ボトックス注射(表情ジワ)の効果と特徴

表情ジワができる原因とメカニズム btxs_ima003.jpg人の顔には30種類以上にも及ぶ表情筋があり、それらを細かく動かすことで多彩な表情を作っています。表情ジワとは、笑った時の目尻のシワのように、表情を作る際に使う筋肉によってできるシワのことです。若い頃は、シワを元に戻す皮膚の弾力がありますが、年齢を重ねるにつれてコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚のたるみや脂肪の減少、骨の萎縮などが生じると、繰り返しシワを寄せた部位にプリーツ加工のようにシワが刻まれ、少しずつ深くなり目立つようになります。

また、大きく目を見開いたりする表情が豊かな方や、無意識に眉間や額にシワを寄せる癖のある方は、若くてもシワが定着してしまいます。年齢相応のシワは人間味があり魅力的ではありますが、部位によっては老けて見えたり、不機嫌に見えたりと、マイナスな印象になることがあります。

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表情ジワの改善・予防ができるボトックス注射とは shiwa_botimage007.jpg『ボトックス』という名前は、アメリカの製薬会社であるアラガン社が製造・販売しているボツリヌストキシン製剤の商品名「ボトックスビスタ」が由来です。ボツリヌス菌から人体への有用性を認められたA型ボツリヌス菌毒素(天然のタンパク質の一種)だけを抽出し薄めたもので、筋肉を動かす指令を脳から筋肉へ伝達する神経伝達物質「アセチルコリン」の分泌を抑えることで、局所的に筋肉の動きを抑制する作用があります。そのため『ボトックス注射』をすると、筋肉の過剰な収縮を弱め、表情ジワや筋肉の発達によるエラ張りなどのお悩みを改善することができます。

皮膚は動かせば動かすほどシワが深く刻まれていきます。表情の癖によって眉間やあご、額や目尻などにシワができるという人はプリーツ加工のようにシワが刻まれる前に予防として『ボトックス注射』を打つことをおすすめします。実際、30代前半から定期的にボトックスしている方は、圧倒的に表情ジワが少ないです。気になりだす前にスタートし、継続してメンテナンスを続けることをおすすめしています。ボトックス注射の効果は、個人差はありますが施術から2~3日で徐々に現れ、約2週間で効果が安定します。持続期間は、4~6ヶ月程度で効果は徐々に弱まりますが、一般的に2回目以降からはシワの原因となる筋肉が使われなくなるので、持続期間が長くなります。

ボトックス注射に使用する製剤

当院では高品質で安全性の高い2種類のボツリヌストキシン製剤をご用意しています。患者様がどちらの製剤を希望されるか、また治療頻度などよって選択いたします。尚、手技やダウンタイムのリスク、痛みなどは全く変わりません。

ボトックスビスタ®(アラガン・ジャパン社/日本) botox.jpg「ボトックスビスタ®」は、アメリカの製薬会社であるアラガン社が製造・販売しているボツリヌストキシン製剤です。2002年にアメリカのFDA(米国食品医薬品局:日本の厚労省に相当)で承認され、現在世界80ヵ国以上でシワ治療への適応が承認されています。日本でも2009年に65歳未満の成人における眉間への表情ジワの治療、2015年には目尻への表情ジワの治療に対して、厚生労働省から承認を得ています。

日本の基準での有用性・安全性が評価され、「ボトックスビスタ®」は、徹底した品質管理と統制下にて製造や輸送・保管が行われています。当院では、日本向けの正規品を販売しているアラガン・ジャパン株式会社より直接購入しています。尚、「ボトックスビスタ®」を使用するには、アラガン社の講習・実技セミナーを受講し、施術資格を取得する必要があります。

■アラガン社の認定を受けた医師が施術を担当
ボトックスビスタを用いる治療には正しい知識と注入技術が必要なことから、アラガン社が主催するトレーニングを受け、認定を受けた医師のみが施術を行います。また、定期的に学会や研修会に参加し、知識と技術の更新に努めております。

ターゲットとする表情筋の機能を解剖学的にしっかりと理解し、「表情の使い方(癖)」「皮膚たるみの程度」「肌年齢」「眼瞼下垂の有無」など、様々な点を考慮してボトックス注射を行っています。

