2018年1月 9日

溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)の効果と特徴

トラブルになる理由

エンドプラスト(エンドプロテーゼ)鼻筋・あご・バスト形成
主に顎・バストなどに注入されます。ジェル状のシリコン粒子製剤です。カニューラ針で注入し、しばらくすると寒天様に固まり、周囲に被膜が形成されます。ヒアルロン酸注入のように簡単に行え、半永久的に残存することから、手術でシリコンプロテーゼを入れることに抵抗がある場合などに選択されることがあります。ぶよぶよと柔らかい素材なので、鼻が太くなり見た目が不自然になるため、仕上がりが気に入らない場合が多いようです。「被膜ができるので100%取り除ける」という触れ込みですが、実際は、効果満足しない場合、アレルギー反応が生じた場合など、取り除くためには切開手術が必要です。手術費用も数十万円から200万円程度と高額で、多くの場合傷が残りますので、気楽に注入できるものではありません。万が一、血管塞栓や血流障害を生じてしまった場合、溶解酵素による解決の手段がないため、当院は採用していません。


アクアミド(アクアジェル)鼻筋・あご・しわ・くぼみ

アクアミドは97.5%の純水と、2.5%のポリアクリルアマイド(アクリルアミドが重合した物質)ものからなる非吸収性の注入剤です。近年、"アクリルアミド"が発がん性物質であることが指摘されており、アクアミドが人体に無害な硬質のゲルであるとの触れ込みは疑問視されています。

簡単に注入することができ、半永久的に残存することから、効果が1~2年と短いため何度も注入する必要があるヒアルロン酸注入などより経済的だとして、一部の美容外科で行われています。しかし半永久的に残存する製剤のリスクは計り知れません。非吸収性の製剤(溶けないフィラー)は生体に異物認定されやすく、しこりや石灰化、異物反応、免疫異常、二次感染などの副作用リスクが高いのです。このようなトラブルが起きた場合、切開手術しか方法がありません。ところが非吸収製剤が組織の中に広く入り込み、皮膚や皮下組織、血管、神経などを大きく巻き込んで存在するので除去は困難です。取り除くためには広範囲に組織を失うことになり、切開の傷痕だけでなく、凹みや陥没、萎縮、感覚異常、麻痺、表情の変化など、回復不能の後遺障害が残る可能性もあります。

鼻筋に注入され、曲がった鼻になってしまった場合は、修正手術を引き受けてくれる施設でアクアミドを掻き出す手術を行います。しかしながら、皮膚の浅い層に染み込んで癒着しているものまで除去することはできません。また、除去した後にはデッドスペース(すき間)が発生するため、癒着して傷が落ち着くまで固定が必要です。皮膚の浅い層に異物反応が生じてしまうと元の皮膚に回復させることはほぼ不可能です。さらに、注入時に血管塞栓や血流障害を生じてしまった場合、溶解酵素による解決の手段がありません。既に、欧米諸国では使用や販売が禁止されている国も多いのですが、日本はいまだに野放しの状態です。このような理由で当院は採用していません。

アルカミド(バイオアルカミド)鼻筋・あご・しわ・くぼみ・バスト
ジェル状のシリコン粒子製剤です。96%が無発熱性の水、4%が架橋された「アミドイミドアルキル型高分子均一ポリマー体」という、特殊なソフトコンタクトレンズの原料と類似の成分で構成された物質です。アルカミドは、アクアミドとは違い、硬度が硬く、注入されると周囲に速やかにコラーゲンの被膜が形成されるため形成効果が安定しているといわれています。簡単に注入することができ、半永久的に残存することから、効果が1~2年と短いヒアルロン酸製剤よりも経済的だとして、一部の美容外科で行われています。

しかし、非吸収性の製剤(溶けないフィラー)は生体に異物と認定されやすく、しこりや石灰化、異物肉芽腫、免疫異常、二次感染などの副作用リスクが他のフィラー製剤より高くハイリスクです。このようなトラブルが起きた場合や効果に満足しない場合は、切開手術しか方法がありません。ところが非吸収製剤は組織の中に広く入り込み、皮膚や皮下組織、血管、神経などを大きく巻き込んで存在するので除去は困難で、完全に取り除くと広範囲に組織を失うことになり、切開の傷痕だけでなく、凹みや陥没、萎縮、感覚異常、麻痺、表情の変化など、回復不能の後遺障害が残る可能性もあります。手術は非常に難しく、その費用も数十万円から200万円程度と高額で、技術の高い形成外科専門医が行ったとしても多くの場合傷が残ります。注入時に、血管塞栓や血流障害を生じてしまった場合、溶解酵素による解決の手段がないため、当院は採用していません。

