雑誌『upPLUS/アッププラス』2018年月7号(6月12日発売 掲載ページP58~65)

特集『夏こそ「保湿」を見直して、美肌に一歩リード」
に慶田院長の監修記事が掲載されました。

夏の美容といえば紫外線対策と美白のイメージですよね。でも、実は落とし穴が。湿気や汗でジメッとしているせいで、保湿をおろそかにしがちです。夏枯れ肌にならないよう、夏の乾燥対策の要『保湿ケア』を見直しましょう。秋の肌が変わりますよ!

<「ジメッ」にだまされないで!夏肌もすっごく乾燥してます>
汗で濡れていたり、湿気があったりで、"夏は肌が湿っている"と勘違いしてしまいがちです。夏の外気は、もちろん冬よりも湿度が高いのですが、それと肌環境とが同じではありません。汗をかいてそのまま放っておくと、汗に含まれる塩類などが刺激となって肌のバリア機能が揺らぎやすくなることも。トラブル回避のため、肌の弱い人は特に、こまめに濡れたタオルなどで汗を拭き取った方が良いでしょう。
そんなバリア機能が乱れた肌=乾燥肌に強力な紫外線が降り注ぐと、さらなる乾燥を招くことに。紫外線対策を怠っていると、そのダメージは甚大!肌の乾燥は、外側のケアだけの問題ではありません。食べ物や生活習慣などさまざまな点を見直して、"夏枯れ肌"とは無縁の美肌を守りましょう。

<肌構造と保湿成分について、おさらい>
●美肌を左右するのは表面からほんの数mmのところ!
肌内部は多くの層に分かれ、その厚みは表皮で約0.2mm、真皮で約1.8mmです。表皮の1番奥の基底層で新しく生まれた細胞が徐々に上がってきて、最終的には剥がれ落ちるまでをターンオーバーと呼びます。その奥の真皮の役割は、肌のハリや弾力を保つことです。

●もっとも外側にある角層は、保湿とバリア機能の要!
角層にはレンガのように角質細胞が並び、その間を接着するように細胞間脂質が満たされています。水を抱えて細胞自体をふっくらさせる天然保湿因子は、角質細胞の中にあります。肌表面では皮脂が膜状のバリアを作り、水分の蒸発を防ぎます。

●肌の保湿に関わる「3大因子」
肌本来の潤いを保つ働き=バリア機能が正常に稼働するために不可欠。
それぞれ特徴があるので、知っておくとやりがいを持ってケアできるはず!
肌の潤い=角質層に含まれる水分の約80%を細胞間脂質が保持。「角質層の構造を支える大切な接着剤」ですが、流出しやすいという弱点が。これが乾燥を招く大きな要因。

・皮脂膜 保湿への貢献度2~3%
組成:毛穴からの皮脂と、汗腺からの汗が肌の上で混ざることでできる。「天然のクリーム」とも呼ばれるもの。
役割:角質が剥がれるのを防いだり、肌内部の水分が蒸発したりするのをブロック。外的刺激から肌を守る、第一の壁となる。

・NMF(天然保湿因子) 保湿への貢献度17~18%
組成:アミノ酸やミネラル、尿素など。細胞が顆粒層から角質層へと押し上げられていく過程で、細胞内のタンパク質がNMFへと変化。
役割:水分を吸着して角質層にとどまらせることがメイン。肌の柔軟性と弾力性を保つ役割も。
・細胞間脂質 保湿への貢献度80%
組成:約40%を占めるセラミド、その他に遊離脂肪酸やコレステロールなど。肌のもっとも表面にある角質細胞内にはセラミドは存在しない。
役割:角質細胞同士の隙間を埋め、外部からの刺激の侵入や体内の水分の過剰な蒸散を防止。

●保湿には個性がアリ!
どんな風に水分と関係するのか、大きく3タイプに分かれます。多角的な保湿のためには、どのタイプの保湿成分も取り入れたい!

・水分をはさみ込むタイプ
セラミド、スフィンゴ脂質、水素添加大豆レシチン、ステアリン酸コレステロールなど
水分をサンドイッチのようにはさみ込み、キープする力が強いのが特徴。代表的な成分はセラミドで、水分保持力がもっとも高い。

・水分を吸着するタイプ
NMF(天然保湿因子)、尿素など
角質細胞内に存在する水溶性の成分。使用感が良いため化粧品にも多く配合されているが、これ自体の保湿力はさほど高くない。

・水分を抱え込むタイプ
ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンなど
真皮に存在する成分で、保湿力と保持力が高い。湿度が下がった場合でも水分をしっかり抱え込んだままキープする。

<保湿のために!毎日の中の4大改善ポイント>
シミ、シワ、ニキビなど、あらゆる肌トラブルにつながる乾燥!うっかりやっている乾燥アクションを今日から見直して。

保湿の3大因子がきちんと機能していると肌表面にも内部にも隙間はなく、内側の水分は流出せず、外的刺激もしっかりブロック。逆に、バリア機能が弱まっている乾燥肌は、隙間だらけでさまざまな刺激を受けやすい。

細胞まで壊してしまうという恐ろしさ!
1.紫外線対策
紫外線は肌に炎症を起こします。この炎症をきっかけに角層の状態が乱れてくるのです。紫外線に当たると水分量は低下し、キメが乱れ、透明感が失われ......と、美を損なうスパイラルへとまっ逆さま。"対策をしないと火傷をする"くらいの意識でケアしましょう。

