるだけでなく、ご飯・小麦・トウモロコシなどの糖質を控えめにする、食事の際に葉野菜を最初に食べるなど、食べ方も工夫しましょう。

疾患

まれに疾患によって唇に色素沈着が起こることがあります。アジソン病という副腎皮質ホルモンの低下によって起こる自己免疫疾患は、低血圧、全身のだるさ、胃腸症状といった症状のほかに、全身の皮膚や粘膜などに色素沈着が起こります。不安なときは、まず皮膚科に相談し、診断がつけば内分泌科で治療を受けることになります。

2013年5月10日

毛穴の役割について

スキンケアをしていると、毛穴に関する様々な悩みが出てきます。お肌の調子がイマイチ・・・と思って、じっくりお肌を観察してみると、毛穴が目立っていたり、毛穴が黒ずんでいたりすることってありますよね。

つい、「何でこんなに毛穴が多いの?」、「邪魔だわ...」と毛穴を悪者扱いしたくもなりますが、毛穴には大切な役割があります。毛穴の役割を理解した上で、正しいケアしていきましょう。

【毛穴の役割 ~バリア&デトックス機能~】

毛穴からは、皮脂や汗、老廃物が排出されています。毛穴から分泌される皮脂と汗が合わさることで、皮脂膜を形成して、お肌内部の水分が逃げないようにします。その皮脂膜は、外部刺激からお肌を保護する大切なバリアとしての役割を果たしています。

特に毛穴からの皮脂の分泌が多いTゾーンは、バリア機能も万全で、かぶれや湿疹が生じにくいというメリットがあります。しかし、皮脂の過剰分泌や角質の詰まりから、ニキビや脂漏性湿疹を招いているケースも見られるのです。

【毛穴の役割 ~体温調節機能~】

毛穴には、立毛筋が付着しており、寒い時や交感神経優位になった時に、収縮し、体毛を立て、毛穴を閉じて、体温が逃げるのを防ぎます。また、真皮の毛細血管を圧迫して血流を減らすことで、血液が冷えないようにも働きかけています。動物では、毛の隙間の空気の層が厚くなるので保温効果がアップして暖かくなりますが、体毛のほとんどない方ではその効果はあまりないと言われています。

ちなみに暑い時、発汗した汗が蒸発する際の気化熱によって、体温を下げるように働きくのは、毛穴とは別に、表皮に直接開口しているエックリン汗腺の役割です。

【毛穴の役割 ~フェロモン機能~】

毛穴には、アポクリン汗腺という体内の老廃物を含んだ水分を排出している汗腺が付着しています。アクポリン腺は脇の下や外陰部など性ホルモンと関係の深い場所にある汗腺で、脂肪酸を含んだ汗が分泌されます。

もともとは無臭の分泌物ですが、アクポリン腺に含まれる脂肪酸が空気に触れて酸化し、表皮にある常在菌によって分解されると、においの元となる物質に変化し、腋臭症(ワキガ)の原因にもなることで知られています。適度のにおいは、フェロモン作用があることが分かっています。

ほうれい線をつくらないための予防ケア

年齢を重ねると気になってくるほうれい線。ほうれい線予防のためのケアを早い段階に行うことで、年齢を重ねても美しいお肌を維持することができます。ほうれい線は色々な原因で目立ち始めます。

中でも、紫外線やタバコ、睡眠、運動不足による肌の老化が大きな原因です。ヘビースモーカーの漁師さんの深いシワをイメージしてください。反対に小さいころから日焼けに気を付けて体を鍛えてきたバレリーナのすっきりとした美しい顔・・・理想ですね。

【ほうれい線を作らないために気をつけること】

お肌の土台とも言える、コラーゲン線維とエラスチンは、真皮の線維芽細胞が作っています。長波長の紫外線A波はこれらの線維を傷つけ、細く脆弱にして、肌をたるませてしまいます。

美肌の基本は紫外線対策です。紫外線A波は、季節天候に関係なく降り注ぎ、窓ガラスも透過してしまいます。日の出から日没まで、一年中、屋内でも、日焼け止めを忘れずに塗りましょう。SPF35~50、PA+++~++++の日焼け止めを、薄く三度塗りがおすすめです。一度塗りでは、表示の1/5~1/4程度の効果しか発揮されないことが分かっています。

日焼けにいくら気を付けていても、タバコを吸っては台無しです。タバコは活性酸素を発生させ、末梢循環と肌の代謝を悪くし、シワを増やすことが研究データとして明らかになっています。

【上質な睡眠と定期的な運動も】

また、加齢とともに、成長ホルモンの分泌が低下し、線維芽細胞の機能が衰え、20代頃からコラーゲン線維の生成と分解のバランスが崩れ始めます。若いころに浴びた紫外線の影響と相まって、40代になると、肌のハリが失われシワが気になる方が増えてきます。上質な睡眠と定期的な運動は成長ホルモンの分泌を促すので、肌のハリを保ち、ほうれい線の予防に役立ちます。

肥満で頬のボリュームが過剰になると、重さで頬が下がって、ほうれい線が目立つことがあります。ほうれい線やフェイスラインのたるみ対策として、適正体重の維持は大切です。ところが、40代以降の急激なダイエットもシワが出来る原因の一つです。月2~3キログラムの減量が、体への負担が少ないとされています。

【ほうれい線の予防には、バランスのとれた食生活から】

バランスのとれた食事は、お肌を若々しく保つためには必要不可欠です。特に不足しがちな栄養素は、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸といわれるもの。

これらの栄養素は、お肌のハリを保つ役割を持つコラーゲン線維の生成を手助けする役割があります。しかし、体内では生成できないので、外部から摂取しなくてはなりません。不足しやすい栄養分は、食事と一緒にサプリメントで補うのもオススメです。

また、ダイエット中の方は、カロリーを気にして脂肪分を避けることが多いですが、過度に脂肪分を控えてしまうのは、お肌にはよくありません。脂肪には必須脂肪酸と呼ばれる、皮膚の乾燥を防止する役割を持つ栄養素が含まれています。潤いとハリのあるお肌を保つには、この栄養素が欠かせません。

この必須脂肪酸は、特に魚や植物の脂質に多く含まれています。また、魚には、コラーゲンの合成を手助けするミネラル分も多く含まれているので、お肌を若々しく保つにはオススメの食材です。