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CORETOX® コアトックス(メディトックス社/韓国) coretox2020.jpg「コアトックス®」は、韓国のメディトックス社が開発した抗体産生リスクの低い高純度のボツリヌストキシン製剤です。2016年に韓国のKFDA(韓国食品医薬品安全庁:日本の厚労省に相当)によって承認され、有効性と安全性が確認されています。アラガン社のボトックスと同じ菌株を起源に開発され、製造工程で動物性由来物質、人血清アルブミンを完全に排除した安全性の高い製剤です。

従来のボツリヌストキシンは、短期間に繰り返し治療を受けたり、肩やふくらはぎなど大きな筋肉に高用量で繰り返し投与されたりしていると、体内に中和抗体※が産生されて、治療効果が減弱してしまうことがあります。これは、ボツリヌストキシン製剤に含まれる「複合タンパク質」が原因であるとされています。

「コアトックス®」は、複合タンパク質を完全に排除しているので、繰り返し使用しても、本来の優れた効果を長く維持することができます。そのため、継続的に治療を受けられる方やエラや多汗症(ワキ)、肩こりなど投与量が多い複数部位を治療したい方におすすめです。尚、アラガン社の「ボトックスビスタ®」は全世界で最も多く使用されている製剤で、美容領域の治療で中和抗体が発生するリスクはほとんどありません。

■中和抗体のリスクとは
抗体とは、体外から細菌や有害物質、毒物などが体内に侵入した時、異物として攻撃したり体外に排出したりする役割を担うタンパク質で、人間の体に備わった自己防御機能です。ボトックス注射は、ボツリヌス菌から人体への有用性を認められたA型ボツリヌス菌毒素を抽出したもので、これには抗原という免疫応答と引き起こすものがあります。高頻度、高用量でボトックス注射をしていると、体内に「中和抗体」が産生されて、再びボトックス注射をした時に、抗体がボトックスを異物として攻撃し、思ったような効果が得られなくなることがあります。

ボトックス注射は、美容医療以外にも眼瞼痙攣や、痙性斜頚、尖足など神経内科領域の疾患治療に用いられる安心な施術です。首や下肢など骨格筋の収縮を抑える際は、大量のボトックスを注射する必要がありますが、美容医療では主に顔の小さな筋肉に用いるため、1/10程度の少量ずつしか使用しません。異物タンパク含有量の少ない薬剤を用いて、同じクリニックで使用量を考えながら施術する限り、顔への治療でボトックス注射が効かなくなるという「中和抗体」の発生は極めて稀です。

ボトックス注射で改善できる表情ジワ
額の横ジワ(前頭筋の収縮によってできるシワ)
顔の中でも面積が広い部分なので、見た目の若々しさに与える影響が大きく、おでこに深く刻まれた横ジワがあると実年齢よりも老けて見えます。額にシワができる原因は前頭筋(眉毛を上げるための筋肉。眉から額生え際まで広く膜状に存在)の収縮です。元々表情が豊かな方や接客のお仕事をされている方が、興味を持ったり驚いたりといった表情を作るために眉を上げる動作を頻繁に行っていると横ジワが形成されます。また、加齢によってまぶたのたるみが出てきた方や眼瞼下垂の症状がある方は、無意識のうちに眉毛を上げて開眼を補助していることがあります。その場合、完全に額にボトックス注射を効かせてしまうと、眉毛の上方向の動きが制御されるので目が開けにくくなる可能性が高くなり、人相が変わるというトラブルにつながります。治療の可否は、診察で状態をみてお話させていただきますが、額の上半分だけに効かせる方法や、筋肉より浅い真皮内に少量ずつ点状にボトックスを注射する『メソボトックス(マイクロボトックス)』で自然な表情を保ちながらシワを改善していく方法を用います。メソボトックスのテクニックは、皮脂量を調整し、毛穴を引き締める効果もあり人気です。なお、表情に関係なく、シワが深く刻まれてしまっている場合は、『ヒアルロン酸注入』が適していることもあります。