2018年9月、ほうれい線に繰り返しアルカミドの注入治療を受け、傷痕、痛み、開口障害など重篤な副作用を生じた大阪在住の女性が、施術した美容外科を提訴しました。原告の女性は、危険性をあらかじめ知らされていたら、この施術は受けなかったと悲しみを訴えました。

【レディエッセカルシウムハイドロキシアパタイト】額・あご・シワ・くぼみ・輪郭形成
レディエッセは、歯や骨を形成する成分「カルシウムハイドロキシアパタイト」が主成分の注入剤です。レディエッセは注入されると、周囲から線維芽細胞が入り込み、骨様の組織を形成するため、約18ヵ月間効果が持続します。またレディエッセはヒアルロン酸に比べ硬い物質であるため、目の下や法令線などの柔らかい部位に注入すると、硬いしこりになり、凸凹になってしまうことがありますが、ヒアルロン酸製剤のように溶解酵素が存在しないため、吸収されるまで待つしか方法がありません。

レディエッセは自己のコラーゲンを増殖させて効果を持続させているため、シコリが残る心配がないという触れこみですが、実際には数ヶ月から数年の経過を経て、石様の硬いしこりが出来てしまい、除去手術を受ける方が一定数存在します。加齢により周囲の脂肪が減少し、皮膚がたるんでくると、しこりが目立ちます。

レディエッセ注入後の血管塞栓による皮膚壊死、視力低下・失明などの報告もあります。さらにレディエッセはヒアルロン酸に比べ感染に弱いとも言われています。万が一、血管塞栓や血流障害を生じてしまった場合、溶解酵素による解決の手段がないため、当院は採用していません。


グロースファクター(成長因子)注入【bFGF・フィブラスト】しわ・くぼみ

グロースファクター(成長因子)には様々な種類がありますが、代表的な線維芽細胞増殖因子(bFGF : basic fibroblast growth factors)を主成分としたフィブラストスプレーという製剤があります。もともとフィブラストスプレー(bFGF)は糖尿病性潰瘍や壊疽、寝たきりの方の床ずれなど、栄養障害・循環障害を基礎疾患に持つ重症な皮膚潰瘍の治りを早める目的で使用される製剤です。何か月もの間、骨が見えるほど深い穴があいていた状態から、肉芽がモリモリ盛り上がってくる速さとその効果には驚異的なものがあります。

「そのように強すぎる武器(製剤)を、健康な方の皮膚に注射したらどうなってしまうのか?」専門家でなくても想像できるのではないでしょうか。そうです、過剰に皮膚が盛り上がり、不自然なしこりや凸凹になったり、脂肪組織がパンパンに膨らみ、違和感を感じさせるような大顔に変わってしまったりします。当院にも多数の患者様が修正希望でご来院されます。

セルリバイブジータ【成長因子添加PRP注入・FGF添加多血小板血漿注入】目の下のクマ・ちりめんジワ、額のシワ・ほうれい線・首のシワ・ニキビ跡
自分の血液から精製した濃厚血小板血漿を注入して肌の再生を促すPRP注入療法(多血小板血漿注入・セルリバイブ)は当院でも採用している再生医療の一種です。セルリバイブジータは、このセルリバイブに成長因子を加えて、肌の再生効果を高めるという注入方法です。他にも、プレミアムPRP、ニューPRP、PRP皮膚再生療法など、クリニックによって様々な名称が付けられていますが、成長因子を混ぜるPRP注入療法は総じて危険です。

成長因子は、ダーマペン・スカーレットRF(スカーレットS)・フラクショナルレーザー照射後の小さな傷からごく少量を浸透させた場合は、ダメージの回復を早め、肌の再生にゆっくりと作用するので問題になりません。しかしながら、成長因子そのものを注射した場合や、そもそも再生のスイッチを高める作用を持つPRPと混ぜて注入した場合、組織の線維成分再生が暴走し、いつまでも増殖し続けてしまうことがあります。なぜなら、成長因子は、生体内に注射されると完璧にコントロールすることはできないからです。その結果、副作用として長期的な、しこりが発生し、不自然な異物感が生じることがあります。一度できたシコリは手術により取り出すことは非常に困難です。