【ケアは早いうちから始めることが大切です】

最近の美容医療は格段に進化し、肌のハリを取り戻し、出来てしまったほうれい線も浅く出来るようになりました。伸びてしまったコラーゲン線維を太くし、線維芽細胞を活性化して、コラーゲン線維やエラスチンの産生を促す、高周波治療器・光治療器やヒアルロン酸注射など、予防という観点では、シワが深く刻まれる前の30代から始めると効果的です。

デリケートゾーンの黒ずみを改善するには

デリケートゾーンに関するトラブルは、なかなか人に相談できないものですが、実際に悩んでいる方が沢山いらっしゃいます。中でも多いお悩みが、デリケートゾーンの黒ずみです。他人とは比較しづらい場所ですし、自分の黒ずみを目にすると、イヤな気分になってしまいますよね。

そもそも、デリケートゾーンはお肌が薄くてトラブルを起こしやすいため、色素沈着を起こしやすい部位です。人種や肌質によって黒ずみやすい方もいらっしゃいます。日々のケアである程度は解消できても、透き通るように白い肌とまではいきません。あまり神経質になりすぎず、のんびりとケアしていきましょう。

【デリケートゾーンの黒ずみ改善法 ~日常生活での刺激を軽減する~】

まず、簡単にできるのが、日々の刺激をできる限り軽減することです。デリケートゾーンは入浴時を除けば、24時間ずっと下着や衣類による刺激を受けています。そのため、自分に合った下着のサイズや形状、そして素材を見直してみることは大切です。サイズがきつく、締め付けの強い形のものでは、強く当たるところが黒ずんできてしまいます。

そして、素材も、綿(コットン)や絹(シルク)、吸湿速乾加工を施した線維が、お肌への刺激が少なく通気性もいいのでオススメです。形状もビキニラインの黒ずみが気になる場合は、ボクサータイプのショーツがこすれにくいのでオススメです。

【デリケートゾーンの黒ずみ改善法 ~美白クリームやクリニック~】

デリケートゾーンは解剖学的に、メラニン活性が高く、黒ずみが生じやすい部位です。市販の美白クリームなどを使用しても、お顔と違って、すぐに効果が出ません。根気よく続けると良いでしょう。

確実な効果を出すには、美容皮膚科に相談するのもおすすめです。クリニックには、メラニンの合成を強力にブロックする、ハイドロキノンクリームやレチノイン酸クリームを処方してもらえます。また、ビキニラインや外性器周りのレーザー脱毛は、メラニンも減らしてくれるので、ムダ毛だけでなく、気になる黒ずみも解消できて一石二鳥です。

外性器周囲のムダ毛がすっきりすると、生理の経血が付いて、ナプキンかぶれや湿疹を繰り返すといったトラブルも減り、炎症後色素沈着が出来にくくなることで、デリケートゾーンの黒ずみが徐々に出来にくくなるというメリットもあります。他人に相談しづらいお悩みではありますが、女性皮膚科専門医なら、気軽に相談できるのではないでしょうか。

妊娠中のむくみ...赤ちゃんへの影響は?

妊娠中期に入り、体調も安定して、胎動を感じ、赤ちゃんに会える日が楽しみになってくる頃ですね。この頃から、顔や足がむくむようになり、「ひょっとして、食べすぎ?」という不安をかかえている妊婦さんのお悩みをよく耳にすることがあります。

はたして、このむくみの正体は何なのでしょうか?赤ちゃんに害はないのでしょうか?今回は、この妊娠中のむくみについて見ていきましょう。

【なぜ妊娠中はむくむ?】

女性は妊娠をすると、12週目あたりから体内の血液が増えはじめ、34週目に入る時期になると、通常時よりもなんと約40~50%も血液量が増えるのです。しかし、血液が増えているからといっても、血液全体が増えているわけではありません。

「血漿(けっしょう)」と呼ばれる液体が、かなりの量で増えていくのですが、この血漿には血球などの細胞は含まれておらず、90%以上が水です。つまり、血液は水分が多くなり、さらさらの状態になっているのです。血液がさらさらしていると、血管をスムーズに流れやすいため、血栓を防ぎ、お腹の中の赤ちゃんとの大切な連絡器官である胎盤の循環も良くなり、赤ちゃんにも栄養が届きやすくなるというメリットがあります。

しかし、血液中の水分が増えれば、全身がむくみやすい状態になります。また、大きくなった赤ちゃんの重みがかかることで、脚の付け根の太い血管が圧迫されて、むくんでしまうこともあります。妊娠後期に脚がむくむことが多いのはこのせいです。妊娠中は赤ちゃんの分も、酸素、栄養、老廃物を運搬するため母体には負担がかかっているのです。

【妊娠中にむくみやすい人、むくみにくい人】

妊婦さんの30%程度はむくみに悩みます。中でもむくみやすいのが、妊娠前までデスクワークが中心だった方や接客などの立ち仕事をされていた方です。むくみとはそもそも、細胞の間に過剰に水が溜まることで起こる現象です。

長い間身体が同じ姿勢でいると、血管周囲の筋肉が収縮しづらいので、血液の循環が悪くなり、重力の関係で、夕方、脚がむくみやすくなります。これは妊娠していなくても、同じことです。

また、冷え性や運動不足の方、高齢出産の方も、妊娠中むくみやすくなる傾向があります。これは、身体の機能が低下していることにより、体内の水分をうまく逃がすことができなくなっていることが原因として考えられます。逆に、日頃から活発的に運動をされている方は、妊娠をしても、むくみが気になるようなことは少ない傾向にあります。

【あまり気にしすぎないことが大切】

妊娠中はホルモンの影響で気持ちが敏感になるので、いつもと違うことがあると気になってしまうものです。いつもはそんなにむくまないのに、急にむくんでしまったとなれば、赤ちゃんへの影響がないかと不安になったり、太ったと勘違いして悲しくなったりしてしまうかもしれません。

しかし、それは、身体が赤ちゃんを受け入れ、育んでいる証拠です。妊娠の経験のある方の多くは同じ経験をして、出産後は自然と治っているので、気に病む必要はありません。むくみを気にして、激しい運動をしたり、食事を無理に制限したりすれば、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるので、とても危険です。

逆に、お腹が重いからといってあまりにも身体を動かさないのも良くありません。適度に座ったり立ったりするように心がけ、疲れやお腹の張りを感じたら横になるようにしましょう。

寝るときは足の下にクッションを置くなどして、少しだけ足を高くすると、水分がたまりにくくなり、脚がむくみにくくなります。また、ふくらはぎをマッサージして、心臓へ血液を戻す筋肉のポンプ作用を補助して溜まった水分を流してあげることも効果的です。