眉間の縦ジワ(皺眉筋と鼻根筋の収縮によってできるシワ)
眉間には皺眉筋と鼻根筋の2つの筋肉があります。眉をひそめたり、老眼などの視力低下によって目を細める時に、この2つの表情筋が収縮すると眉頭を内側下方に寄せて眉間に縦ジワ、鼻根部に横ジワを作ります。その他、考えている時の表情癖や、朝起きるとシワが深くなっている方は、就寝中に険しい顔をしている可能性があります。人相が悪く見え、不機嫌な印象を与えてしまうので年齢・性別にかかわらず、ない方が良いでしょう。長年に渡り、眉間にシワを寄せ続けると『ボトックス注射』でも消せないシワが刻まれます。深く刻まれた縦ジワには、『ヒアルロン酸注入』を併用します。非架橋ヒアルロン酸製剤の『リデンシティI』を少量ずつ繰り返し注入し、コラーゲンを再生させることで目立たなくすることができます。

目尻の放射状のシワ・目の下のシワ(眼輪筋の収縮によってできるシワ)
目尻のシワは、笑った時や目を強く瞑った時にできる放射状のシワで、その形状からカラスの足跡とも呼ばれています。眼輪筋という瞼を開いたり閉じたりする筋肉の収縮が原因です。目尻のシワは優しい印象や幸せそうな印象を与えるため好まれることも多いですが、目尻から目の下までひろがり、無表情の時も深く刻まれていたり、メイクが入り込んでしまったりすると年齢を感じさせてしまいます。目尻は皮膚が薄く、筋肉に引っ張られるので顔の中でも一番シワができやすく、比較的若い年齢でも目立つことがあります。年齢とともにシワの戻りが悪くなり、癖づいて深くなるので、『ボトックス注射』での早めの予防が効果的です。

当院では額と同様に目尻など表情を大きく左右する部位は、筋肉より浅い真皮内に少量ずつ点状にボトックスを注射する『メソボトックス注射(マイクロボトックス)』をご案内しています。表情筋に薬剤を拡散浸透させて筋肉の表面線維だけの働きを弱めるので、自然な表情を保ちながらシワを改善することができます。また、シワが薄くなるだけでなく、ツルッと肌が張るのも嬉しい効果です。

バニーライン(鼻筋と上唇鼻翼挙筋収縮によってできるシワ)・鼻の横ジワ(鼻根筋の収縮によってできるシワ)
バニーラインは、笑った時や顔全体で大きく表情を作る時に、鼻~鼻根(両目の間)あたりにかけて縦、斜め方向にギュッと現れるシワのことです。鼻筋や上唇鼻翼挙筋の収縮によって生じます。ネーミングは、アメリカで有名なアニメのウサギのキャラクターに似ていることに由来しています。いつもはすました顔なのに、笑うと一転クシャッとなるギャップが魅力的に見えることもありますが、顔の中央にあらわれるため、年齢より老けて見られてしまうこともあります。表情癖が強い方で加齢とともに深く刻み込まれてしまうと、治療が難しい部位のため、早めの対処が大切です。

鼻の横ジワは、鼻根筋の収縮によって生じます。鼻根部の横ジワは、皺眉筋と連動して動くので、眉間のシワと同時に施術すると効果的です。また、加齢で低くなった鼻根を『ヒアルロン酸注入』でほんの少し高くすることで目立ちにくくなることもあります。

あごの梅干しジワ(オトガイ筋の収縮によってできるシワ)
オトガイ筋が収縮することで梅干し状のシワが形成されます。骨格の影響であごが小さい、後方に引っ込んでいる、前歯が出ている、歯のかみ合わせが悪いなどが原因で、口を閉じる時にオトガイ筋が過度に収縮してシワが形成されます。また、加齢により下顎骨が縮み後退すると症状が強くなります。あごの先端が首に近いと、口元が出っ張って見えたり、あごが短く見えたりしてお顔全体のバランスが悪く見えます。

『ボトックス注射』をすると筋肉がリラックスして緩み、口が閉じやすくなります。梅干しジワの改善だけでなく、あごが美しく前に張り出してEラインが整い、口元の突出した印象が和らぎます。ただし、オトガイ筋の近くには唇の動きに関与する筋肉(口輪筋、口角下制筋、下口唇下制筋)があるため、注入の際には解剖に熟知した医師に注入してもらうことが望ましいです。緻密なコントロールを要する注入ができるのは豊富な経験と実績があるからこそで、ボトックス注射はドクターの技量によって結果が大きく左右される治療です。実際、ボトックス注射の失敗が多い部位でもあります。また、あごの小ささが原因で梅干しジワができている場合は、『ヒアルロン酸注入』を併用すると相乗効果が期待できます。