このように様々な危険性から日本美容外科学会JSAPSも、「皮下のしこりや皮膚の凹凸を後遺症として訴える者が多く、少なくとも想定された効果は得られないようである。成長因子の皮下注入の蔓延に対して改めて注意を喚起する。」と述べています。当院では開院から12年以上、一度も成長因子を混合して施術したことはありません。

トラブルの発生する時期

いずれも直後は問題がなくとも、早くて数年、長いと十数年経ってしこりができたり、隆起や紅斑が出たりすることがあります。治療は切開除去が基本ですが、ジェル状の製剤であるため組織に入り込み、完全に取り切れないことも多く、術後も残存製剤に対する異物反応を抑えるためにステロイドの継続的な内服を要することもあります。 施術を受ける前に、いま一度、リスクとその対処法の有無に関しても正確な情報を収集していただきたいと思います。


溶けないフィラー・非吸収性注入製剤後の問題症状と治療方法


当院では、手術するほどではないが気になる、というご相談に対して、症状に応じて下記の対症療法を行っています。

〇特定の表情を作ったときにのみ目立つしこり・不自然なシワ
⇒一時的に見えるものであるため、許容範囲内であればそのまま置いて置くことも一つの選択肢です。

〇不自然な影⇒周囲の脂肪溶解注射、ヒアルロン酸注入による修正

〇線維化(硬いしこり)⇒ステロイドの局所注射で過剰なコラーゲン繊維の形成を抑制すると軽減することがあります。

〇凹凸(おうとつ・でこぼこ)⇒ステロイド局所注射や脂肪溶解注射などで効果がない場合、柔らかいヒアルロン酸で周りを埋めてなじませると目立たなくなることがあります。

〇頬が全体的にパンパン⇒ウルセラ照射で皮膚をタイトニング、脂肪溶解注射で下床を柔らかくしてなじませると目立たなくなることがあります。


溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)のリスクとダウンタイム


<痛み>施術後1週間程度 <腫れ>3日間程度の腫れ <内出血>部分的に小さな青あざ 
shutterstock_1019073862.jpg脂肪溶解注射をする場合は、施術後3日~1週間程度の軽い腫れと熱感、筋肉痛様の痛みが出るのみですので、日常生活への支障もなく、確実に皮下脂肪厚を減らしていきます。33Gナノニードル針を使用するので、注射の痛みと内出血のリスクは最小限になりました。時々小さな青あざが出ることがあります。カルニチン配合の薬液なので、脂肪溶解注射による腫れやむくみは圧倒的に軽くなりました。
ケナコルト注射は薬剤による腫れや痛みは生じません。内出血のリスクは少々あります。
当日は飲酒、長風呂、激しい運動などはお控えください。翌日以降は運動や患部のマッサージをすると効果が高まります。

溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)の持続と頻度について

症状の程度により、2~4週間ごとに3~4回繰り返します。


溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)の痛み


麻酔が効いてからしっかりと冷やし、細い針で注射しますが、チクチク感はあります。脂肪溶解注射の場合、1週間ほど軽い筋肉痛様の痛みが続きます。


溶けないフィラー・非吸収性注入製剤(他院の修正)の禁忌事項について


下記に該当される方は、この治療を受けられないことがあるのでご相談ください。
・レシチン(大豆)アレルギーの方
・妊娠及び授乳中の方
・注射希望部位に無治療の感染症及び炎症がある方
・血液凝固障害のある方
・重篤な基礎疾患のある方(心臓・腎臓・糖尿・循環器疾患、膠原病など)
また、安全のため、他院での美容医療の治療歴を担当者にお伝えください。


他院施術の非吸収性注入製剤に対する修正施術をお断りする可能性が高い場合


非吸収性注入製剤注入後、時間が経過すると、周囲の皮膚組織に変化が生じます。また、固い製剤をスペースの少ない組織に注入すると皮膚が伸展し、治療後にシワやたるみ、予想外の形態変化が出現する可能性もあります。そのため、下記の場合は溶解注射をお断りする可能性がございますので、あらかじめご理解ください。なお、適応が無いと判断した場合も、診察料は発生いたしますのでご了承ください。
1. 額、こめかみ、鼻筋、涙袋形成、上まぶた、あご、バストなどボディへの施術例。
2. 注入した製剤名が不明の場合。
3. 修正処置後に生じるシワやしぼみ感を受け入れられない場合。(程度には個人差があります。)
4. 処置後にタッチアップ注入や引き締め治療をお受けいただくことが出来ない場合。

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