妊娠中は塩分を控え、水分はしっかりとるようにしましょう。朝起きて、むくみが消えているようなら心配ありませんが、体重が急激に増えた場合には主治医にご相談ください。

意外と知らない人が多い"正しい洗顔"

顔についた汚れや皮脂を、さっぱりと洗い上げると、爽快な気持ちになりますよね。手でゴシゴシと洗う、しっかり汚れを落せるイメージがあります。しかし、それは肌を傷めるだけでなく、肌の力を弱らせる"やってはいけない洗顔方法"なのです。肌をいつまでも健やかに保つために、正しい洗顔の仕方を身につけましょう。

【洗顔を変えれば、肌も変わる】

洗顔の目的は、酸化した皮脂と汚れを落とすことですが、多くの方が顔の脂(皮脂)を全て落とそうとしているようです。酸化した皮脂は肌に刺激になってしまいますが、皮脂は外的な刺激から肌を守る大切なバリアです。また、角質細胞間脂質は角層内に水分を抱え込み乾燥を防ぐことにより、肌本来が持つ力を引き出すことに繋がります。

皮脂を取り過ぎたら、洗顔後化粧水と乳液で保湿をすれば良いのでは?と思うかもしれません。でも、皮脂を失うと機能が回復するのに数日が必要となり、普段ならかぶれない様な成分に反応してしまうことがあります。

肌には自浄作用があり、汗とホコリは、ぬるま湯で十分に落とせます。大切な皮脂を守りながら不要な汚れだけを落とす、正しい洗顔を身につけましょう。そうすれば、ニキビ、乾燥性敏感肌、肌に合う化粧品が見つからないといったお悩みや、様々なトラブルが解消することもあるのです。

【細かい泡で、やさしく洗う】

よく泡立てるために、まず手を洗います。次に、洗顔料を細かい泡を作るように良く泡立てます。ふわふわの泡で撫でるように洗うと肌を傷つけずに済みます。具体的には洗顔料を利き手とは逆の手の平に乗せ、少し窪めて、手のひらをボウルに見立て、利き手の指先3本で水を混ぜながら良く泡立てます。苦手な方は泡立てネットを使っても良いでしょう。

もちもちの泡が玉子1分ほどの大きさまで出来たら、手と肌の間にクッションの様に泡を乗せ、やさしく洗いましょう。

【肌タイプ別の洗顔方法】

オイリー肌の方は、Tゾーンなど皮脂の多い部分を入念に洗いがちです。しかし、過剰な刺激に繋がる洗顔方法はかえってトラブルを引き起こすことがあります。皮脂を取り過ぎると、肌が乾燥するばかりでなく、外的刺激から守ろうと、角質が厚くなり、ニキビや毛穴が目立つ様になります。もちろん乾燥肌の方は、もともと皮脂が少ないので洗顔料の使用は夜1回でいいでしょう。

もうひとつ大切なポイントは洗顔料をぬるま湯で最低20回以上はすすぎ、泡が残らないようにすることです。お湯の温度は33℃~36℃くらいが理想的です。

すすいだあとは、清潔なタオルで顔を押さえるようにやさしく水分を取りさります。洗顔後の肌から水分が蒸発する時に角層の水分が奪われる過乾燥になりがちです。3分以内にこってりしたクリームで十分に保湿をするように心がけましょう。

化粧水や美容液、さらっとした乳液だけでは、乾燥肌の保湿は不十分です。バームやクリームでフタをし、水分の蒸発を防ぐことが本当の保湿です。ほんの少しの心がけで、1ヵ月もすると見違えるほどお肌の調子が良くなってくるはずです。

肌たるみは、ほうれい線をつくる原因

ほうれい線ができる大きな要因は、お肌のたるみです。年齢を重ねるごとに、顔の皮膚はたるんできます。目のまわりや頬、首のラインなどにあらわれやすく、たるんだ部分に癖ができて、それがシワやほうれい線になるのです。

お肌のたるみは、人の表情をつかさどる顔の筋肉と筋膜が関係しています。私たちが笑ったり怒ったりする時には、口角を広げたり、眉間にしわを寄せたりします。この動作はすべて、顔に表情筋があるからできること。表情筋が伸縮することで、私たちは表情をつくることができます。年齢と共に、頬を引き上げ、表情筋やお肌を土台から支える筋膜が衰えてくると、重力に負けてたるみがでて、ほうれい線が刻まれていきます。

【紫外線によるダメージがたるみを引き起こす】

お肌のたるみのもう一つの原因は紫外線です。長時間紫外線を浴びる事がお肌に良くないのは、多くの方がご存知だと思われます。

お肌のハリは、コラーゲンとエラスチンという繊維により維持されており、お肌の骨格とも言えます。しかし、紫外線を少しずつ長期間、または短時間でも大量に浴びることでコラーゲン線維やエラスチン、またそれをつくりだす細胞が傷つき、生成が減少していきます。

黒くなる日焼けと異なり、隠れ日焼けとも言えます。真皮まで届く長波長の紫外線A波は、窓ガラスも透過し、冬も曇りの日でも一年中降り注いでいます。真夏以外は日焼け止めを塗らない、自宅にいるときはすっぴんという方は、日焼けをしていないようで、真皮の日焼けが進行していることがあるのです。

紫外線によるダメージでハリのあったお肌は、徐々にその艶やかさを失って、たるみとほうれい線などのシワが、少しずつ現れてきます。紫外線はお肌の老化スピードを速める原因のうち、最も大きなものなのです。

【無理なダイエットで、皮膚がたるむことも】

適度なダイエットは、代謝がよくなりお肌がキレイになりますので、とても良いことです。運動を定期的に行うことで、細胞が活発に新しく入れ替わり、お肌への栄養も十分に届くようになります。

また、やせることで、お顔をシャープにして、美しく小顔にみせる効果もあります。しかし、無理なダイエットには注意が必要です。急激にヤセたり、脂肪吸引したり、出産直後のお腹をイメージしてみてください。伸びていた皮膚はすぐに元には戻らず、しぼんだ風船のように、だるだるになってしまいます。

これは顔にも同じことがいえます。急激にヤセると、お肌がたるんで、シワとたるみが急速に表れてしまいます。若いころは体重が変化してもたるみはあまり気になりませんが、真皮のコラーゲン線維やエラスチンが弱くなってくる40代以降では目立ってしまいます。太りすぎと急速な体重減少は、ほうれい線ができる原因のひとつなのです。