天気に関係なく日焼け止めは毎日塗る!
「曇っている日は、紫外線の影響がほとんどない」と、誤解している人が多いようですが、薄曇りでも紫外線量は晴れの日の70~80%は降り注いでいます。きっと、みなさんが想像よりずっと多いでしょう。ゆっくり、じっくり焼けてしまうのでUV対策は必須です。

顔はもちろん、体の日焼けも老化のもと
夏は露出が高くなるので、紫外線対策の必要な範囲も広くなります。面倒だと感じる人は、便利なスプレータイプを活用してみてください。シューッと吹きかけてサッとお出かけできる、サラッとしたテクスチャーのものなら肌負担も低く、扱いやすいはずです。

最低でもランチの際に1度メイク直しを実践
ランチに出かける前は「メイク直しを兼ねたUVケア」を習慣にしましょう。リキッドタイプは手間も時間もかなりかかるので、パウダーを重ねるのがオススメです。「粉」というもの自体に紫外線を拡散する力があり、何かしらのせておくだけで多少の効果はあります。

敏感肌こそ紫外線を浴びないように徹底して
かぶれた経験があると、積極的なケアがしづらくなります。でも、紫外線による肌ダメージはとても大きいので、自分の肌に合うものを見つけて使いましょう。まずは「紫外線吸収剤不使用」「ベビー用」などをキーワードに選んでみては。

「なんでも"じっくり"が正解」は、不正解!
2.勘違いスキンケア
夏は、肌が皮脂や汗でベタつきがち。そのせいで"一生懸命、洗わなくちゃ"と間違ってがんばってしまう人が多いのです。そんな洗い過ぎ、こすり過ぎが乾燥を招きます。また、暑さのせいにして保湿不足のスキンケアを続けると、肌老化を早めてしまいます。

とにかく摩擦は厳禁!プラス、洗浄力に配慮を
顔は「マイルドなクレンジング力の洗浄剤で、優しく洗う」が基本。でも、落ちや泡切れが悪いせいでこすり過ぎてしまうことも。「こする」回数を減らすなら、洗浄力の高いオイルクレンジングで手早く洗うのも有効です。

厳選保湿成分をハンドプレスで補給して
肌にギューッと押し込まないといけない化粧品はありません。優しく塗布すればちゃんと角層まで浸透します。もし、浸透をより高めたいのならゆっくりとハンドプレスを。あとは、量をケチらないことです。数回に分けてたっぷり塗ると浸透率がアップします。

オイルはフタじゃない!最後に乳液かクリームを
夏は「化粧水で水分補給をしておしまい」という人がいますが、やはり油分は必要。栄養分をたっぷり含み、比較的肌への刺激が低い良質なオイルをのせ、乳液やクリームでしっかりフタをして。最後のフタは、夏はテクスチャーの軽さで選ぶと快適にケアができます。

シートマスクののせすぎは乾燥するから時間厳禁!
シートマスクをのせっぱなしで寝てしまうのは危険!良い成分だけでなく、防腐剤なども浸透してしまい、肌に長時間のせてしまうと刺激性皮膚炎などの肌荒れを起こす可能性もあります。「まだ湿っていて、もったいない」と欲ばらず、決められた時間を守りましょう。

「なんとなく」やっていることが老いを呼ぶ!
3.生活"悪"習慣
日が長くなる夏は、何となく夜更かしが多くなります。さらに暑さで寝苦しいのも重なり、睡眠の質が落ちる季節。肌のターンオーバーが乱れると保湿成分の分泌が悪くなります。また、顔同様、体も洗いし過ぎてしまうと全身がカサカサ・パサパサに。

「保湿」に限っていうとお風呂は注意が必要
さら湯よりも、保湿効果のある入浴剤を入れた方が「角層の水分量が下がりにくい」というデータがあるのでぜひ活用を。お湯の温度は40℃より低めに設定。それ以上になると潤い成分が流出します。また、顔同様にボディの洗いすぎ、こすり過ぎも乾燥を招きます。

良質の睡眠をとれないと潤った肌は生まれない!
就寝中に細胞が新しくなるので、眠りは保湿の重要ファクター。寝付きの悪い人は、「この香りがしたら」「この音楽を聞いたら」眠りにつく、という入眠儀式を習慣化するのも手です。長時間肌に触れるリネン類は、自分が「心地良い」と感じるかどうかで選びましょう。

出先での水分補給は「油分入り」が絶対!
出先での水分補給も乾燥対策には良いアクション。ただし、水分だけでは乾燥に拍車がかかってしまうため油分の補給も忘れずに。メイクがヨレやすい頬や目周りは、日中も特に保湿を。ちりめんジワなどの肌トラブルが起きにくくなるので意識してケアしましょう。

すべては「口に入れるもの」でできているから!
4.偏食からの栄養不足
食事は冷たいもの、のどごしの良いものに偏りがち。お酒を飲む機会も増えますが、アルコールを摂り過ぎると睡眠の質が悪くなり、分解時には肌のターンオーバーに必須のビタミンB群を大量に消費。知らず知らずのうちに乾燥が進む恐れがあります。

潤いを生み出してとどめる栄養素を意識して摂取
肌が潤いを生むためには必須栄養素を摂ることも不可欠。+αとして着目するなら、抗酸化パワーの高いビタミンA・C・E、細胞分裂や抗酸化作用のサポートに関わる亜鉛など。おつまみなどでよく出てくる枝豆は必要な栄養素が豊富な、夏のスーパーフードです。

湿度や気温が高くべたつきやすい時期は、ついつい保湿を控えがちです。何となく潤っていると感じていても、実際は強い日差しやエアコンの冷気などが肌乾燥につながります。紫外線対策+保湿ケアを徹底し、夏のダメージを払拭しましょう。

是非、ご一読ください。


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