上口唇の縦ジワ スモーカーズライン(口輪筋の収縮によってできるシワ)
口をすぼめたり、ストローで飲んだりする時に口周囲にできる縦ジワです。上口唇の皮膚は薄くて皮下脂肪が少ないので加齢によりあらわれやすいシワの一つです。喫煙者に多く見られるためスモーカーズラインとも呼ばれています。ボトックスで口輪筋の収縮を抑えつつ、馴染みの良い柔らかいヒアルロン酸を併用するとより高い効果が期待できます。

ボトックス注射のトラブルと当院の修正治療 『ボトックス注射』は、ダウンタイムもなく比較的手軽に受けることができる治療ですが、ヒアルロン酸注入同様、医師の技量によっては副反応が問題になることがあります。注入部位・深さ・量が不適切だと、表情筋の動きが悪くなり「額やまぶたが重く、目が開けづらい」「眉が吊り上がっている」「口が開けにくく、上手く食べ物が噛めない」などの違和感が出て生活に支障をきたしたり、不自然なほど表情が固まってしまったりすることがあります。3~4ヶ月程度で効果がきれて元の状態に戻るのが、ボトックス注射の特徴ですが、その間の心労は計り知れません。

当院では、ボトックス注射後のトラブルを少しでも早く回復させるため、効きすぎたボトックスの効果を弱める注射(アセチルコリン塩化物)をご用意しています。他院で受けた治療の経過・効果・仕上がり等のご不満に対して、修正治療のご相談を承ります。 本来は、注入を行った医療機関で修正すべきなのですが、「症状を訴えても、対応してくれない」「時間が経てば落ち着くと言われた」などの理由でお困りの場合はお引き受けしています。

当院のタッチアップ制度 当院では「ナチュラルな美しさ」を最優先とし、過剰な治療は行いません。表情筋の強さには左右差があることが多いので、1回の施術ではベストな状態に仕上がらないこともあります。そのため、2週間以内に再度ご来院いただき、状態を確認して、必要な場合は、再診料でタッチアップする保障制度を設けております。

ボトックス注射(表情ジワ)の痛み 十分に冷却した上で、34Gナノニードルという極細針を使用し注射しますので、痛みはもちろん、施術後の内出血などのダウンタイムもかなり軽減されています。もちろん個人差はございますが、ほとんど全ての方がご辛抱頂ける程度です。痛みに敏感な方や心配な方は、麻酔クリームのご用意もございますので、ご安心ください。

ボトックス注射(表情ジワ)のリスクとダウンタイム <痛み>軽度 <腫れ> 軽度(約1時間)<内出血> 全く無い~小さく10日程度
注入治療で、最も高い頻度で生じるリスクは内出血です。当院では極細針を使用し注射しますので内出血を生じない人のほうが多く、出てしまった場合も針の周りに小さな青あざが数日出る程度です。また、Stat Veinにて血管の走行を確認して出来るだけ血管を避けて注射することで、内出血のリスクを最小限にしています。

ボトックス注射(表情ジワ)の持続と頻度について ボトックス注射の効果は、施術から2~3日で徐々に現れ、約2週間で効果が安定します。持続期間は、4~6ヶ月程度で効果は徐々に弱まりますが、シワの原因となる筋肉を休ませることで小さくなるので、一般的に2回目以降からは、持続期間が長くなることもあります。ただし、効果には個人差があり、一度に多量の注射をしても効果が長くなる事はなく、拡散して副作用が出現するリスクが高まるので推奨できません。追加を希望される場合も症状が安定するまで2週間はお待ちください。

ボトックス注射(表情ジワ)の禁忌事項について ・過去にボトックス注射治療で異常反応があった方
・妊娠中や授乳中の女性
・子供を作る計画があり避妊していない夫婦(女性ですと、ボトックスを受けてから少なくとも2回生理がくるまでは避妊する、男性ですとその期間が3ヶ月になります)
・コントロール不良の糖尿病、急性感染症、膠原病、精神疾患
・注入希望部位に未治療の感染症や皮膚疾患がある方
・脊髄、末梢神経の病気に罹患している場合
※筋萎縮性側索硬化症、運動性ニューロパチー、重症筋無力症、ランバート・イートン症候群といわれる全身性の神経筋接合部の障害を持っている方。
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