敏感肌の方にオススメの入浴方法

肌がかゆい、赤くなる、ポツポツができる、などなど、敏感肌さんには、常に肌トラブルがつきものです。洋服やアクセサリーをはじめ、枕カバーや布団といったものまで、体に触れるあらゆるものに気を配りながら過ごさなければならないので、知らず知らずのうちにストレスを溜めているかもしれません。

1日の疲れを癒し、リラックスできる場であるはずのお風呂ですが、誤った入浴の仕方が原因で、肌トラブルが起きたら、とても悲しいことですね。ここでは、敏感肌にも優しい入浴のコツについてご紹介していきます。

【敏感肌には刺激を与えないことが大切】

熱すぎるお湯や長風呂は皮膚のバリアに欠かせない皮脂を奪ってしまうので、38度から41度のぬるめのお湯に5~10分以内の短時間入浴がおススメです。もちろん、温泉に行ったときは、十分に長風呂を楽しんでください。でもその後に、お肌は乾燥するということをお忘れなく。また、入浴剤は成分によっては刺激が強いこともあります。最後にシャワーで流すようにすると安心です。

ぬるめの湯に短時間の入浴では体が温まらないという方もいらっしゃいますが、それは、代謝が落ちている証拠です。これを機に、運動不足になっていないかどうかを見直して、代謝の良い身体をつくることから意識しましょう。代謝が良くなれば、身体に老廃物が溜まりにくくなるだけでなく、体の隅々まで栄養が行きわたり、体内のあらゆる機能が高まっていくので、思いもかけず、肌トラブルが解消されることもあるのです。

【なるべく刺激を与えない身体の洗い方】

汗でもかぶれることのある敏感肌の方は、皮膚の清潔に保つことが大切です。でも、多くの方が洗いすぎ、こすりすぎて、自分の手で敏感肌を作っています。敏感肌の方であれば、体が無性にかゆくなることがあるでしょう。ですから、ついついお風呂の中ではゴシゴシと洗ってしまうかもしれませんが、それは当然、肌に負担をかけることになります。

本来、汗とほこりはぬるま湯で流すだけで落とせます。皮脂汚れは石鹸が必要なのですが、乾燥肌、敏感肌の女性や高齢者、子どもの場合、もともと皮脂の分泌が少ないので使用部位と使用頻度に注意が必要です。毎日石鹸で洗うのは、皮脂分泌量の多い、頭、顔、上胸部、上背部と汚れやすい手足だけでもよいでしょう。その他は2~3日に1度の使用で十分です。

石鹸は顔の泡洗顔と同じように、よく泡立て、手で撫でるようにして洗えば、角層を傷つけず、皮脂を過剰にとることもないので、乾燥しにくくなります。タオルやスポンジは、繊維で肌を傷つけてしまうので、なるべく使わないようにしましょう。

【手の届かないところはタオルで】

手では届きにくい背中だけは、少しだけ皮膚が厚く、皮脂量も多いということもあり、タオルを使っても構いません。その場合ナイロンは避け、綿でできたタオルを使い、たっぷり泡立ててから、優しく洗うようにし、お風呂から出たら、5分以内にこってりしたクリームやオイルを全身に塗って十分に保湿するようにしましょう。

いかがでしたか?目から鱗のポイントもあったのではないでしょうか。敏感肌を悪化させている原因を避け、シンプルなケアを心がけると、2~3週間で肌が変わってくるのを感じて頂けると思います。

シミの種類に合わせたケア方法

シミの直接の原因は皮膚にあるメラニン色素の沈着ですが、更にその原因に遡ると、シミの種類によっても異なりますが、紫外線や老化、ホルモンバランスの乱れ、食生活、ストレス、遺伝的要因など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

ここでは、それぞれのシミの種類とケア方法をご紹介します。ただし、シミの種類を正しく特定するのは簡単ではなく、間違ったセルフケアによってシミが余計に悪化してしまうこともありえます。セルフケアによりあまり変化が見られない場合は、皮膚科専門医に相談するのが一番の早道です。

【肝斑(かんぱん)のセルフケア】

30~40代の女性に多く見られ、頬骨のあたりや額、鼻の下などにできやすく、左右対称に現れるのが特徴です。妊娠やピルの服用を契機に発症することがあり、女性ホルモンが関係していると考えられています。

セルフケアとしては、悪化や再発の因子となる紫外線対策をしっかりと行い、擦るなどの刺激を極力避けて、なるべくメラニンを生成させない、沈着させない努力をしましょう。美白化粧品によるスキンケアはおすすめですが、早く改善させようと思ってすり込んだり、強くマッサージしたりすることにより炎症を生じ、さらに濃くなることがありますので注意しましょう。

食事ではメラニンの生成を抑制し、還元する効果のあるビタミンCやビタミンEを含む食材をこまめに摂取するようにしましょう。活性酸素を排除する働きのある、抗酸化物質を多く含む食材(トマト、ベリー類、鮭など)もおすすめです。

【炎症後色素沈着のセルフケア】

炎症後色素沈着とは、ニキビやかぶれ、火傷などの炎症が刺激となってメラニンが生成され、沈着し、シミとなって残ったものをいいます。1~2年で自然と薄くなり消えるケースがほとんどですが、いつまでも消えずに残ってしまうものもあります。

セルフケアとしては、まずはさらなる炎症を防ぐために、新しいニキビやかぶれ、湿疹をおこさないようにこころがけることです。改善しないようであれば早めにクリニックを受診し、色素沈着を起こすほどの強い炎症になる前に治療することが大切です。炎症後色素沈着は初期治療が肝心で、紫外線対策と美白剤の外用が中心となります。併せて、ビタミンC・Eの摂取もこころがけましょう。

ただし、この場合も肝斑と同様に過剰なセルフケアは禁物です。また、すでにできているシミを濃くしないための紫外線対策は必須です。半年から1年経って濃く残っている場合は、美容クリニックに相談し、レーザーや光治療を検討しても良いでしょう。

【老人性色素班のセルフケア】

「お肌は紫外線によるダメージを記憶している」と言われます。長年紫外線対策を怠ってきた30代以降の方に多いのがこのシミです。おでこや頬など紫外線を受けやすい部位に多く見られ、段々と色が濃くなっていきます。

老人性色素斑はセルフケアではまず治らない疾患ですが、今からでも紫外線対策をし、長期戦を覚悟して美白化粧品によるスキンケア、ビタミンC・Eの摂取をしていきましょう。

【雀卵斑(そばかす)のセルフケア】

5~6歳頃からでき始め、思春期頃にはっきりとしてくる、鼻~頬にかけてみられる小型のパラパラとしたシミのことです。遺伝的な要因が強く、夏場の紫外線によって濃くなりやすいといわれています。紫外線対策と美白化粧品によるスキンケア、ビタミンC・Eの摂取をしていきましょう。

【光線性花弁状色素班のセルフケア】

海水浴などで、強烈な紫外線を浴び、水ぶくれになるなどの強い日焼けをした後にできる花弁状~金平糖状のシミのことです。胸や肩、背中の上方に多く見られます。セルフケアとしては、強い日焼けをしないよう紫外線対策をしっかりと行うことです。ビーチでは紫外線防御能の高いラッシュガードを着用すると良いでしょう。特に小児や若年者は将来、皮膚癌のリスクが高くなるので、大人以上に注意が必要です。

もし強い日焼けをしてしまい、ヒリヒリ痛んだり、赤くはれ上がったり、水ぶくれになった場合にはよく冷やしてすぐにクリニックを受診し、早めに治療して炎症を落ち着かせることが大切です。そして、美白化粧品によるスキンケアを行い、ビタミンC・Eを積極的に摂取していきましょう。

【クリニックでの治療法】

これまでに紹介したシミはレーザーや光治療、高濃度のケミカルピーリング、イオン導入などできれいにすることができます。ただし、未治療の肝斑のみ、不用意なレーザー治療ではかえって濃くなってしまうことが多く、一般的にレーザー治療は禁忌とされています。

経験豊富な医師の場合、診察の後、肝斑でも照射可能な光治療やレーザートーニングなどシミの種類によって適した治療法を提案してくれます。上記の治療法のほかに美白効果の高いハイドロキノンや高濃度ビタミンC、ピーリングの効果の高いレチノイン酸の外用薬、メラニンの生成を抑えるトランサミン、ビタミンC、ビタミンE、L-システインなどの内服薬も併用すると効果的です。

シミの代表格!老人性色素斑のケア対策

老人性色素斑は、これまでに浴び続けた紫外線が原因して、時間の経過に伴って現れてくるものとされています。薄茶色で輪郭がはっきりとした類円形をしているのが特徴で、日本人では通常40歳前後から現れやすくなります。また色白の人や、アウトドアで過ごすことが多い人ではもっと早く20代後半から現れます。一般的にいわれるシミは、この「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」のケースが多くあてはまります。

しかし、紫外線を浴びすぎたからといって、すぐにできるというものではなく、過去に受けたお肌の紫外線ダメージが蓄積した結果といえます。そして、一度できてしまうと自分では改善・治療が難しい症状です。防止するためには、日常的に紫外線対策をしっかりとおこない、備えておくことが大切です。

【過剰に生成されるメラニンがシミになる】

老人性色素斑は、お顔、腕、手の甲デコルテにできやすいとされています。これらの部位は太陽の光を浴びやすいところで、露光部と呼ばれます。紫外線を浴び続けることで、お肌の表面の細胞のみならず、ハリを保つのに必要なエラスチンやコラーゲンを傷つけてしまい、肌の老化現象をひき起こす原因となってしまいます。

人体には紫外線によるダメージを防ぐ機能が備わっていて、それがメラニン細胞の活性化です。日焼けをすると皮膚が黒くなるのは、紫外線が真皮まで届いて細胞を傷つけないように、メラニン細胞が活性化してメラニンがたくさん生成されるためです。その後、通常は皮膚のターンオーバーに伴ってメラニン色素が排出され、もとの肌色に戻ります。

この反応が正常におこなわれているのならいいのですが、紫外線対策をせずに慢性的に浴び続けていたり、加齢によりターンオーバーが部分的に滞ったりすると、メラニンが過剰につくられて沈着してしまい、老人性色素斑という褐色のシミができてしまうのです。つまり、改善・治療は局所的に現れたメラニンを、しっかり取り除くことがポイントになってきます。

【レーザーや光治療でメラニンを破壊】

老けた印象を与えてしまう、嫌な老人性色素斑も、最近では、比較的安価で簡単に治療できるようになりました。美容クリニックでは、老人性色素斑の治療にレーザー照射や光治療を用いて治療できます。

メラニン色素の過剰生成によってできたシミに、メラニンの黒い色素に反応する特殊な光を当て、メラニンを多く含む細胞のみを破壊することで治療・改善を目指します。破壊されたメラニン色素を含む細胞はかさぶたとなってはがれ落ち、シミのない新しい細胞に生まれ変わります。

同時に、メラニンの合成を強力にブロックするハイドロキノンクリームや、皮膚のターンオーバーを高めメラニンを排出させるレチノイン酸クリームの外用をホームケアとして行うと、治療効果が高まる上に、再発しにくくなるのでおすすめです。

老人性色素斑は、一度できてしまうと、自分では改善・治療が難しい症状です。防止するためには、日常的に紫外線対策をしっかりとおこない、備えておくことが大切です。シミの正確な診断ができる経験豊富な医師にご相談ください。

完治の難しいシミ、肝斑(かんぱん)とは

シミにもいろいろな種類があり、原因も治療法もさまざまです。その中でもやっかいなのが肝斑(かんぱん)かも知れません。頬骨の辺りや額にできやすく、もやもやとしたシミが左右対称に広がるのが特徴です。お化粧をしても、うっすらと肝斑の輪郭が浮き出てしまうことが多く、顔の印象も老けた感じになってしまいます。

肝斑は30代から40代にかけて発症することが多いようです。原因はまだあまりよくわかっていませんが、妊娠や経口避妊薬(ピル)の服用を契機に発症したり、閉経後に軽快したりすることから、女性ホルモンとの関連が指摘されています。そのため、主に男性よりも女性のほうが、この症状で悩みを抱えている方が圧倒的に多いようです。

【自己判断が難しい肝斑。まずは皮膚科の受診を】

多くのシミは紫外線が主な原因で、紫外線対策や美白化粧品によってある程度はシミを薄くすることができます。

しかし、肝斑の治療は一筋縄ではいきません。他の種類のシミと合併していることも多く、一方のシミには効果があっても、肝斑のほうは悪化してしまうことも十分にありえます。そもそも、顔にあらわれているシミがどんな種類なのかを自分で判断するのは非常に難しいですし、自己判断で誤った対策を続けているあいだに、ますますシミが広がったり、濃くなってしまう可能性もあります。

また、肝斑の治療は難しく、再発も多いため、長期的・継続的な治療が必要になります。多くのシミ治療に使われる一般的なレーザー治療はむしろ肝斑を濃くしてしまうこともあり、経験豊富な医師に相談されることをオススメします。

【紫外線による悪化にご注意】

紫外線は肝斑ができる直接の原因ではありませんが、症状を悪化させたり、再発させる因子の一つとして知られています。少量でも長時間、短時間でも大量に浴びると一気に悪化します。

紫外線によるシミに特に気をつけたほうがいいのは、赤くなるだけで、黒くならない色白の方です。黒っぽく日焼けをしてしまう方と異なり、天然の紫外線吸収剤とも言えるメラニン量が少ないため、シミができやすいのです。

日焼けをして肌が黒くなるのは、メラニン色素が多く生成されるからです。このメラニン色素には、紫外線が皮膚の深部に侵入してくるのを防ぐ役割があります。生成されたメラニン色素は、皮膚のターンオーバーにより排出され、もとの皮膚の色に戻りますが、慢性的に紫外線を浴び続けたり、加齢とともにターンオーバーが遅れたりすると、不均一に沈着し、いわゆる「シミ」となって皮膚に残ってしまいます。

肝斑は高血圧の様にコントロールする疾患と理解し、日常生活のケアと、医療機関での定期的な治療で、ほとんど気にならない状態をキープしていきましょう。

2013年3月19日

保湿のメカニズム

美しい肌の条件に「うるおい」は欠かせません。美肌効果を期待して、高価なクリームや美容液を次々と購入している方も多いのではないでしょうか?まずは「保湿の仕組み」を理解し、正しいスキンケアを行い、潤った素肌を目指しましょう。


【肌の潤いは、角質層(角層)で守られている】

角質層はわずか約 0.02 ㎜(食品包装用透明ラップと同程度)の厚さのなかで、角質細胞がブロックのよう. に 10 ~20 層積み重なり、外部からの水分の侵入を防ぎ、同時に内部の水分の蒸発を防ぐという役割を担っています。手のひらや足の裏などでは角層がとても厚く物理的な刺激に強くなっています。

例えば、お風呂に入った時に水が肌の中に入っていかないのはなぜでしょう。肌には外部からの異物の侵入をはばむバリア機能が備わっており、細胞同士を密着させることで、水や異物が肌の中に入り込むのを防いでいます。ですから、肌の外側から化粧水などで水分のみを補給しても、角質層深部に入り込むことはなくそのままにしておくと蒸発してしまいます。この時、角質層に含まれる水分を奪っていくので過乾燥となることもあります。

お肌はバリア機能で水や異物をはじいています

図1 お肌はバリア機能で水や異物をはじいています

【お肌の水分を保持するメカニズムとは?】

硬いケラチンタンパク質で出来ている角質細胞ですが、人の肌を触ると柔らかく感じるのは、角質層に約30%の水分が含まれているからです。このように十分な水分を含んでこそ、肌のハリ、なめらかさ、柔らかさを維持することができます。

一般に、皮膚のうるおい(水分量)は皮脂(ひし)、天然保湿因子(てんねんほしついんし)、角質細胞間脂質(かくしつさいぼうかんししつ)という3つの物質によって一定に保たれています。角質層に保持されている水分のうち2~3%を皮脂膜が、17~18%を天然保湿因子、残りの約80%は、セラミドという角質細胞間脂質によって守られています。

ところが、これら3つの保湿因子が加齢などの原因で減ってしまうと、角質層の水分も減少し、皮膚がひどく乾燥した皮脂欠乏症になってしまいます。

また、熱い湯に長くつかる、脱脂力の強いボディーソープで体を洗いすぎると、皮脂と角質細胞間脂質が流れ出てしまうため、お肌は乾燥します。さらに、外気や室内の乾燥も影響します。例えば空気中の湿度が50%以下になると角質層の水分が急激に蒸発しやすくなります。肌のつっぱりを感じた時には、すでに肌の水分量が10%以下になっていることもあり、お肌は外部の環境に非常に影響されやすいという特徴があります。こういった生活習慣や暖房の入れすぎなども皮脂欠乏症になってしまう原因の1つと考えられています。


【それぞれの保湿因子の働きを知ってスキンケアに生かしましょう】

保湿因子の重要性を上記で述べましたが、次はそれぞれの保湿因子を詳しく見てみましょう。

皮脂は水分を保つ大切な膜です

汗と皮脂(皮脂腺から分泌される脂)が混ざり合ったもので、天然のクリームとも言われます。天然の油膜として肌の表面を覆うことで、水分の蒸発を防ぐとともに、摩擦抵抗を減らし、表面をなめらかにしています。また、皮脂膜に含まれる脂肪酸によって弱酸性を保ち、細菌の繁殖を防いでいます。

皮脂と汗などが混ざりあい皮膚膜となります

図2 皮脂と汗などが混ざりあい皮膚膜となります。

皮脂の量と経皮水分蒸散量(TEWL)は、逆相関関係にあるために皮脂の量は多すぎても少なすぎてもいけません。皮脂の分泌が少ないと肌にザラつきやカサつきが出てバリアも弱まります。反対に皮脂の分泌が多すぎる、肌が脂っぽくベタつき、皮脂が刺激物質に変化し肌の炎症を招き、ニキビの要因にもなります。このように皮脂膜が重要な機能を果たすためには、適度な皮脂の分泌が必要です。

水分を蓄えてキープする天然保湿因子

Natural Moisturizing Factorといい、NMFと略されます。ケラチノサイト(角化細胞)が角化する過程でタンパク質から作り出されます。水分と結合する性質があり、アミノ酸、尿素、乳酸、塩基類などで構成されています。水分を吸着する性質が強く、水分を角質層に供給し、柔軟性と弾力性のある角質層の性質を保つ役割を担っています。

天然保湿因子

図3 天然保湿因子

角質細胞間脂質肌バリヤとなる細胞間脂質の働き

角質細胞の構造は、よくレンガとセメントに例えら
れます。角質細胞(レンガ)同士を角質細胞間脂質
セメント)が結びつけることで、内部の水分蒸発
を抑え、外部の刺激から守るという役割があります。

角質細胞間脂質は水を抱える親水基と脂質としての性質を持つ親油基があります。水分層と脂質の層が交互に重なる形のため、脂質二重層状構造(ラメラ構造)となり、上の図のように水を挟み込んでいます

水分層と脂質層が交互にあることで、まさに水も漏らさぬしなやかな防御壁になっているわけです。また比熱の高い水分層は、温冷刺激に対しても、優れた緩衝材となります。

この水と脂がキレイに並んだラメラ構造が崩れてしまうと、水分が抜けやすくなってしまいます。乾燥しやすい肌や敏感肌の方はラメラ構造を整えて保湿することがポイントです。

角質細胞間脂質はケラチノサイトの角化の過程で作られる脂質で、その成分はスフィンゴ脂質の仲間「セラミド類」が半分を占め、遊離脂肪酸、コレステロール、コレステロールエステルなど複数の脂質で組成されています。

セラミドには6つのタイプがあります。保湿に関係あるのはタイプ2とタイプ1で、タイプ2のセラミドは水分を保持する役割を担っています。角質層の特徴の1つバリアとしての働きをしていると考えられているタイプ1のセラミドは、必須脂肪酸のリノール酸が含まれています。リノール酸を除去した食事を与えられた動物実験では、リノール酸の代わりに非必須脂肪酸がセラミドに組み込まれることで、著しいバリア障害を引き起こすと報告されています。

ただ、コレステロールを増やさないことでも話題になったリノール酸(植物油・ゴマ・クルミ・高野豆腐などに多く含まれる)ですが、摂取しすぎると、善玉コレステロールを低下させ、動脈硬化を引き起こすことが最近報告されていますので、青魚に含まれるEPA、DHAなどのオメガ3の脂もバランスよく摂取する必要がありそうです。

オメガ3は健康だけでなく、美容にも大事な成分です

図4 オメガ3は健康だけでなく、美容にも大事な成分です

セラミドは、基底細胞のケラチノサイトのスフィンゴシンが素となっています。基底層(きていそう)から有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、角質層(かくしつそう)までの角化の過程でスフィンゴシンは代謝を繰り返し、角質層でセラミドとなります。これをセラミド代謝と言います。

アトピー性皮膚炎患者は、このセラミド代謝が正常に機能せず、正常の3分の1程度のセラミド量しかありません。この事が原因で角質層のバリア機能が低下することが、アトピー性皮膚炎発症の重要な因子となっていることが解っています。

このように、角質細胞内でNMFが水分と結合し、角質細胞間脂質がしっかりと水分を抱き込むことで角質の水分は保たれているのです。さらにその上にある皮脂膜が肌の表面を覆い、水分が蒸発するのを防ぐフタの役割をしています。この様な柔らかく、はかなげな成分で作られた構造に、肌の持つしなやかな強さと、美しさの秘密が隠れているのです。


【ニキビの予防にも保湿が大切】

ニキビもバリア障害が原因だということを、ご存知ですか?ニキビの始まりは「毛包漏斗部(毛穴の入り口)が詰まること」ですが、ニキビの患者さんは角層のセラミド量が低く、バリア機能が障害されていることが分かってきました。

毛穴が詰まってしまうイメージ

図5 毛穴が詰まってしまうイメージ

バリア機能が壊れると角質細胞からIL-αという情報を伝達する為のタンパク質であるサイトカインが放出され、それがきっかけとなりケラチノサイトを分裂させます(角質層と表皮を厚くして体を守ろうとします)。毛包内に常在するアクネ桿菌は、皮脂成分のトリグリセリドを遊離脂肪(FFA)に変えます。

このFFAが角質細胞間脂質の合成過程に組み込まれると、オレイン酸を外用した時と同じように異常なラメラ構造が出来、セラミドなどの角質細胞間脂質の合成を抑制し、バリア障害を持続させます。さらに、角質細胞の接着性を亢進させて剥がれにくくするので毛穴が詰まるのです。

毛穴が詰まると、アクネ桿菌は好脂性(脂が大好き)のため、溜まった皮脂により数が増え、好中球と好中球由来活性酸素(ROS)を増やし、炎症をもったニキビとなるのです。このため好中球由来ROSを減らす抗生剤がニキビに有効なことが分かってきています。

毛穴の詰まりを解消し、皮膚のターンオーバーを整えるのでケミカルピーリングはニキビに有効です。しかし、意味のないアクネ桿菌の殺菌・消毒や過剰な洗顔はバリア機能をさらに悪化させ、お肌の過乾燥を悪化させます。乾燥すると刺激から守るためにますます角質が厚くなり(過角化)、毛穴の入り口がふさがれ面皰(コメド)となり悪循環になります。


【実際のスキンケアで気をつけたい点】

まず、基本の洗顔は、洗い過ぎに要注意です。汗とホコリは、ぬるま湯で十分に落とせます。また脂分の多い所は洗顔料をしっかり泡立てて汚れを優しく包み込むように洗います。お化粧をした時は、自分の肌に合うクレンジング剤をたっぷり使い、擦らずゆっくりと乳化させ、水またはぬるま湯でやさしく洗い流しましょう。

次に、化粧水でお肌を整える方が多いと思います。アルコールが含まれ、保湿に有効な成分を含まない化粧水を高頻度に外用すると、水分が蒸発する際にかえって過乾燥を引き起こすことがあります。

化粧水で保水した後は、クリームなどの油分を含む化粧品を塗ってフタをする必要があります。バリア修復に役立つ成分が含まれているとなお良いでしょう。特に角質細胞間脂質の1つであるセラミド、あるいはそれに類似した保湿成分が配合されたクリームを塗ることをおすすめします。外用した脂質は角質層を通過し、顆粒層内で角質細胞間脂質の合成過程に組み込まれることが分かっているからです。

しかし、脂質なら何でもよいというわけではありません。脂質の種類(オレイン酸などのある種の不飽和脂肪酸)によっては、異常なラメラ構造(出来損ないのバリア)が作られてバリア障害を生じ、面皰形成(ニキビ)、過角化、表皮肥厚、落屑異常を引き起こすのです。「ノンコメドジェニック」というのはこのようなニキビ(コメド)を増やしにくい成分で作られているということです。

ラメラ構造と同様の構造と機能を持った微粒子(ラメラ構造脂質)が工業的に作られるなど、近年では保湿成分の開発も目覚ましいものがあります。


【乾燥肌で敏感肌になる】

乾燥すると大切な角質のバリア機能が低下し、アレルギー反応が出やすくなることも分かっています。反対に、バリア機能を高めるスキンケアをすれば、抗原が表皮まで侵入しなくなるのでアレルギー反応を生じにくくすることもできるのです。信頼できる皮膚科医に相談しながら、その時々でお肌の状態を見極め、うるおいのある状態に保つスキンケアをご自分で模索してみて下さい。

2013年3月18日

乾燥肌とは

乾燥肌といえば秋冬の悩みでしたが、最近は1年を通じて乾燥肌に悩む方が増えています。乾燥肌とはどういう状態か、またどうしてなるのか?メカニズムとちょっとしたスキンケアのコツなどをご紹介します。

最近は乾燥肌に悩む人が増えてきました。
図1 最近は乾燥肌に悩む人が増えてきました


【乾燥肌とはどんな肌?】

乾燥肌(ドライスキン)は、皮脂分泌量の低下、角質細胞間脂質などの減少により角質の水分含有量が低下している状態です。皮膚の水分は、発汗、不感蒸泄(ふかんじょうせつ:皮膚または呼気から蒸気として自然に失われる水分)で減少し、体の内側または大気中の水分により供給され、皮膚の保湿は皮脂、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質によって保たれています。

乾燥肌では、表面のうるおいがなく、柔軟性がなくなり、脆くなっています。年齢、体質、気候、環境やライフスタイルなどの要因が関係しています。また腎不全・粘液水腫(すいしゅ)・栄養障害、ビタミンA欠乏症など全身の病気から生じることもあります。ネイルリムーバーに含まれるアセトンなどの脂溶性溶剤の接触で過剰な脱脂と角質細胞間脂質の破壊が生じることもあります。遺伝的に角質細胞間脂質の一種セラミドが少ないアトピー性皮膚炎や角化異常を生じる魚鱗癬も乾燥肌を生じる原因の一です。

外来診療では、必ずしも水分量をはかり「乾燥肌である」と診断するわけではなく、皮膚所見から判断します。乾燥肌は白く粉をふいたように見えますが、これは鱗屑(りんせつ)といい、角質層の結合性が弱くなり浮き上がってきた角質細胞が皮膚表面に付着したものです。ただ、ターンオーバーのサイクルが乱れ、角質層が厚くなりゴワついた「過角化」も角質細胞間脂質の産生が間に合わず白く見えることがあるので、類似の別症状ではないかを見極める必要があります。


【皮脂欠乏症とは?】

皮脂欠乏症(乾皮症)は、皮膚の表面の脂(あぶら)が減少することにより皮膚の水分が減少して、乾燥を生じてしまう病気です。中高年者の手足、特に膝(ひざ)から下によくみられ、皮膚がカサカサしてはがれ落ちたり、ひび割れたりします。

誰でも年をとってくると、程度の重い軽いはありますが、皮膚の乾燥が生じてきます。特に女性の方が男性よりやや早い年代から起こってくるようです。軽い皮脂欠乏症は、病気というより生理的な変化といえるかもしれません。

皮脂欠乏症は多くの場合痒みを伴うため、掻いてしまい、赤みやひび割れなどの急性湿疹を生じると皮脂欠乏症湿疹と呼ばれ、医師のもとでの治療が必要になります。放置すると、夜中に目が覚めるほどの痒みから、掻きむしるようになり、皮膚がごつごつした慢性湿疹に変化していく場合もありますので、かゆみが強く、赤みがある時は早めに皮膚科を診察するようにしましょう。

また、乾燥すると通常弱酸性に保たれている皮膚のpHがアルカリ性に傾き、細菌が繁殖しやすくなります。髪や衣服が触れる程度の軽い刺激でかゆみを感じる、使い慣れた化粧品で赤くなるなど、刺激に対して敏感になります。


【乾燥肌を引き起こす3つの要因】

皮膚は通常、皮脂がつくる皮脂膜、NMF(天然保湿因子)、セラミドなどからなる角質細胞間脂質の3つの物質がバリアを作り、紫外線などの外部刺激やアレルゲンなどから肌を守り、肌内部の水分が蒸発しない仕組みを作り出しています。

バリア機能が壊れてしまった状態のイメージ
図2 バリア機能が壊れてしまった状態のイメージ

しかし、乾燥肌は、このバリア機能が壊れてしまうことが大きな原因となります。それでは、バリア機能が壊れる主な理由を挙げてみましょう。

1.皮脂量の低下

皮脂膜となるべき皮脂の分泌量が低下すると、ダイレクトに刺激が角質層に伝わりやすくなります。皮脂は皮脂腺から1日に約1~2g分泌されますが、環境や体質で変わります。皮脂の分泌を促す男性ホルモンが少ない小児や女性、老人では皮脂量は少なくなります。分泌量のピークは男性で30代、女性は20代に迎え、その後は減少していきます。また血行不良などで代謝が低下すると皮脂の分泌量も減少します。また皮脂腺は体の部位により数が違い目の周りや口元は少なくなっています。

毛穴の皮脂腺から分泌された皮脂が汗などと混じり合い皮脂膜となります
図3 毛穴の皮脂腺から分泌された皮脂が汗などと混じり合い皮脂膜となります

2.天然保湿因子(=NMF)量の低下

角質細胞内に存在するNMFはアミノ酸類、乳酸、尿素、クエン酸塩などからなり、水分を抱え込む性質をもっています。このNMFによって細胞内の水分量は一定に保たれるのです。NMFは日焼け、加齢、睡眠不足、ストレスなどで低下してしまいます。

角質細胞内に存在するNMFのイメージ図
角質細胞内に存在するNMFのイメージ図

3.角質細胞間脂質の減少

角質細胞をレンガに例えると、レンガとレンガの間を埋めてセメントの役割を担っているのが角質細胞間脂質です。このセメントが足りない状態になると、雨漏りしやすくなるようなものですから、バリア機能が低下するのです。

角質細胞間脂質はセラミドが大部分を占め、他の脂質と一緒に立体構造(ラメラ構造)となり水を挟み込み保水します。角質細胞間脂質が足りなくなると保水機能も低下します

アトピー性皮膚炎の方は、セラミドの量が通常の量と比べて3分の1ほどしかないことが分かっています。これは穴があいた傘を差しているようなもので、刺激に対して非常に無防備で、種々のアレルゲンが肌に進入しやすいと言えます。

角質層での保湿のメカニズム(実際は角質細胞間脂質の部分は全てラメラ構造です)
図4 角質層での保湿のメカニズム(実際は角質細胞間脂質の部分は全てラメラ構造です)


【メカニズムを知れば安心】

肌を外的刺激から守るためにある角質層が乾燥して角質のバリア機能が損なわれると、肌を守ろうとして厚くなります。この際、急に角質層を作ろうとするために産生が間に合わず、未熟な角質細胞ができてお肌がごわついてしまうことがあります。

乾燥肌の原因やバリア機能が低下するメカニズムは複雑ですが、正しく知ることで、スキンケアもシンプルで効果的になるでしょう。

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